そして、相談している人の表情もだんだん変わっていきます。
相談していることがら一つ、といった単体の話ではなく、もっと大きな人生の流れ
の中で、今までいったい何があって、どう乗り越えて現在に至ったのか。
例えば、どんな家庭で育って、どういう幼少期を過ごし、学校ではどんな思い出が
あって、14才の頃は、どう過ごしていたのか…。
★「14才」というのは理由があるのですか?
実は会話をしている内容は、ごく当たり前のことばかりです。
でも、僕の興味の持ち方が普通ではないからでしょうか、話してくれる方も、だん
だん熱が入っていきます。
実は僕の興味は、聞いているその人の人生すべてにあります。
だから、ちょうど事件の鍵を握っている容疑者に執拗な質問を浴びせかける刑事の
ように、僕の質問が途切れることはありません。
また、人の人生の面白さというのは、その人の一般的な評価や立場などに一切影響
されないので、この人の人生は面白いけど、この人の人生はつまらない、ということ
は、ないんですね。
そんなわけで、質問攻めにあって、答えているうちに明らかになっていく、その人
の人生…。
実に、山あり谷あり、です。
特別なことなどなく、平凡な人生だと思っていてる人でも、心の中には、大きな嵐
や光に満ちた幸せ、とんでもなく傷ついた記憶や、予期しなかった幸運などが、いく
らでもあって、その連続が人生ですからね。
そんな風に会話がどんどん弾むうちに、先ほど書いたように、その人の表情が変わ
っていくのですが、それがどのように変わっていくのかを説明すると、
「驚き」
なんです。
再認識、というのかな。
つまり、僕からの質問攻めで明らかになっていったその人の人生、まあ、まだまだ
先が長いですから半生でよすね、その半生を、ここまで掘り起こして、見つめ直し、
そこに何らかの意味が浮かび上がってくる、というような経験を、日頃はあまりして
いないからなのでしょう。
珍しくそんなことをして、浮き彫りになった自分の半生から、はっきりと見えてく
るものがあるから、驚くわけです。
それは結局、何なのでしょうか。