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  • 飯田哲也氏:このままでは日本は脱炭素社会から完全に乗り遅れる

    2021-10-20 21:00
    550pt
    マル激!メールマガジン 2021年10月20日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/)
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    マル激トーク・オン・ディマンド (第1071回)
    このままでは日本は脱炭素社会から完全に乗り遅れる
    ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)
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     世界の現状を聞けば聞くほど、日本の置かれた状況が危機的なことがわかるはずだ。
     自民党の総裁選で当初本命視されていた河野太郎氏が、政策討論会などの場で他の3候補から総攻撃を受ける場面が幾度となく見られた。他の候補にしてみれば、一般国民の間で人気が高い河野氏の勢いを止めなければならないという選挙戦術上の判断もあったかもしれないが、それ以上に河野氏
  • 古賀茂明氏:岸田政権の最優先課題は崩壊した政府のガバナンスの回復だ

    2021-10-13 20:00
    550pt
    マル激!メールマガジン 2021年10月13日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/)
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    マル激トーク・オン・ディマンド (第1070回)
    岸田政権の最優先課題は崩壊した政府のガバナンスの回復だ
    ゲスト:古賀茂明氏(元経産官僚・政治経済アナリスト)
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     岸田政権が本格的に始動した。あたかも多種多様な候補者たちが侃々諤々の政策論争を戦わせているかのような演出を施し、派閥の親分の命令に造反する若手議員の反乱などというありもしないスパイスまで振りかけて盛りに盛った虚構のストーリーで、実際は国会議員が自民党の伝統的な派閥の論理に則って自分たちのシャッポを決める儀式に過ぎなかった総裁選を世論の一大イベントに仕立て上げたプロデュース力、いや演技力のおかげで、自民党は党の支持率を回復させることに見事に成功したが、さりとて安倍・菅政権と2つの政権を追い込んだ深刻な課題が岸田政権にまで持ち越されたことに疑いの余地はない。
     そして安倍・菅政権から持ち越された課題とは、失われた政権のガバナンスをいかに回復するかに他ならない。残念ながら先の総裁選では様々な政策論争が俎上に上ったかに見えたが、先の2つの政権で課題となった官邸に一極集中した権力の濫用をいかに防ぐのかという、今の日本にとってもっとも深刻な問題はまったくといっていいほど議論されなかった。一連の政策討論イベントはただ一度きりの日本記者クラブ主催の共同記者会見を除けば、全て党が主催し党側がお膳立てをした、早い話がPRイベントだったのだ。
     確かに個別の政策も重要だ。しかし、政権のガバナンスが崩壊したままでは、いかなる政策が打ち出されようとも、国民はそれをまともに受けとめないだろう。ガバナンス崩壊の実例を挙げればきりがないが、特に人事権を盾にとった強権発動に本来は優秀であるはずの霞ヶ関官僚は萎縮し、官邸の意向に唯々諾々と従うばかりか、自らの意見すら言わなくなった。菅元首相は自らの肝いりで導入したふるさと納税の問題点を指摘した総務省幹部を、あからさまに左遷した。
     安倍・菅政権で一強官邸の先兵となって動いた官邸官僚は、岸田政権の発足と同時にほぼ総入れ替えとなったが、果たして新政権が安倍・菅時代に傷んだ日本の民主主義を回復させることができるかどうかは、現時点では未知数だ。岸田政権でも経産官僚が官邸官僚として重用されているし、安倍氏の政権への影響力もさまざまな形で温存されている。
     ただし、元経産官僚の古賀茂明氏は岸田政権が立ち往生し早期に倒れるようなことになれば、次は安倍元首相自身が再登板することになる可能性が高いと指摘する。現時点では安倍氏は桜を見る会をめぐり検察審査会が「不起訴不当」を議決したことを受け、東京地検特捜部が再捜査を行っているため、すぐには身動きが取れない。しかし、その捜査が終結し再度「不起訴」となれば、晴れて政治の表舞台に復帰することが可能になる。今回の総裁選では高市早苗氏を自らの名代として立てざるを得なかったが、今回の総裁選は同時に、誰にどれだけ人気があろうが、結局は派閥の論理で自民党の総裁が決まることを白日の下に晒した。実質的に安倍氏が率いる細田派は385人中146人という党内で圧倒的多数の議員を抱え、盟友である麻生太郎氏の麻生派53人と合わせれば自民党の4割強を支配している現状に変わりはない。しかも安倍氏は国民の間にもそれなりに人気もある。
     岸田政権は単に安倍・菅政治を終わらせることができるかどうかが問われるばかりか、もし失敗すれば本当に安倍氏が戻ってきかねないという、日本の政治史上重大な分岐点の上に立っている政権と言っても過言ではないのだ。
     安倍・菅政権下で壊れた日本中枢のガバナンスとは何だったのか、それを再構築するために岸田政権は何をしなければならないのかなどを、古賀氏とともにジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・自民党総裁選は3A(安倍・麻生・甘利)側の“完全勝利”に
    ・「李下に冠を正さず」が「捕まらないようにやれ」に
    ・ガバナンスの崩壊と、「失敗」を認めすぎている野党
    ・選挙で野党に期待するのは“ワクワク感”の醸成
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    ■自民党総裁選は3A(安倍・麻生・甘利)側の“完全勝利”に

    神保: 今回は岸田内閣が成立して最初のマル激となります。選挙も10月31日にいちおう決まりましたが、僕が1番に問いたいのは、総裁選の結果です。第一回目の投票で、党員票では河野さんがトップだったけれど、議員票が集まらず、岸田さんと1票差の2位に。ただ、4人もそれなりに有力な候補がいれば、どう考えたって過半数の票を集めることにはならず、河野さんは議員票で100を取ったとしても(実際は86票)、党員票で7割以上取らなければ、過半数の382票にはいかなかった。これがそもそも不可能で、しかも党員票は4割くらいが組織として動いている。

    宮台: 所属集団の奴隷といってもいいですね。

    神保: 自民党は比例区については「党員を何人引っ張ったか」というノルマと、それに達しなかったときにペナルティがあり、「党費はこちらで出しますから」という名義貸しもあるし、言ってしまえば正体不明の110万人です。そして、1回目は議員票が382で党員票も382で同じ比重だったわけですが、なぜか2回目は、議員票が同じく382で、党員票は47しかない。これはそれぞれの県で、河野さんと岸田さんで上に来た方がそちらに行く、と最初から決まっているんです。

    宮台: 決選投票という名前に値しない。党員票については1回目と2回目の投票で意思決定の変更ができないわけだから、決選投票ではありません。
     
  • 吉田徹氏・福山哲郎氏:これが野党の生きる道

    2021-10-06 20:00
    550pt
    マル激!メールマガジン 2021年10月6日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/)
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    マル激トーク・オン・ディマンド (第1069回)
    これが野党の生きる道
    ゲスト:吉田徹氏(同志社大学政策学部教授)/福山哲郎氏(立憲民主党幹事長)
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     自民党の総裁選挙が終わり、決選投票で河野太郎行革担当相を破り新総裁に選出された岸田文雄元外相が事実上、次の総理大臣となることが決まった。
     この8月、新型コロナウイルス感染症者の急増などで菅政権の支持率が低迷し、このまま総選挙に突入すれば自民党は大敗、野党の大躍進が確実視されていた時期があった。現に、8月下旬に行われた首相のお膝元の横浜市長選挙では、菅政権の閣僚を辞職して出馬した自民党の小此木八郎元国家公安委員長が、立憲民主党が推薦する山中竹春横浜市立大学教授に大敗を喫するなど、明らかにその段階では野党陣営に強い追い風が吹いていた。
     ところが菅首相の突然の辞意表明と、それを受けた表面的には華やかな自民党総裁選が始まり、自民党は見事にメディアジャックに成功する。総裁選までの約1ヶ月間、既存メディア、とりわけテレビが時間を割いて総裁選の最新状況や各候補のプロフィールなどを事細かに報じたおかげで、政権及び与党の支持率は急回復した。また、ちょうどそれがコロナの感染者数が急速に減少するタイミングとぶつかったため、ネタ枯れ状態にあった既存メディアは世間の耳目を集めるために、実際は旧態依然たる派閥の論理に支配された茶番劇を、蓋を開けるまでどうなるかわからないガチンコの戦いであるかのように報じた。
     その結果、当初の野党の目算が大幅に狂ったことだけは間違いないだろう。
     しかし、いずれにしても敵失に期待しているだけでは、この先、野党に展望が開けようはずもない。政権党の座にとどまるためであればいかなる妥協も辞さないところが、戦後ほぼ一貫して政権を担ってきた自民党の最大の強味であると同時に、自民党という政治集団の最大の特徴であることは、野党も重々承知のはずだ。
     フランス政治に詳しく、近年では野党の存在意義について多くの発信を続けている同志社大学の吉田徹政策学部教授は、現在の野党、とりわけ野党第一党の立憲民主党の立ち位置では政権を担うために必要な有権者の幅広い支持を獲得することは難しいだろうと語る。総裁選のさなかに立民、共産党、社民党、れいわ新選組の野党四党の間で合意した「共通政策」を見ても、明らかに岩盤リベラル層の方を向いており、政権の奪取に不可欠となる中間層や無党派層に対するアピールには欠けていると吉田氏は言う。
     では、伝統的なリベラル層の支持を維持しながら中間層へ支持を拡げるために立憲民主党やその他の野党は、何をすればいいのか。まず野党各党は他の野党に負けないための選挙戦をやめなければならないと吉田氏は言う。有権者は野党同士の争いなどにはまったく関心がないからだ。
     吉田氏は、自民党の安倍政権が長期政権を築けた背景に、自らは「岩盤保守」を支持基盤としながらも、幅広い層にアピールするアベノミクスなどの経済政策の存在があったことを指摘した上で、野党陣営も「岩盤リベラル」を支持基盤としつつも、より中間層に訴えかけることが可能な経済政策が必要だと語る。そして、現在の政治状況の下では、野党にとっては新自由主義勢力を取り込むことが不可欠になると吉田氏は言うが、立憲民主党は2020年にまとめた党の政策綱領で新自由主義との決別を打ち出している。伝統的な岩盤リベラル層の期待に応えながら、新自由主義的な傾向のある中間層をも取り込まなければ政権奪取への展望が開けないところに、野党の大きな課題があるということになり、いずれにしても共産党との選挙区調整を含め、枝野代表にとっては難しい舵取りが求められそうだ。
     番組の後半からは立憲民主党の福山哲郎幹事長も議論に加わり、支持率を回復したものの早速幹部人事で2A(安倍・麻生)支配が続いていることを露呈させている岸田自民党を相手に、現在の野党が抱える課題について吉田氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・日本最大の政党は「支持政党なし」
    ・ポピュリズムの時代に不利を被るリベラルと、訴えるべき論点
    ・立憲民主党はいかにして、中間層にアピールするのか
    ・自民党のいい政策を継承し、できなかったことを実現する
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    ■日本最大の政党は「支持政党なし」

    神保: 昨日、自民党の総裁選がありました。僕はとてつもない茶番劇だとずっと言い続けています。

    宮台: 2Aは訴追されず、いわゆる森友・加計・桜の再調査があるかないかをめぐる離散集合に過ぎない。そのため、安倍・麻生に近い人たちを当選させるために、なんと対抗に対する当て馬を使うというのが一次選挙で、その当て馬に投票していた人も決選投票で2Aに近いところに投票させる、というそれだけのストーリーですね。

    神保: さらにたちが悪いのは、メディアをジャックし、いかにも侃々諤々の政策論争をやっているように見せて、内閣支持率も完全に回復してしまっている。

    宮台: しかし、この選挙結果を喜んでいるのは野党で、岸田でなく河野だったら戦いにくかったでしょう。しかし、「これで総選挙を戦いやすくなった、ありがとう」という構えこそが、日本の野党のへたれぶり、だらしなさをよく表しています。いい政策を通じて社会を変えていくという志がない。前から知っていることだから驚きでも何でもありませんが、残念ですね。

    神保: そういうことで、今回は野党論をお届けします。ゲストは同志社大学政策学部教授の吉田徹さんです。前回ご出演いただいたのは2017年、テーマはフランス大統領選でしたが、吉田さんは野党についていろいろ書かれており、今回は近著の『「野党」論―それは何のためにあるのか』を参考にさせていただきました。吉田さんは政治学者として、今回の自民党総裁選をどうご覧になりましたか。

    吉田: 近年の自民党において、安定した総理になるためには、派閥を押さえ、選挙で勝たなければなりません。まさにそれを露呈したのが菅さんで、二階派のバックアップをなくしてすぐに失墜した。選挙でも一度も勝ったことがなく、やはりその正統性のなさのようなものが、総理の立場を脆弱にするのだと。岸田さんは総選挙で勝ったが、まだ選挙で勝っていない。だからとりあえず、守護霊というか保証人として、二階派から2Aへ、ツー・ツーで移動するという感じにせざるを得なかったのではないかと思います。
     また野党から見ると、冒頭にあったように戦いやすくなったという面もあると思います。自民党の古い体質を残し、2Aが背後にチラチラしているという意味では、抗議の材料になる。一方で戦いにくい部分もあり、ひとつは政策が多少被るということです。