おくやま です。
THE STANDARD JOURNAL
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おくやま です。
おくやま です。
今回もまた孫子について一言。
実は昨日、都内のある講演会で、
本CDの内容のほんの一部をベースとした、
孫子の話をしてきました。
そこで私が強調したものは、孫子が積極的に勧めながらも、
なぜか日本ではあまり注目されなかった、
二つの戦略のアプローチのことです。
「はて、孫子ってそんなこと言ってたっけ?」
というあなたは全く間違っておりません。
むしろ日本の一般的な孫子解釈では、そう感じるのが自然です。
もちろん少しでも孫子を読み込んだことがある方でしたら、
ご存知の通り、孫子はこの二つの戦略アプローチを
「正・奇」という言葉であらわしております。
そしてこの二つの無限な組み合わせによって戦え、
ということを述べているわけですが、実は洋の東西を問わず、
このような二つの戦略アプローチを自覚している戦略論
というのはけっこうあります。
その代表的なものが、現代の西洋の戦略理論家として
孫子に最も影響を受けたとされる、
かのバジル・ヘンリー・リデルハートです。
このイギリスの軍事戦略家は
戦間期にあたる1927年頃から孫子を読み始め、
そこからヒントを得て後に自らの主張である
『戦略論』を完成させております。
そこでリデルハートが採用したのが、
孫子の「正・奇」というアイディアなのですが、
とりわけリデルハートはその「奇」のほうを重視して、
そこから自らの「間接的アプローチ」
という考えを編み出しております。
もうひとりはそのリデルハートの影響を受けた
アメリカの元空軍パイロットで、
後に戦略思想家として有名になったジョン・ボイド。
この人はリデルハートが孫子から受け継いだ
「正・奇」というアイディアを元にして、主に機動戦などの考え方を
(空軍ではなく)海兵隊に教育しています。
三人目は、同じくリデルハートから影響を受けながら、
孫子とは別のソースから二つの戦略アプローチとして
「累積戦略」と「順次戦略」を提唱したJCワイリー。
そして最後は、戦略には消耗戦と機動戦の相互作用があり、
この二つは片方があるからこそ片方が活きてくるとしたコリン・グレイ。
いずれもこのような、戦略には二つのアプローチがあることを
明確に認識していた戦略思想家は多いのですが、
もちろんこれを最初に認識していたのは、何を隠そう孫子です。
その代表的なものが「正・奇」という概念なのですが、
実はこの背後に、古代中国から日本を含むアジア全体に染み付いており、
だからこそ日本の孫子ではあまり自覚されない
大きな世界観を含む概念が隠されております。
その答えを簡単にいえば「道」ということになります。
「え、ミチって何よ?何かの格闘技とか花のおけいこなんかと関係あるの?」
と思われた方はちょっと違います。
なぜならここでの読み方は「みち」ではなく「タオ」だからです。
「なんだか怪しいことを言い始めたぞ・・・」
というみなさんのご感想はその通りだと思います。
なぜならこのわけのわからない「タオ」というものが、
孫子の戦略論を理解する上で極めて大切になってくるからです。
そして、この概念を知ることができれば、
われわれの戦略の本質についての理解は、飛躍的に高まるのです。
詳しくは孫子のCDをぜひお聞きいただければ幸いです。
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