前回は「Xの速い曲」の場合、YOSHIKIの叩くドラムプレイが普通の「2倍の速さ」であることをお伝えした。
 
 そしてまた、たとえドラム演奏のBPMがの2倍でも、Xの速い曲のBPMは2倍にはならないことも。
 
 この二つが『Xの音楽性の圧倒的なオリジナリティ』のとても大きな理由であることを説明したいと思う。
 
 僕が最初にこの事実に気づいたのは、1988年の2月頃にアルバム「Vanishing Vision」の完成間近の確認用ラフミックステープを聴いた時だった。
 
 「Vanishing Love」を聴きながら、僕はTAIJIやHIDEの音楽的なセンスと共に、YOSHIKIの才能を強く感じていた。
 
 なぜなら、その曲の至るところに僕の好きなベートーヴェンのような感性を感じたからだった。


 
 たまたまそのテープをヘッドフォンで聴いていたのが地下鉄の車内だったので、僕はその時からちょうど3年前の同じ頃、バイト仲間だったヒロヤ(当時ANTHEMのギタリストだった福田洋也)から「ねえ、津田さあ、これ聴いて感想聞かせてよ」と渡されたテープを、地下鉄の車内で聴いた時のことを思い出した。