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〜拙著「すべての始まり」より抜粋〜
青山のカフェで僕は(今日は赤ちゃんなのかな、それとも挑戦的な不良なのかな・・・)と、ぼんやり考えながらYOSHIKIを待っていた。
やがてYOSHIKIが、マネージャー君と一緒に現れた。 この時のYOSHIKIの鮮烈な印象を、僕は一生忘れることはないだろう。
やがてYOSHIKIが、マネージャー君と一緒に現れた。 この時のYOSHIKIの鮮烈な印象を、僕は一生忘れることはないだろう。
挨拶をして席に座ったYOSHIKIを見た瞬間、僕は経験したことのない、異様な感覚に襲われた。
真っ白なシャツを着て、サングラスをかけたYOSHIKIは、少女漫画に出てくる美少年、といった雰囲気だった。
ところが、その真っ白なシャツの胸が、真紅の血で染まっているのだ。
ちょうど心臓の辺り。
ところが、その真っ白なシャツの胸が、真紅の血で染まっているのだ。
ちょうど心臓の辺り。
まるで、ナイフで胸を刺したように・・・。
でも、それは僕の眼の錯覚で、よく見ると血など、どこにも付いていないのだ。
超常現象とはまったく無縁の僕だった。そんな体験をすることが、不思議でならない。
でもとにかく、僕の眼に、はっきりと胸の血は見えたのだ。
超常現象とはまったく無縁の僕だった。そんな体験をすることが、不思議でならない。
でもとにかく、僕の眼に、はっきりと胸の血は見えたのだ。
赤ちゃんではなかった。
挑戦的な不良でもなかった。
YOSHIKIは殺気そのものだった。
やがて僕がオーディションの時の感想を話し始めると、フッ、とYOSHIKIの殺気は消えた。
次に僕は、エックスについて、僕なりに見えてきたことを、YOSHIKIに語った。
それは『エックスは日本一美しいバンドになるべきでは?』という提案だった。
そして『そうすれば、いつかエックスは日本一のバンドになれるのでは?』と問いかけたのだった。
挑戦的な不良でもなかった。
YOSHIKIは殺気そのものだった。
やがて僕がオーディションの時の感想を話し始めると、フッ、とYOSHIKIの殺気は消えた。
次に僕は、エックスについて、僕なりに見えてきたことを、YOSHIKIに語った。
それは『エックスは日本一美しいバンドになるべきでは?』という提案だった。
そして『そうすれば、いつかエックスは日本一のバンドになれるのでは?』と問いかけたのだった。
YOSHIKIの表情が、また和らいだ。
(あ、赤ちゃんになった!!)
僕は安心して『これから音楽面を中心に、色々な要素を進化させる事で、エックスは今よりはるかに大きいバンドになれるはずだ』と、思っているまま、伝えた。
続けて、バンドの可能性を山に例えて、『裾野を広げればそれだけ山は高くなるはず、その裾野を広げるのは、何よりも音楽性を広げる事であって、エックスなら裾野を広げることで、日本一高い富士山になれるはずなのだ』という話もした。
僕は安心して『これから音楽面を中心に、色々な要素を進化させる事で、エックスは今よりはるかに大きいバンドになれるはずだ』と、思っているまま、伝えた。
続けて、バンドの可能性を山に例えて、『裾野を広げればそれだけ山は高くなるはず、その裾野を広げるのは、何よりも音楽性を広げる事であって、エックスなら裾野を広げることで、日本一高い富士山になれるはずなのだ』という話もした。
YOSHIKIはこの話を、うれしい意見だ、とうけとめてくれたようだった。
そして、メンバー5人が日々、闘い続けていることや、負けたくない、という強い気持ちなどを、淡々と、けれど強い情熱をこめて話してくれた。
YOSHIKIの情熱のこもった話を聞くことで、エックスというバンドが、どんなに多くの人たちを惹きつけていけるのか、そしてどれだけ大きく成長していけそうなのか、理解できた。
そんな風にたくさん話しているうちに、僕はYOSHIKIと自分が特別な相性である事に、気づいた。
言葉が必要ない、チャクラのようなものが、1本つながっている感じだった。
つまり、目の前のことはそうでもないけど、少し遠くにある、最も重要な事については、まったく同じところを見据えている、そんな感じだったのだ。
じゃあ今度は、ライブで会いましょう、そう言ってYOSHIKIと別れた後、僕はYOSHIKIが、最後まで「挑戦的な不良」にはならなかった事に気がついた。
ゆっくり話をしたことで、お互いが、何か同じようなところを見ていることは確認できたし、僕がエックスをどう見ていて、どんな風に好きになり始めているか、YOSHIKIにしっかり伝えることができた。
そして何よりこの日、僕は大きな収穫を得た。
彼らがどうやら〈選ばれた人間〉のようだ、ということだった。
『エックスはとんでもなく大きなバンドになるかも知れない』という予感を、僕はYOSHIKIの人間を見て、確信したのだ。
彼らがどうやら〈選ばれた人間〉のようだ、ということだった。
『エックスはとんでもなく大きなバンドになるかも知れない』という予感を、僕はYOSHIKIの人間を見て、確信したのだ。
佐藤部長から新たな可能性、つまり各制作セクションへのプレゼンと並行して、FITZBEATレーベルで僕自身がXをプロデュースするという構想を聞かされた僕が、まず初めにリーダーのYOSHIKIと会おうとしたのには理由があった。
初めてメンバー全員と会った時、このバンドはメンバーがそれぞれ強い個性とエネルギーを持っている、と感じた。
初めてメンバー全員と会った時、このバンドはメンバーがそれぞれ強い個性とエネルギーを持っている、と感じた。
つまりワンマンバンドではない。
それでいながら、バンドとしての圧倒的なビジョンや志を持っていて、メンバー全員がそれを共有している。
その上、ある状態になると全員が「赤ちゃんオーラ」を出す。
つまり5人の人間的な魅力がバンドの魅力を形作っている。
その上、ある状態になると全員が「赤ちゃんオーラ」を出す。
つまり5人の人間的な魅力がバンドの魅力を形作っている。
そんなバンドに対して自分がプロデュースを手がけるのであれば、僕はメンバー全員を深く知り、バンドのビジョンや志を完全に理解し、何より音楽性を全て把握した上で新たな進化の方向性を提示しなければならない。
相当なエネルギーと時間を費やすことになる。
一方、決選大会を観てバンドの可能性を確信し、なおかつソニーミュージックの制作セクションの人達とは全く逆の評価をしている僕は、何よりもまず、Xの未来に向けて自分の考えやビジョンを正確にメンバーへ伝えたい。
そうなると・・・おそらくメンバー全員と会うことから始めたら、収拾がつかなくなる。
そうなると・・・おそらくメンバー全員と会うことから始めたら、収拾がつかなくなる。
何しろ、まだ彼らのライブをちゃんと観たことすらないのだ。
だから僕は、まずリーダーのYOSHIKIと会うことにした。
初めて全員と会った時、とても聡明で、揺るぎない自信を言葉にし、エネルギーの塊に見えたリーダーのYOSHIKI。
だから僕は、まずリーダーのYOSHIKIと会うことにした。
初めて全員と会った時、とても聡明で、揺るぎない自信を言葉にし、エネルギーの塊に見えたリーダーのYOSHIKI。
彼なら、まず一番大事なメッセージを僕から伝えれば、ちゃんとメンバー全員に届くだろう、と考えたのだ。
そしてそれは予想通り正解だった。
いや、予想以上だったかも知れない。
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