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おくやま です。
おくやま です。
今回の孫子のCDを制作するにあたって、
とくに強調したかったことがあります。
それは、孫子のアイディアのエッセンスを説明する際に、
使い古された言葉や概念を使わないようにする、
ということです。
たとえば前回も触れた
孫子の概念として「無形」というものがあります。
このような言葉は、
漢字で読んでそのままの「形が無い」ということなので、
少しでも孫子を学んだ経験のある人にとっては、
「ああ、またその話ね・・・」
となりがちです。
ところが、今回の私がつくったCDにおける
孫子の説明が一味違うのは、
それをバリバリの戦略系用語を使っているところです。
一例として、先ほど触れた「無形」ですが、
本CDではアメリカの戦闘機乗りであった
ジョン・ボイドが理解して伝えようとした、
「フォームレス」(formless)
という言葉を使いながら、日本語で聞く「無形」とは
やや異なるニュアンスを持たせております。
こう言い換えることによって、
孫子が推奨する「水」の柔軟イメージが、
さらに実感がともなって感じられるからですね。
他にもデリック本で使われていた、
「ポジティブ・フィードバック」(Positive Feedback)
や
「ネガティブ・フィードバック」(Negative Feedback)
という言葉を使っております。
詳しい説明はCDを聞いていただければと思うのですが、
ネタバレ覚悟で1つだけいいますと、
「ポジティブ・フィードバック」というのは
現在の日本のビジネスシーンで言われているような
「お客さんから良い意見をもらいました」
というものではなくて、
むしろシステム工学のような理系の用語の概念を借りたもので、
単純にいえば
「無駄な情報が循環しすぎて回路がパンクする」
というもの。
もちろん今から2,500年前の古代中国に生きていた孫子が
このような用語を知っていたわけではないのですが、
この工学係の言葉が示していることを、
孫子は「相手に発生させろ」と言っているのです。
これをさらに単純にいえば、
「相手に勘違いをさせて自滅させろ」となります。
当然ながら、孫子はそれを
極めてシンプルな言葉で指示しているだけですが、
現代のわれわれが工学系の言葉を使うことにより、
実際の孫子が提案している戦略のメカニズムの中身が
鮮明にわかることがあるのです。
そういう意味で、今回のCDは、
これまでの日本人が全く思ってもみなかった角度から
切り込んで分析できている、という自負があります。
このような全く新しい孫子の姿を、ぜひじっくりとご堪能ください。
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