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マル激!メールマガジン 2026年6月10日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1313回)
AIが下した価値判断の責任を人間は引き受けられるのか
ゲスト:村上祐子氏(立教大学人工知能科学研究科教授)
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 生成AIが猛スピードで社会に浸透し始めている。
 メールや企画書の作成を手伝わせる程度ならまだしも、最近では人生相談や恋愛相談、さらには家族とのトラブルや精神的な悩みまで、ChatGPTなどの生成AIに打ち明ける人が急速に増えている。
 マイナビが正社員を対象に行った調査では、回答者の2割以上が生成AIに人生相談をした経験があると答えている。もはやAIは単なる検索エンジンではなく、人々にとって「相談相手」としての地位を獲得しつつあるようにも見える。
 しかし、その変化はわれわれが思っている以上に重大な意味を持つのではないか。
 生成AIは便利だ。何を聞いても答えてくれる。しかも、その答え方は驚くほど人間的だ。共感し、励まし、時には慰めてくれる。だが、そこで見落とされがちなのは、AIは人間ではないという当たり前の事実だ。
 AIは経験を持たない。身体も持たない。苦痛も喜びも感じない。そして何より、自らの助言がもたらした結果に責任を負うこともない。
 にもかかわらず、人はAIと対話を重ねるうちに、その助言をあたかも信頼できる人格からのアドバイスであるかのように受け止め始める。
 その危うさを示す事例がすでに日本でも現実に起き始めている。
 今年5月、プロ野球・読売ジャイアンツの阿部慎之助監督が、18歳の長女への暴行容疑で現行犯逮捕されるという事件が報じられた。報道によれば、長女は父親からの暴力についてChatGPTに相談し、その助言に従って児童相談所に連絡したとされる。長女はまさか警察に連絡され自分の父親が逮捕されるとは想像もしていなかった。ましてや自分の父親がジャイアンツの監督を退任しなければならなくなるとも。
 もちろん、家庭内暴力の被害者が相談先を求めること自体は何ら問題ではないし、被害者が責められる理由もない。しかし、この出来事は別の問いを私たちに突きつけている。
 人はAIの助言をどのような重みで受け止めるべきなのか。AIはどこまで人間の行動に影響を与える存在になりつつあるのか。そして、その結果に誰が責任を負うのか。
 実際、アメリカではより深刻な問題も起きている。対話型AIとのやり取りが自殺につながったとして、遺族がAI開発企業を提訴するケースが相次いでいるのだ。
 原告側は、AIの設計上の欠陥や危険性に関する警告不足が悲劇を招いたと主張する。一方で企業側は、利用者自身の行動まで責任を負うことはできないと反論している。
 この論争は単なる製造物責任の問題ではない。
 今、私たちは社会の重要な判断を誰に委ねるのかという、より根源的な問題に直面しているとも言える。
 立教大学人工知能科学研究科の村上祐子教授は、AIそのものよりも、人々がAIをどう受け入れているかに強い懸念を示す。
 そもそも多くの人はAIの仕組みをほとんど理解していない。検索エンジン、顔認識、迷惑メール判定など、AIはすでに社会のあらゆる場面に組み込まれている。しかし、そのことを意識している人は少ない。ましてChatGPTのような生成AIについては、「聞けば答えてくれる便利なサービス」程度の理解で利用している人が大半だろう。
 問題は、その状態のままAIへの依存が進むことだ。困ったらAIに聞く。迷ったらAIに相談する。判断に迷ったらAIの提案を採用する。そうした行動が日常化すると、人間はいつの間にか自ら考え、自ら判断する習慣を失っていく可能性がある。
 しかもAIは中立ではない。その出力には、学習データや設計思想、開発企業の価値観が反映されている。しかし利用者は、その背後にある価値観を吟味することなく、AIが示した答えを「合理的な判断」として受け入れてしまう。その結果、人間自身の価値判断が徐々にAIに代替されていくことになる。
 村上氏が特に懸念するのは、そのプロセスが社会インフラとして固定化されてしまうことだ。一度社会の仕組みに組み込まれた技術は、後から修正することが容易ではない。気づいたときには、人間が判断しているつもりで、実際にはAIが提示する選択肢の範囲内でしか考えられなくなっているかもしれない。
 ローマ教皇レオ14世は5月25日に発表した回勅の中で、AIを巡る問題の本質をこう表現している。AIには身体も経験もなく、苦しみも喜びも感じることができない。AIは結果に対する責任を負わないため道徳的良心も持ち得ない、と。
 これは単なる技術批判ではない。むしろ、人間にしか果たせない役割とは何かを問い直す呼びかけと受け取るべきだろう。
 生成AIの急速な普及によって、私たちはかつてない利便性を手に入れた。しかし同時に、自ら考え、自ら判断し、その結果に責任を負うという人間の根本的な営みを、どこまで機械に委ねてよいのかという新しい問いに直面することとなった。
 AIに価値判断を委ねた社会の先に何が待ち受けるのか。そして、人間はその社会においてなお主体であり続けることができるのか。今週のマル激では、立教大学人工知能科学研究科教授でAI倫理が専門の村上祐子氏をゲストに迎え、生成AIが社会にもたらす変化と、人間が失ってはならない判断と責任について、ジャーナリスト神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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今週の論点
・AI黎明期にリテラシー教育が追いついていない
・生成AIがもたらす「デジタル植民地主義」とは
・アメリカで相次ぐ生成AIによる自殺をめぐる訴訟
・AI時代にローマ教皇が問う「人間とは何か」
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■ AI黎明期にリテラシー教育が追いついていない
神保: 今日のテーマはこれまで何度か取り上げてきたAIです。日本でもアメリカでも新しい動きがあったと思うので、ここで一度整理しておくには良いタイミングだと思いテーマに選びました。

 アメリカはこれまでAIについてはハンズオフアプローチだったのですが、トランプ大統領がついに大統領令に署名し、新規の生成AIが市場に出る30日前までに政府に全て公開し、安全性などをチェックしなければ出してはいけないということになりました。これは一応ボランタリーということになっていますが、トランプ政権が初めてAIに対して何らかの制限をかける大統領令に署名しました。

 良くも悪くもAIはこれまで完全にハンズオフアプローチをしてきて、その間にものすごく発展しました。それに伴い実際に市民生活の中にもいろいろな影響が出ています。AIがものすごい勢いで一般の市民生活に入り込んできていますが、そのスピードがあまりにも速いため、いったい何者なのかが分からないまま、便利だと言って使っている状態です。

 しかし、例えばそこに個人情報を含む色々なことを明かしてしまっている人もいるでしょう。それが大丈夫なのかという問題もあります。誰がそれを見ることができるのかということも含め、もう少ししっかり押さえておいた方が良いですね。AIは調べものなどをする際には本当に便利なのですが、もう少し理解する必要があると思います。

 ゲストは立教大学人工知能科学研究科教授の村上祐子さんです。お話ししたように、アメリカではAIをめぐり色々な動きがあります。来週にはAIとドッキングしたスペースXが上場し、そこにとんでもないお金が入る。またAIに関連する自殺が相次いで訴訟になっています。 
マル激!メールマガジン 2026年6月3日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1312回)
5金スペシャル映画特集
世界を救う前に「誰のためにどう生きるか」を考えてみる
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 月の5回目の金曜日に特別番組を無料でお送りする5金スペシャル。今回は映画特集をお送りする。
 今回取り上げたのは次の3作品。いずれも、人は何に価値を見出して生きるべきなのかを問う秀作だ。
・『プロジェクト・へイル・メアリー』(2026)
・『サンキュー、チャック』(2026)
・『誰だって無価値な自分と闘っている』(2026)
 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、太陽光の減衰によって滅亡の危機にある地球を救うために駆り出された天才的な分子生物学者グレースが主人公。学界から追放され中学教師をしていたグレースは、人類を救うため、片道分の燃料だけを積んで宇宙に送り出される。旅の途中で、同じく母星を救おうとする異星人ロッキーと出会い、協力関係を築いていく。
 当初は人類を救うために行動していたグレースだが、ロッキーとの出会いによって、彼にとって大切なものが変わっていく。作品は、人類のためという大きな理念より、目の前にいるかけがえのない誰かの存在にこそ、人が命を懸ける価値があるのではないかと問いかける。
 『サンキュー、チャック』は、あらゆる災害に見舞われ滅亡の危機にある地球で、「ありがとう、チャック」という謎の広告があちこちに現れるところから始まる。そのチャックとは一見どこにでもいる普通の会計士だ。しかし映画は、そんな平凡な1人の人間の人生がいかに価値あるものかを描き出していく。限られた人生の中で、人や社会にどう評価されるかではなく、「どう生きるか」を選び取ろうとするチャックが、生の喜びを解き放つように踊り出すシーンは圧巻だ。その生は終わりへ向かうからこそ、いっそう鮮やかに輝きを放つ。
 韓国ドラマ『誰だって無価値な自分と闘っている』では、映画監督を目指して20年間デビューできないファン・ドンマンが自身の無価値さと必死に闘う。ドンマンを疎ましく思う周囲の映画監督仲間たちもまた、それぞれ複雑な感情や劣等感を抱えている。中には、ドンマンが監督デビューを果たせば自分が最下層に転落してしまうのではないかと恐れ、現状に安心している者さえいる。他人との比較や序列の中で価値を証明しようともがいていた人々が、最終的には自分自身の価値と向き合うことになる。
 ファン・ドンマンやプロデューサーのピョン・ウナは、感情が表示される「感情ウォッチ」という特殊な機械を身に着けている。「不安」「羞恥」「嫉妬」などネガティブな感情は人間関係の軋轢や社会的な立場への不安から生まれる。一方で「安心」などのポジティブな感情は、社会的な成功とは関係なく、誰かに受け入れられ、愛されていると感じたときに現れる。どんなに社会的な成功を収めてもそれだけで人は満たされるわけではないことも作品は示している。
 この社会では「みんなのために頑張れ」「評価されて上に行け」と言われ続ける。しかし、3作品が描くのは、そのゲームの空しさだ。本当に価値があるのは世間の評価でも社会的地位でもなく、たった1人の他者との関係で、「この人のためなら命を懸けられる」と思える存在がいるかどうかなのではないかを、この3作品は問うている。
 3つの作品を題材に、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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今週の論点
・『プロジェクト・へイル・メアリー』が突きつける、実は誰も人類の未来に関心がない現実
・『サンキュー、チャック』が問う、人生で最も価値あるものとは
・韓国ドラマ『誰だって無価値な自分と闘っている』に見る倫理の本質とは
・社会にとって有用な存在になること=幸せとは限らない
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■ 『プロジェクト・へイル・メアリー』が突きつける、実は誰も人類の未来に関心がない現実
神保: 今日は久しぶりの5金映画特集です。最近は映画といっても半分くらいはドラマを取り上げることが多くなっていますね。今回は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』、『サンキュー、チャック』という映画2本と、『誰だって無価値な自分と闘っている』というドラマを取り上げます。

 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は公開されてから少し時間が経っているので上映館が少し減っているかもしれませんが、『サンキュー、チャック』は5月1日に公開されたばかりです。原題は「The Life of Chuck」です。もう1つは韓国ドラマです。

 「ヘイル・メアリー」という言葉について、メアリーは聖母マリアのことで、辞書では「神頼み」のような意味で説明されています。もちろん最後の望みを託すという意味なのですが、アメリカで最も一般的に使われているのはアメリカンフットボールの文脈です。最後のプレーでタッチダウンになれば逆転、そうでなければ負けという場面で、ワイドレシーバーを全員エンドゾーンに入れ、とにかくその辺りにボールを投げ込みます。そうすればもしかしたら取るかもしれないという最後の一手という意味で、ヘイル・メアリー・プレーと呼ばれています。

 映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、地球の生存をかけた最後の望みのプロジェクトの話です。トレーラーではロッキーの姿を簡単に出してしまうことに驚きました。

宮台: 岩石星人ですね。

神保: これは現代版あるいは未来版の『走れメロス』のような気がします。宮台さんはなぜこの映画を選んだのですか。

宮台: この作品は社会に関わる実存をかなり的確に批評していると思います。批評というのはクリティシズムであり、クリティサイズとはクライシス、つまり危機に落とすということです。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はアヴェ・マリアのような話です。これは神頼みというよりも「ああ女神様」、「ああマリア様」という祈りのようなものです。

 今日取り上げる3本の作品には共通する部分があります。難しい言葉で言うと、「皆のために死ねる」という「共同幻想」はまやかしで、「あなたのために死ねる」という「対幻想」だけが真実であるということです。これは吉本隆明が1968年の『共同幻想論』で述べたことを非常に忠実に物語化していると言えます。 
マル激!メールマガジン 2026年5月27日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1311回)
リベラルは高い理想と現実に即した対応の両立を実現したい
ゲスト:小川淳也氏(衆院議員、中道改革連合代表)
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 中道改革連合はなぜここまで負けたのか。
 2026年2月8日に行われた衆院選で、中道改革連合は167議席から49議席へと議席を3分の1以下にまで激減させた。比例票の減少は前回比で約700万票にのぼる。高市政権にとっての歴史的大勝の裏で、リベラル勢力は歴史的大敗を喫したことになる。
 しかし、これを単なる1回の選挙の負けと片付けてはならない。問われているのは、リベラルそのものがこの国でなぜ受け皿になりきれないのか、という構造的な問いである。
 今回のゲスト中道改革連合の小川淳也代表は、選挙での敗因を「党のアイデンティティが揺らいだ。選挙互助会としての疑念を晴らせなかった」と振り返る。選挙のための急ごしらえに見える政党では、有権者の信頼を勝ち得なかったというわけだ。
 中道改革連合は5月12日、衆院選敗北を受けた総括文書を公表している。そこで指摘されたのは、安保法制を合憲とした党としての判断や、原発再稼働を進める立場を明確にしたことが、リベラル色の強い従来支持層の一部離反を招いたという認識だった。
 安保法制について小川氏は、かつての立憲民主党が存立危機事態条項の削除や修正を強く求めていたことを認めた上で、この10年で安全保障環境は確かに変わったことは認めざるを得ないとも言う。だから中道改革連合としては条文削除までは求めない。ただし厳格な運用は求める。その舵切りは「ギリギリあり得ること」だと小川氏は語る。
 原発についても同様だ。更新や新増設は次世代への責任として避けるべきだという理念は維持するが、厳格な審査を通過した既存原発の稼働については、現実問題として「必要悪として容認せざるを得ない」と小川氏は言う。ただし、本来問われるべきは、化石燃料に依存しない社会へどう移行するかという長期戦略であるはずだ、というのが小川氏の主張である。
 ここに、リベラル政党が抱える構造的なジレンマがある。
 理念だけを掲げていても政治は動かない。しかし現実路線を選べば、従来の支持層は離れていく。では、リベラルはどこへ向かえばいいのか。
 昨年11月のマル激(第1284回「見逃されてきた『新しいリベラル』の受け皿になるのはどの政党か」、ゲスト・橋本努北海道大学教授)で取り上げた橋本氏らの社会意識調査は、この問いに1つの示唆を与えていた。2022年に約7000人を対象に行われたこの調査では、「従来型リベラル」とは異なる特徴を持つ「新しいリベラル」と呼ぶべき層が、一大勢力となりつつあることが明らかになったという。
 ここで言う「新しいリベラル」は、いわゆる護憲左翼的な立場はとらず、再分配そのものには積極的な姿勢を見せる一方で、旧来のリベラルが強調してきた困窮者支援一辺倒ではなく、教育や子育てといった次世代への投資を重視する点が新しいと橋本氏は指摘する。そして問題は、この層の受け皿となる政党が日本にまだ存在しないという事実だ。
 中道改革連合こそがその受け皿にならなければならないと語る小川氏は、社会的投資・次世代支援・現役世代への社会保障・一定の経済成長という方向性については、党内に大きな対立はないとも言う。しかし最大の壁は財源問題だ。理想を掲げるだけでは越えられない。
 「高い理想を失ってはいけない。しかし日々の政治判断は徹底して現実に即して行わなければならない」。長く野党にいることで現実感覚を失ってきた部分があるかもしれない、と小川氏は言う。理想と現実をどうミックスしていくかが、中道改革連合に問われている課題なのだ。
 また、もう1つリベラルが直面している課題は、メディア環境の構造変化である。
 SNS空間では、右派的な主張が感情に直接訴えかける。一方、リベラルや左派の主張は理性や制度論を通じて訴えようとするため、どうしても「一手間、二手間かかる」。リベラルはアルゴリズム上、構造的に不利な立場に置かれているのだと小川氏は分析する。
 その上で、小川氏は社会全体の右傾化を「時代的危機」と呼ぶ。
 歴史を振り返れば、こうした時代の出口はたいてい戦争か革命だった。しかし今われわれは、その一歩手前で踏みとどまり、戦争なき新たな秩序と再分配の仕組みを作り出せるかどうかの瀬戸際にいるのではないか、というのが小川氏の認識である。
 右傾化が進む時代の中でリベラルはいかに生き残るのか。「新しいリベラル」の政治的受け皿をどう作るのか。リベラルの理念をいかにして有権者に届けるのか。中道改革連合の小川淳也代表と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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今週の論点
・中道改革連合がここまで大敗した理由
・安保法制と原発再稼働を容認したのは間違いだったのか
・「新しいリベラル」の支持を集めるために必要なこと
・右傾化の「時代的危機」をどう乗り越えるか
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■ 中道改革連合がここまで大敗した理由
神保: 今日は2026年5月21日の木曜日、第1311回目のマル激です。今日は出張収録として、衆議院第2議員会館の小川淳也さんの事務所に来ています。ゲストは中道改革連合代表で衆議院議員の小川淳也さんです。小川さんとは朝生で何度かご一緒しましたし、外国特派員協会に来ていただいたこともあります。
今日はこの収録前にキックオフミーティングというものがあり、それが小川さんにとってとても重要なものだったということなので、まずはそのあらましをお話しいただけますか。

小川: かねてから長期的な国家ビジョン、社会ビジョンを作りたいという思いがあり、今日はようやく全議員参加のキックオフができました。国民の皆様は長期的な将来不安を持っているので、そこに正面から答えていくということにチャレンジしたいと思っています。

神保: 中道改革連合は1月15日に発足し、その後2月8日に行われた衆議院選挙では手痛い敗北を喫しました。もともとあった167議席から49議席へと減らしました。これは高市政権にとっては歴史的な大勝でしたが、中道改革連合、あるいは旧民主党勢力にとっては歴史的な大敗となりました。
これは何度も聞かれていると思いますし、中道改革連合では総括も出されていますが、あえて聞きます。小川さんはあの大敗北をどのように総括されていますか。

小川: 党のアイデンティティが揺らいだ、投票先としての魅力に欠けたと受け止めています。総括ではもっと厳しい言葉を使っていて、「選挙互助会としての疑念を晴らせなかった」、「選挙互助会としての認識にとどまった」ということなどが、一番厳しい見立てだと思います。

神保: 選挙のために急ごしらえでくっついたように見られてしまったということですね。小川さんは中道改革連合の立ち上げの段階ではどのような思いを持っていましたか。

小川: 幹事長を退いて以降党務には関わっていなかったので晴天の霹靂でした。党内にはこれはプラスだと言っている人もいましたが、私は大変厳しい結果になるだろうと思っていました。地方では無党派層を獲得できないと選挙では勝てないので、無党派層が離れ、議席が半減するのではないかと思っていましたが、実際には半減のさらに半減でした。想定の下限域を下回ったというのが私の認識です。

神保: それを今さら正当化するのは小川さんの仕事ではないかもしれませんが、なぜそれでもやったのだと思いますか。 
マル激!メールマガジン

ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、毎週の主要なニュースの論点を渦中のゲストや専門家らと共に、徹底的に掘り下げるインターネットニュースの決定版『マル激トーク・オン・ディマンド』。番組開始から10年を迎えるマル激が、メールマガジンでもお楽しみいただけるようになりました。

著者イメージ

神保哲生/宮台真司

神保 哲生(じんぼう・てつお) ビデオジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表。1961年東京生まれ。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信記者を経て 93年に独立。99年11月、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を設立。 宮台 真司(みやだい・しんじ) 首都大学東京教授/社会学者。1959年仙台生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。

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