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〜 今回 取り上げる曲 〜 「The Last Song」「Endless Rain」
(… そこへ、ソレファ という、とても美しい響きのメロディーが上へ上がっていき、メロディーが高く登り詰め、心が強く安定を求めた瞬間に、このキーの基本和声(トニック)であるGに移行し、メロディーを受け止める。…)
(…初めてYOSHIKIがそのメロディーを鍵盤で奏でてくれた瞬間の感動を、僕は一生忘れないだろう。
…そのあまりにシンプルなメロディーが過去、世界の誰も生んでいないメロディーであることを瞬時に理解し、心の底から驚いた。…)
前回は(僕流の表現だが)芸術心と作品の関係について書いた。
そして、作品を「生む」ことがその芸術心の生命力そのものに関わってくるという話、YOSHIKIの才能がその芸術心の強さと深さに表れていて、バラードでそれを堪能できる、という話をした。
今回は、X(X JAPAN)のバラードの魅力を音楽的に見ていきたいと思う。
YOSHIKIが生むバラード曲には、音楽を楽しむ人、音楽に携わる人、音楽を創る人、作曲をする人、すべてに参考となる、深い魅力がある。
その魅力は、極限まで研ぎ澄まされたメロディと和声の関係性だ。
どういうことか。
メロディは、音の高低と長さ、そしてリズムで心の震えと感情を表す。
そしてそれを支えながら、心の震えと感情を、より豊かに正確に人に伝えるのが、和声だ。
メロディと和声、この二つの持つ可能性と役割を深く理解しているYOSHIKIは、心の震えと感情が、そのまま音になるよう、メロディと和声を極限まで研ぎ澄まさせている。
そして、それがきちんと成り立っているからこそ、聴く人の心を打つのだ。
また、研ぎ澄ませた結果は、そのままオリジナリティにつながっていく。
さっそく「The Last Song」で、その音楽的な魅力を見てみよう。
この曲でヴォーカルのTOSHIが歌うパートは基本的に8小節のパターン、歌の部分はとてもシンプルだ。
しかし当時、解散という形でX JAPANというバンドとの別れを受け止めなければならなかったファンは、このシンプルな構成の曲に、深く心を打たれたはずだ。
ここまでシンプルなのに聴く人の心を打つのは、そこにYOSHIKIの心の震えと感情がすべてきちんと刻まれているからに他ならない。
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