マル激!メールマガジン 2018年8月15日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第905回(2018年8月11日)
安倍政権がもう3年続くと日本はどうなるか
ゲスト:金子勝氏(立教大学大学院特任教授)
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事実上の首相選びとなる9月の自民党総裁選は、党内反主流派の立場から安倍政権を批判してきた石破茂氏が8月10日に出馬表明をしたものの、自民党の党内力学で既に勝敗は決したかのような観測が大勢を占めている。
確かに、首相、あるいは自民党の総裁が持つ人事権やその他の権限は絶大だ。そんな絶対権力者に下手に挑んで負けようものなら、その後の人事で冷遇されるばかりか、この先、どのような災いが身の上に降ってくるかもわからない。政治家でなくとも、長いものに巻かれたくなる誘惑はわからなくはない。
しかし、仮に党内力学や永田町の政治力学がそういうものだったとしても、市場や国際社会はそんなことにはお構いなしで、日本を巻き込んでいく。また、市民生活も永田町の論理に沿って回っているわけではない。
野党の自爆にも助けられながら、アベノミクスを旗印にここまで長期政権を築いてきた安倍政権だが、日銀の「異次元緩和」による景気誘導や株、国債の買い支えにも限界が来ていることは明らかだ。日銀の政策決定会合を受けた7月31日の黒田東彦日銀総裁の会見の後も、債権市場は乱高下といってもいいような激しい動きを見せ、市場のアベノミクスへの評価が揺らいでいることを印象づけた。
経済学者の金子勝氏は、2020年の東京五輪の前にアベノミクスのツケが回ってくる可能性が高いと指摘する。現時点では2020年の五輪に向けて、公共事業を始めとする活発な経済活動が行われているが、人口が減り続け高齢化も進む日本で、五輪後に大きな需要拡大が見込める要素は見当たらない。土地でも株でも、五輪後に落ちると分かっていれば、その前に売っておきたいと考えるのが投資家の心理だと、金子氏は語る。
経済面での「アベノリスク」に加え、安倍政権がもう3年続けば、森友・加計問題で露呈した日本政府のガバナンスの機能不全も、一層進むだろう。官邸官僚の専横は一層進み、官邸に人事を握られた霞ヶ関全体で忖度政治が拡がることは避けられそうにない。
かつてのように政権が一年ごとに目まぐるしく変わるようでは、しっかりと腰を据えた政策が実行できないのは事実だが、政権が長期化すれば、権力は必ず腐敗し、民主主義の根幹が蝕まれていく。特に現在の日本は「政治改革」の名の下に意図的に首相官邸に権限を集中させてきた経緯がある。権限を集中させたのはいいが、それに見合ったチェック機能を整備してこなかったことのツケが、ここに来てもろに回ってきている。
もし安倍政権がもう3年続いた場合に、日本に何が起きるかを金子氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・辺野古問題が象徴する、思考停止と時代錯誤
・アベノミクスは詐欺だと言い切れる理由
・2020東京五輪以前に、日本経済が限界を迎える可能性
・カギを握るのは、原子力ムラ/電力会社の解体だ
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■辺野古問題が象徴する、思考停止と時代錯誤
神保: 本日8月10日、石破茂さんが自民党総裁選への出馬表明を正式に行ないました。石破さんの方に流れがあれば咬ませ犬はいくらでも用意できていましたが、どうもその必要もなく、安倍再選はほぼ決まりという流れです。9月20日までまだ一ヶ月以上あるので、もちろん何が出てくるかわかりませんが、今日はその影響、安倍政権がもし3年続いたらどうなるか、というテーマで議論したいと思います。宮台さん、最初に何かありますか。
宮台: 沖縄県の翁長知事が亡くなりました。ラジオでも申し上げましたが、翁長さんはある意味で、最後の保守でした。イデオロギーよりもアイデンティティ、あるいは誇りある豊かさだと語っており、社会思想上、もっとも伝統的な、社会を保全するための保守でした。経済も政治も、社会のためにあると、翁長さんは訴えていらっしゃったわけだけど、それに引き換え、日本のウヨブタ、安倍首相官邸を始めとする保守は、一体何を保守するのかと疑問に思います。経済を保守しようとしているのかと思えば、経済政策はめちゃくちゃだし、イデオロギー的には無教養丸出しだし、宗教はどうかと言えばバックに日本会議があるだけで意味がわからない。社会も経済も、政治も宗教も保守しようとしていない。
神保: 権力を保守しようとしているのではないでしょうか?
宮台: そうですね。それが現状だということです。
神保: そのあたりも議論したいのですが、やはり皆さんの大きな関心事のひとつは、安倍政権が3年続いたときに、東京オリンピックを超えて、本当に経済がもつのか、ということでしょう。ゲストは、立教大学大学院特任教授の金子勝さんです。
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