以前に「なぜ年金がわかりにくいのか?」という話をした時、最大の理由は「年金」という言葉にある、と言いました。
年金と一口に言っても「公的年金」と「企業年金」があり、これらは全く異なる制度であるにも関わらず、同じ年金という言葉が使われているためにややこしくなっているということです。
報道される場合に、両方が混同されてコメントされているケースも少なからずあります。
年金が分かりづらい、もう一つの理由
ところが年金がわかりにくいのには、もう一つの理由があります。それは、「公的年金」や「企業年金」が非常に複雑な体系になっているということです。
2月14日付「年金を通して見えてくる。波乱万丈な女の一生」でも書いたように、人には様々な人生や生き方があります。特に「公的年金」のような社会保障制度において重要なことは、可能な限り不公平にならないようにすることです。そのため、かなり複雑で且つ例外的な規程もたくさん設けられています。
問題は年金の説明にあたって、一般的な話であるにもかかわらず、こうした細部に亘る説明まで詳細にされることが多いということです。
これが年金を分かりにくくしている、もう一つの理由です。だいたいにおいて年金の話をすると、必ず詳しいプロの人が出てきて例外的な話をし、「あれは違う」とか「こんな場合もあるよ」とか言いがちです。会社で年金部門の人に話を聞くと、余計に分からなくなったという人も少なくないと思います(笑)。
社会保険労務士の人ならこうした細かい部分まで全部理解しておく必要がありますが、一般の人はそんな必要は全くありません。
知りたいことは一つだけ
絶対に間違いのないように正しく伝えるためにはそういう細かいことも必要なのですが、普通の人が知りたいのは「どこからどれぐらいの年金がもらえるのか?」ということだけです。
したがって、実際に自分の年金がどうなるかを知りたい場合は、近くの年金事務所まで出かけて行って聞いたり、日本年金機構に電話をしたりすることが必要です。
最近は、こうした問い合わせについてはかなりていねいに答えてくれます。しかし、多くの人にとっては「年金がわからなければ年金事務所に聞け」と言われても、何をどう聞けばいいのかが分からないということだろうと思います。
そこで、このコラムでは全体像や仕組み、考え方と言った部分にポイントを絞って、できるだけわかりやすく解説し、自分は一体何がわからないのか? を明らかにしていくことをメインに書いていきたいと思います。
今回までは主に「公的年金」の簡単なしくみについてお話してきましたが、次回からは「企業年金」について少しお話をしていきたいと思います。