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5金スペシャル映画特集:不条理だらけの世界を当たり前としない生き方のすすめ
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5金スペシャル映画特集:不条理だらけの世界を当たり前としない生き方のすすめ

2024-12-04 20:00
    マル激!メールマガジン 2024年12月4日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド (第1234回)
    5金スペシャル映画特集
    不条理だらけの世界を当たり前としない生き方のすすめ
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     月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。今回は映画特集をお送りする。
     今回取り上げた映画やドラマは次の7作品。どれも、多くの人が自明だと信じて疑わない社会の「当たり前」に疑問を投げかける秀作だ。
    ・『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(アレックス・ガーランド監督)
    ・『ザ・ディプロマット』(リザ・ジョンソン、サイモン・セラン・ジョーンズ監督)
    ・『ラストマイル』(塚原あゆ子監督)
    ・『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督)
    ・『憐れみの3章』(ヨルゴス・ランティモス監督)
    ・『トナカイは殺されて』(エレ・マリア・エイラ監督)
    ・『ロスト・チルドレン』(オーランド・ボン・アインシーデル監督)
     『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、内戦状態のアメリカで取材に奔走するジャーナリストたちを描いている。ジャーナリストたちは戦場で命を危険に晒されながらも、前線に近づくにつれむしろ生き生きとし、高揚感に心を震わせる。映画は「そんなに戦争がしたいならすればいいではないか」と唆すようだが、それは、戦争をすれば破滅に向かうだけだが本当にそれでよいのかと問うメッセージの裏返しでもある。今の平和が当たり前ではないという現実を、平和ボケしたわれわれに突きつける。
     ドラマシリーズ『ザ・ディプロマット』は、イギリスの保守派がスコットランドの独立を阻止すべく画策した自作自演の戦艦爆破事件を巡り、米、英、ロシア、イランとの外交と米英両国の国内権力闘争が交錯するさまをスリリングに描く。誰が本当の味方で誰が本当の敵なのか分からなくなる、今日の世界の政治状況が投影される。
     『ラストマイル』はグローバル化された物流サービスとその下で過酷な労働環境で働かされている運送業の労働者、そしてアメリカ本社からの指示を受けてそれを差配する日本人幹部達が抱える葛藤などが描かれている。しかし、荷物を届ける物流の最後の区間であるラストマイルに携わる人々に過大な負担をかけている張本人は物流会社幹部ではなく、即配サービスを当たり前のように利用しているわれわれエンドユーザーであるという現実も浮かび上がる。
     頼んだ翌日に物が届くことが当たり前になった世の中を維持するために、どこに負担のしわ寄せが集まっているかをあらためて考えさせられる。
     『哀れなるものたち』と『憐れみの3章』はギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督のギリシャ悲劇を現代風にアレンジした作品。『哀れなるものたち』は、赤ちゃんの脳を移植された女性が成長していく物語。社会の仕組みを何も知らない状態の赤ちゃんが取る奇想天外な行動は、われわれが当たり前と思っていることには実はほとんど何の意味もないことを思い知らされる。
     『憐れみの3章』は、上司のおじいさんに人生の全てを支配される男、自分の妻を偽物ではないかと疑う男、死者を蘇らせる力を持った女性を探す女という3つの物語からなる。服従や自己犠牲、妄信という欲望に翻弄される人々が描かれており、人間の本質とは何かを問う作品だ。
     狩猟民族の少女が主人公の『トナカイは殺されて』には、差別する定住民と差別される非定住民の対立が描かれている。日々狩猟採集を行い、移動しながら生き生きと生活する非定住民を見れば、定住民の生活がいかにつまらないものかがよく分かる。
     『ロスト・チルドレン』は飛行機事故によりアマゾン密林で行方不明になった子どもを捜索するドキュメンタリー。GPSを使っても見つからなかった機体を先住民の子どもは見つけることができた。多くの日本人が信じる近代的な合理性より、先住民の合理性の方が正しいことを示している。
     複雑化した社会でわれわれが当たり前だと思っていることがいかにでたらめなのか。7つの映画作品についてジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
     なお、番組の冒頭では、政治資金収支報告書のデータベース化の現状について議論した。
     石破首相は29日、臨時国会で所信表明演説を行い、政治資金収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築の議論を進めると述べた。しかし党内には政治資金の収支がすべてガラス張りにされることに対する抵抗が早くも始まっている。その切り札が「個人のプライバシー」を言い訳に、データベース化される情報の範囲をできるだけ狭くしようという動きになって現れている。
     26日に行われた政治改革に関する与野党7党の協議の場で、自民党の・政治改革本部長を務める渡海紀三朗衆院議員はデータベース化される対象を政党本部と国会議員関係団体に限定する意向を表明している。
     そもそも政治資金収支報告書は今もPDFでウェブ公開され、そこには個人寄付者の名前もすべて公表されている。しかし、それがデータ化されていないために検索やソート(並び替え)などが容易にできず、それが結果的に膨大なページ数にのぼる政治資金収支報告書を詳細にチェックすることを事実上不可能にしている。
     単に、これまでPDFで公開されてきた情報をデータ化し、データベースを構築することで検索が可能な状態にすることが、石破首相が28日の所信表明演説で明言した「誰でも確認ができる」政治資金収支報告書のデータベース化の要諦であることを忘れてはならないだろう。
     それをなし崩し的に無力化しようとする抵抗勢力の巻き返しには、今後も目を光らせていく必要がある。

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    今週の論点
    ・政治資金収支報告書のデータベース化はどこまで進むのか
    ・現実味を帯びるアメリカの「シビル・ウォー」
    ・止まらない便利なサービスへの欲求と労働者の搾取
    ・哀れなるものとは他でもない「あなた」のことである
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    ■ 政治資金収支報告書のデータベース化はどこまで進むのか
    神保: 今日は5金スペシャルということで映画を扱いたいと思いますが、冒頭で話したいことがあります。今日から臨時国会が始まり、石破首相が所信表明演説をしました。今回われわれがこだわった一方でマスメディアがなぜかあまり注目していない点として、政治資金収支報告書のデータベース化の問題があります。石破首相は所信で言及しているのですが、さっそく巻き返しとも潰しとも思われる動きが出てきているので、皆さんへの注意喚起も含めて取り上げたいと思います。
    石破さんはデータベース化については前回の記者会見でも話しており、事実上総理が約束しているということで、行政や党に対する一種の命令ということで動き出してはいます。 
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