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  • 小薮浩二郎氏:ガン大国日本で食品添加物が選挙の争点にならない不思議

    2019-07-10 20:00
    540pt
    マル激!メールマガジン 2019年7月10日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第952回(2019年7月6日)
    ガン大国日本で食品添加物が選挙の争点にならない不思議
    ゲスト:小薮浩二郎氏(食品評論家)
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     今や日々の食生活は食品添加物抜きには考えられないと言っていいほど、われわれの回りには食品添加物が溢れている。食パンを買えば乳化剤やイーストフード、香料、酸化防止剤などの添加物がもれなくついてくるし、コンビニのおにぎりや鮭弁当には加工でんぷんやpH調整剤、カラメル、グリシン、膨張剤などがふんだんに使われている。
     食品添加物とは食品を加工する際に保存性を高めたり、色や味や香りやとろみなどをつけるために添加される化学物質のこと。形の上では法律で463品目の指定添加物のほか3,000品目を超える香料など、安全性が確認された物質だけが食品添加物として利用できることになっているが、現在、市販されている食品の中には、発がん性や催奇性などが疑われる添加物が使われているものが多く含まれていると、食品メーカーの技術顧問で食品評論家の小薮浩二郎氏は指摘する。
     実際、品目として指定されている添加物は4,000品目前後だとしても、それぞれの品目の中に多いものでは数十から数百種類の化学物質が含まれるものがあり、現在、食品に使われている添加物の総数は「誰にもわからない」(小薮氏)のが実情だそうだ。
     小薮氏は食品添加物の問題として2つの点を指摘する。ひとつは、食品添加物は使用が可能になるためには安全性確認のための臨床試験が必須となるが、その際に動物実験しか行われていないことだ。食品添加物が、医薬品以上に多くの人が長期にわたり大量に摂取する可能性が高い化学物質であることを考えると、現在の基準では安全性確認が十分とは言えないと小薮氏は言う。
     もう一つの問題点は、食品表示法で求められている内容表示を見ても、実際に何が入っているかを知ることができなくなっていることだ。実際には色々な化学物質が入っていても、乳化剤、酸化防止剤、増粘多糖類、pH調整剤、膨脹剤、香料などの表現で一括して表示することが認められており、実際に何が入っているかを消費者が知ることは難しい。
     『長生きしたければ、原材料表示を確認しなさい!』(ビジネス社)と題した本の著者でもある小薮氏は、内容表示の方法は不十分かもしれないが、それでも食品の原材料表示、とりわけ添加物の表示はこまめに確認し、オブラートで包んだような表現の「本当の意味」を読み取れるようになることが大切だと説く。しかし、今や2人に1人がガンになる時代とまで言われるガン大国の日本で、発がん性が疑われる物質が食品に添加されている可能性があり、それを消費者が知ることができなくなっていることには違和感を禁じ得ない。
     この4月に食品添加物表示制度に関する検討会が設置され、毎月1回のペースで添加物表示のあり方を検討しているが、これまで表記のさらなる簡略化を求める事業者側の利益を代弁する意見が多く出されている。この問題に政治やメディアや市民社会が十分な関心を示さないまま放置すれば、食品表示制度の更なる「簡略化」が進み、消費者は摂取したくない化学物質を避けること自体が困難になる可能性もある。
     食品添加物の安全基準の強化と見える化の必要性を訴える小薮氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・食品添加物を巡る歴史を振り返る
    ・普段から多くの人が食べている、実は危険な添加物たち
    ・「カラメル色素」や「加工デンプン」も危険性あり
    ・まずは原材料表示を読む努力を
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    ■食品添加物を巡る歴史を振り返る

    神保: 選挙期間が始まって最初の番組のわりに、あまり関係のないテーマに見えるかもしれませんが、僕は実はこの問題が選挙の争点になっていないことを不思議に思っています。日本はガンが死亡原因の1位になって久しく、2人にひとりがガンにかかる時代とも言われています。そして、特効薬や画期的な治療法の話はみんな大好きですが、しかしガンが増えた原因となる部分に対して手当てをするという話は、ほとんど聞きません。西洋医学/東洋医学、整体/対処治療のようなところがありますが、バランスを欠いている気がして仕方ありません。一部では余裕がない、という話もありますが、大元の部分への手当てをまったくやろうとしない現状というのは、いったい何なのでしょうか。

    宮台: 例えば、福島第一原発の事故があり、放射能の汚染が話題になったときに、「残留放射能と産地をきちんと表示しよう」という動きが広まりました。当時、世田谷区をサポートしていて思ったのは、そういうことに意識的になり、産地表示をきちんと見てモノを買う、あるいは少し値が張ってもより安全なものを買う、という営みができる人は、やはり限られているということです。 
  • 山本太郎氏:山本太郎は何がしたいのか

    2019-07-03 23:00
    540pt
    マル激!メールマガジン 2019年7月3日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第951回(2019年6月29日)
    山本太郎は何がしたいのか
    ゲスト:山本太郎氏(参議院議員)
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     参議院選挙が7月21日に行われることが確定した。
     今一つ盛り上がりに欠ける感のある選挙を前に、台風の目となりそうなのが、山本太郎参議院議員率いる「れいわ新選組」だ。
     6年前の参院選で東京都選挙区から初当選し政治経験ゼロから出発した山本氏は、再度東京の選挙区から出馬すれば再選は確実と言われるまでに存在感を高めてきている。
     4月10日に起ち上げた「れいわ新選組」には、この2ヶ月あまりで2億円を超える寄付が集まったそうだ。しかもそのほとんどが数千円単位の小口の献金だという。
     また、山本氏の街頭演説には、若者を中心に多くの人々が集まり、氏の話に熱心に聞き入る。現時点で「れいわ新選組」は政党要件を満たしていないため、政党支持率調査の対象になっていないが、一部の報道では、れいわの支持率は立憲民主党を凌ぎ、野党第一党のレベルまで上がってきているとの調査結果も出ているという。
     なぜ政治経験も短く、永田町では異端の存在とされる山本氏のもとに、これだけの支持が集まるのか。山本氏の主張する政策リストには、「消費税の廃止」を筆頭に「政府による最低賃金1,500円の補償」、「奨学金徳政令」、「デフレ脱却まで一律で3万円の現金給付」等々、「今この瞬間に痛んでいる人々、苦しんでいる人々」を手当することを最優先するメニューが並んでいる。
     消費税を廃止しておきながら、弱者の救済のために躊躇することなくバラマキを優先する政策に対しては、「財源はどうする」とか「財政破綻への道だ」などといった批判が飛んできそうだが、山本氏は「インフレをしっかり監視すれば国の財政は破綻しない」と語り、財政緊縮派やプライマリーバランス派の主張を一蹴する。山本氏の主張する経済政策はこれまで日本にはいなかった「反緊縮左派」と呼ばれるもので、最近ではアメリカのアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員やイギリス労働党のジェレミー・コービン党首などに近いように見える。
     しかし、そうした個別の政策もさることながら、山本氏にとりわけ若者の支持が多く集まるもう一つの理由は、永田町では異端児扱いされる山本氏なら、もしかしたらこれまで既存政党の政治家が為し得なかった政策を実現してくれるのではないかという期待感があるからではないか。
     山本氏は園遊会で天皇陛下に直接手紙を渡してみたり、安保法制の国会採決で喪服を着て牛歩をした挙げ句、安倍首相に向かって手に数珠を巻いて拝む真似をするなど、既存の政治家が誰もやらなかったような型破りな行動を数多くとってきた。その手法の是非については様々な意見もあろうが、山本氏が政治家としてこの6年間、既存のルールやしきたりに囚われない行動をとってきたことだけは間違いない。
     これまで様々な勢力に期待を寄せながら、公約が実現されずに裏切られた感を持っていた有権者たちは、美辞麗句が並んだもっともらしい政策論よりも、その一つでもいいから本当にそれを実現してくれそうな迫力のある政治家を待ち望んでいるようにも見える。
     果たして山本氏がそのような存在になり得るのか。なぜ山本氏にこれだけの支持が集まるのか。山本氏に「山本太郎は何がしたいのか」を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。

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    今週の論点
    ・山本太郎が提起する「緊急政策」
    ・減税&財政出動でも「破綻」はありえないと考える理由
    ・明確な対立軸示すも、党首討論には名前なし
    ・あえてオーバーランを繰り返す、山本太郎への期待
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    ■山本太郎が提起する「緊急政策」

    神保: 今回は戦争の火蓋が切って落とされた議員会館からお送りします。さっそくゲストを紹介しますが、山本太郎さんです。宮台さん、何か一言ありますか。

    宮台: 以前から言っているように、僕はトランプ支持だし、安倍支持です。というのは、この両国においてますます国の馬脚が現れるからです。つまり加速主義の観点からすると、そうして国が行き着くところまで行き着いた感じ、ダメになった感じがすると、新しいものが出てくるということです。楽しくワクワクする感じで、今後政治にかかわれるのではないかと、みなさんも思っていらっしゃるのではないでしょうか。 
  • 谷本哲也氏:医師と製薬会社の利益相反を監視せよ

    2019-06-26 21:00
    540pt
    マル激!メールマガジン 2019年6月26日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第950回(2019年6月22日)
    医師と製薬会社の利益相反を監視せよ
    ゲスト:谷本哲也氏(内科医)
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     医師と製薬会社の利益相反は様々な問題を引き起こす。医師が特定の製薬会社と癒着すれば、患者にとって最適な薬が処方されない危険性が生じる。本来は不要な薬が大量に処方されれば、財政的にも負担になるし、薬の種類によっては薬物依存になる怖れもある。
     実際、オピオイドの過剰摂取による年間の死者数が5万人を超え、全国の依存症者数も400万人以上と言われるアメリカでは、オピオイド依存症が蔓延した背景に製薬会社と医師の癒着関係があったとして、目下、製薬会社や医師に対する厳しい責任追及が行われている。
     現在の危機的な状況の発端となったとされるオピオイド鎮痛薬『オキシコンチン』の製造元の製薬会社パデュー・ファーマは、オクラホマ州政府との間で2億7,000万ドル(約300億円)の損害賠償の支払いで合意したほか、少なくとも45の州政府から同様の損害賠償訴訟を起こされている。オピオイドを販売するテバ、インシス、ジョンソン・アンド・ジョンソンなどの製薬会社も、軒並み多額の損害賠償訴訟を起こされ、既にインシスは破産に追い込まれている。同時に、不当に処方箋を乱発してオピオイドを供給した医師に対する刑事告発も進んでいる。蔓延が始まってから20年あまりが過ぎた今、やや遅きに失した感は否めないが、アメリカもようやく製薬会社と医師の癒着に本気でメスを入れ始めている。
     一方、2013年に未曾有の利益相反事件「ディオバン事件」で、製薬会社と医療機関の利益相反が白日の下に晒された日本はどうだろうか。内科医で著書『知ってはいけない薬のカラクリ』で製薬会社と医師の利益相反問題に切り込んだ谷本哲也氏は、日本では未だに製薬会社が医師への利益供与が広く行われ、「医師がどの薬を処方するかは、製薬会社のMR(営業担当)が持ってくる“弁当”に左右されているのが実情」と指摘する。製薬会社の高級弁当持参の医師詣では常態化していると見え、多くの弁当屋のサイトが製薬会社向けに特化したページを設け、2,000円以上の高級弁当をラインナップしている。
     実際、全国31万の医師の3分の1に当たる9万8,000人が、製薬会社から何らかの謝金を受けとっていることが明らかになっている。
     医師が処方する「医療用医薬品」の市場規模は10兆円を超え、われわれが日々CMなどで目にする市販薬の市場よりも10倍以上も大きい。しかし、市販薬と異なり、処方薬は一般に向けた広告が禁じられている。少しでも多く自社の薬を使って欲しい製薬会社は、医師に直接営業攻勢をかけようとすることになる。メディアも大スポンサーの製薬会社は批判しにくいこともあり、医師と製薬会社の癒着関係や利益相反には元来、チェック機能が働きにくい構造がある。
     そこで谷本氏が所属するNPO「医療ガバナンス研究所」は、NPOメディア「ワセダクロニクル」と共同で、製薬会社から医師個人に流れる資金を調査し、それをデータベース化して公開している。これはワセダクロニクルのウェブサイト「マネーデータベース・製薬会社と医師」で医師の名前を入力すれば、その医師がどの製薬会社からいくら受け取っているかが、たちどころにわかるというものだ。
     アメリカは製薬会社と医師の利益相反に甘かったばかりに、製薬会社から接待攻勢をかけられた医師が大量のオピオイド処方箋を乱発し、結果的にアメリカ全土を薬物依存症の惨禍に陥れた。日本も弁当程度で済んでいればいいが、構造的にチェック機能が働き難くなっている以上、いつ暴走し社会に脅威をもたらさないとも限らない。いや、既にそのような事態が起きているのに、われわれが気がつかないだけなのかもしれない。
     製薬会社と医師の利益相反の実態とその結果起きる弊害、それをチェックする新たな試みなどについて、谷本氏とジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・医師を動かす、知られざる「弁当」問題
    ・製薬会社が医師に支払っている「272億円」
    ・そもそも薬の価格はいかにして決まっているのか
    ・利益相反の内側にいるメディアの問題
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    ■医師を動かす、知られざる「弁当」問題

    神保: 今回はキリのいい950回目ですが、キーワードは「弁当」――つまり、利益相反です。なかでももっともわかりやすい事例の一つとして、この番組を観ている方も何らかのかたちでかかわっている、薬の問題を取り上げます。
     ゲストは内科医で、著書に製薬会社と医師の利益相反問題に切り込んだ『知ってはいけない薬のカラクリ』がある谷本哲也さんです。