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『Dave Hollister』(デイヴ・ホリスター)

シカゴ生まれの男性シンガー。2パックのゲスト・ヴォーカルに招かれて登場。次いで、テディ・ライリーのブラックストリートに参加。ファースト・アルバムでミリオン・セラーを記録した直後に脱退し、ソロ・シンガーに転身。


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<TSUYOSHI評>

映画『CB4』のサウンドトラックに収録された『Baby Be Mine』でBlackstreetは基本的に世に出始めた訳だが、この時はまだデイヴ・ホリスターはBlackstreetに参加しておらず、グループの名前の由来にもなっているジョセフ・ストーンストリートがこの曲のリードをとっている。この曲はジョセフがグループを去りデイヴが加入してリードが入れ替えられてしまう。元のジョセフはテディー・ライリーがやっているグループ・Guyのシンガーのアーロン・ホール(a.k.a チャーリー・ウィルソン大好き)寄りの濃いめな歌唱だったけれども、くだんのデイヴはというと、ごくごく自然な歌唱。どちらのバージョンが良いという事ではないのだが、この時私はテディー・ライリー自らが作り上げたニュー・ジャック・スウィングを捨てて新たに築き始めたサウンドやそのスタンス等といったBlackstreetのスタイル自体に関心があり、さほどデイヴの歌に注目をしていなかった。

「さほど」程度の関心であったはずだが、何故だか彼に対する興味自体は続いていく。Blackstreet1stアルバムだけ参加してその後ソロになったデイヴは、ソロ転向以降、多分歌のスタイルに悩んでいたんじゃないかと思う。なんと言うか、無理矢理感。Blackstreetよりもそれ以上にストリートっぽくというか誇張したギャング感みたいなのがあって、当時聴いていてちょっとわざとらしく感じたのを覚えている。その感じは徐々に薄れていくのだが、それでも個人的にはまだなんかグッとこない。そのうち彼はゴスペルの道に進んでいく。ところがこのゴスペル界隈に行ったことにより、歌心にしても技術面からしても彼の歌の幅は大きく広がっていく。そして今となっては消え去ってしまったわざとらしさ。必要以上の気負いは自らの足を引っ張るだけということか。お前何様やねんで申し訳ないのだが、正直この23年でやっと彼の歌が好きになった。

昨年デイヴはテディー・ライリー率いるBlackstreet2での活動と平行して、United Tenorsという、ゴスペル界の重鎮の一人・フレッド・ハモンド率いるユニットにも参加。こちら(http://youtu.be/STBx7EaTr4E)、かなり強力。それを踏まえて、Blackstreetの昨年のLiveでのデイヴver.『Baby Be Mine』(http://youtu.be/p4lXUuBib10)。余裕がある。相当カッコいい。是非ともデイヴとテディーで新譜を出して欲しい。

などと思っていたら、先日デイヴが新譜をリリース。プロデュース等でウォーレン・キャンベルが参加。この方も俗世とゴスペル界を行き来してる中の一人。蛇足だが、彼が手掛けた中ではルーサー・ヴァンドロスの『Take You Out』が一番好き。あと彼自身が率いている、当代切っての名うてのプロデューサーやプレーヤー達が揃うゴスペルバンド・The Soul Seekersは凄い。これ(http://youtu.be/B_9qAF7bur0)は必聴必見。

閑話休題。ウォーレン・キャンベルが手掛けたデイヴの新曲『Spend The Night』は本当に良い。なかなかのセクシー度合いのミュージック・ビデオにはカメオってるウォーレンが。漂う90’sの香り。しかもこの曲のリミックスver.をテディー・ライリーがやっている始末。嗚呼、もはやBlackstreet。ますます、Blackstreetで新曲作ってくれないかなぁ、と期待してしまうのは私だけではないはずだ。


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<西崎信太郎 評>

昨年末のブラックストリートの来日公演にて、諸事情があり1日のみのパフォーマンスとなりましたが、ブラックストリートにデイヴの声が健在という存在感を見せつけたシカゴ出身のR&Bシンガー/ソングライター。

ソロとしての活躍も素晴らしいですが、なんやかんやでやっぱりブラックストリートのイメージが強いデイヴ。ブラックストリート結成時にはまだブラックストリートのメンバーではなく(このグループはメンバーの入れ替えが激しくて複雑ですがw)、結成当初のメンバーだったジョセフ・ストーンストリートがグループを脱退し、その代わりのメンバーとして1994年にデビュー・アルバムをリリースした時からメンバーに加わった経緯(とは言っても、セカンド・アルバムをリリース前にデイヴはブラックストリートを脱退)。ブラックストリート加入前は、かつて2パックもメンバーだったデジタル・アンダーグラウンドのメンバー、チョップマスター・Jとウィリー・マックを中心に結成されたソウル/ファンク/R&Bグループのフォース・ワン・ネットワークの楽曲にフューチャリング・アーティストとして活動。また、このブロマガでも紹介したジョデシィのメンバー、ケイシー&ジョジョの従兄弟でもあります。

正統派のソウル/R&Bシンガー。正統派すぎる故に、ちょっと地味な印象もありますが、常に放っておけない存在。そんなデイヴが6年振りとなるニュー・アルバム『Chicago Winds…The Saga Continues』をリリース。デイヴの代表曲と言えば"One Woman Man"、"Can't Stay"辺りになるでしょうか、これらデイヴの代表曲に匹敵する新曲"Spend The Night"が素晴らしいと、既にR&Bファン達の間で話題になっております。プロデュースはアリシア・キーズ、カニエ・ウエストらの楽曲を手がけたウォーレン・キャンベルと、数々の名曲を世に送り出してきたグラミー受賞プロデューサー・チームのザ・アンダードッグスのメンバーのエリック・ドーキンズ。更にリミックス・バージョンも公開され、こちらは盟友テディ・ライリーの仕事。正にブラックストリートのデビュー・アルバムの続きのような、当時やり残した事をやったといわんばかりの90's感(アルバム冒頭を飾る①"Spend The Night"から、浮遊感のあるコズミック・バラードの②"I'm Different"へと続く流れが好き)。個人的には、⑩"Neverland"のようなナンバーが入っていて予想通り。ダフト・パンク"Get Lucky"を筆頭に、ブルーノ・マーズ"Treasure"、マイケル・ジャクソン & ジャスティン・ティンバレイク"Love Never Felt So Good"になぞる「Back To 80's」テイストのディスコ調ナンバー。おじさんの血が騒いでたんでしょうね、列記した楽曲のような大ヒットを祈るばかりです。とは言え、全編通してほぼバラード尽くしの圧巻の内容。ウォーレンとエリックの舵取りに脱帽です。2014年のベストR&Bアルバムの1つである事は間違いないでしょう。