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R&Bフリーク以外は置き去りにするR&B評 第15編『After 7』
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R&Bフリーク以外は置き去りにするR&B評 第15編『After 7』

2015-11-28 17:51

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    「After 7」(アフター7)

    Babyfaceの兄弟であるメルヴィン・エドモンズとケヴォン・エドモンズ、そしてL.A.リードの従兄弟であるキース・ミッチェルによって結成されたヴォーカル・トリオ。
    1989年にデビューするや、ニュー・ジャック・スウィングのビートに乗った流麗なコーラス、そしてその知名度も手伝ってあっという間に人気者に。


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    <TSUYOSHI評>

    アフター7はBabyfaceの映し鏡。個人的にはそんな印象を持っている。言わずもがな、Babyfaceの兄弟2人とL.A. Reidの従兄弟と言われていた男1人で構成されるグループ。Babyfaceの全面プロデュースによるプロジェクト。表に顔を出してはいないが、ある意味ケニース・”Babyface”・エドモンズとその兄弟のメルヴィンとケヴォンの計3人によるグループとみた方が分かりやすいか。

    そんなアフター7、この度新曲『I Want You』がアナウンスされた。AメロがTOTOの『Georgy Porgy』っぽいのはご愛嬌。バック・トゥ・ザ・’80s。サウンドは’80sではないが。しかしながら、おかげでかつてアフター7を聴いていた懐かしい時代に意識は導かれる。思いのほか軽快でとてもいい曲。というか同じ時期にBabyfaceの新作リリースもあるわけで。マーケティングにもぬかりの無いエドモンズ兄弟。

    音楽一家はなんだかんだ数多いる。このエドモンズ兄弟もそういう環境で育ったのであろう。Babyfaceは当代切っての名プロデューサー・シンガーソングライター。グループで成功したメルヴィンとケヴォンも優れた歌の才能を持っている。メルヴィンの少し枯れかけたトーンの声は、線は太い方ではないがいい具合にソウルフル。一方のケヴォンはハイパーなハイトーンヴォイス。にもかかわらず線は細くなく、ふくよかで豊かな表情の歌を歌う。Babyfaceは、俺もケヴォンみたいなハイトーンが出せたらこんな曲を書いて歌いたいのになぁ…みたいに書いた曲を、結局アフター7に歌わせているような感じがするのだが。とにかく2人とも単純に歌が巧い。実際、世にいるシンガー達の歌をよくよく聴くと、雰囲気が良くていい歌に聞こえてしまっている唄うたいが大半を占めているのだが、この2人は本当に歌が巧い。『Ready Or Not』(http://youtu.be/Z7B8GQpqZs4) とかは歌の巧さがよく分かる。リズム感や音程感や歌の表情。こういう風に巧く歌える人は実はなかなかいない。そんな歌うまシンガーが2人もいるアフター7の存在というはある意味奇跡みたいなものだと思う。

    たまたま同時期に活躍していたジョデシィ。ここのケイシーとジョジョのヘイリー兄弟も歌が凄過ぎて奇跡的な兄弟。一度だけこのヘイリー兄弟とエドモンズ兄弟が合体したときは、映画の劇中用のにわかグループだったとはいえ、世界中がこの出来事に驚いたことだろう。マイルストーン『I Care ‘Bout You』(https://youtu.be/cPI35zjoR7Y)。5人の素晴らしい歌を聴く楽曲として、最初から最後まで非の打ち所がない作品。ちなみにその昔BabyfaceのMTVアンプラグドで披露されたバージョンは、5人がそれぞれいい具合に俺が俺が感があって微笑ましい。


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    <西崎信太郎 評>

    リアルタイムで過ごせなかった時期を推し量り、今に表現することをリヴァイバルとするならば、長き時を経て、その時の空気感を自ら再現する場合は、コンテニューとして括りたい。

    アフター7の新曲"I Want You"は、まさにコンテニュー(続き)。当時やりきれなかった事を、ただただ今の時代に続けたというスタイル。業界全体が衰退している(本音は全く認めたくないけど)理由の一つとして、単純に"良い曲"が生まれていないという理由を掲げるのであれば、売れない→予算をかけられない→よりシンプルな曲作り、というある種の負のサイクルを断ち切るべく(もちろん今の時代も良い曲は無数に生まれていますよ)、今回の"I Want You"のような曲は、シーン全体で大切にしたいなんて勝手に思ってしまう次第でございます。まぁ、それも個人的趣向を押し付けた考え方っていうのも重々理解しているのですが、このエモーショナルなテイストには久々に心を掴まれてしまった次第でございます。

    2年前に来日したアフター7の公演にお邪魔しましたが、一言で、アーバン。仮に1曲も知らなかったとしても「とても良いライブだった」と思えたのではないかという程に、満足度の高いライブでした。アフター7のリアルタイムを知らない僕としては、当時のヒット感を記録で見ることしか出来ないですが、同世代のグループ、ボーイズⅡメン、ジョデシィという2大グループと比較すれば、一歩後ろにつくグループ。今で言えばマインドレス・ビヘイヴィアやデイ26(両グループ共に活動は活発ではないですが)のようなグループが、20年後に日本でライブを出来るのかという事を考えると、やはりアフター7も偉大なグループの一つである事に疑いの余地はないなぁ、と。

    先日、アズ・イェットのメンバーから新曲の音源が送られてきたのですが、正直イマイチだったんですよね。リフの新曲は良かったのですが。そう考えても、アフター7の魅力を再認識させられる、今回の新曲リリースに伴う一幕でした。

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