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石川健治氏:あれは安倍政権によるクーデターだった
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石川健治氏:あれは安倍政権によるクーデターだった

2015-07-22 23:00

    マル激!メールマガジン 2015年7月22日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第745回(2015年7月18日)
    あれは安倍政権によるクーデターだった
    ゲスト:石川健治氏(東京大学法学部教授)
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     あの日、日本でクーデターが起きていた。そんなことを言われても、ほとんどの人が「何をバカな」と取り合わないかもしれない。しかし、残念ながら紛れもなくあれはクーデターだった。そして、それは現在も進行中である。
     安倍政権は7月15日の衆院の委員会で安全保障関連法案の採決を強行し、翌16日には本会議を通過させた。今回日本の政治に起きたことは、後世にまで禍根を残すことになるだろうと東京大学法学部教授で憲法学者の石川健治氏は言う。
     その理由として石川氏は今回、安倍政権が、憲法を改正しないまま、長年にわたり憲法によって禁じていると解されてきた集団的自衛権を容認する法解釈と法整備を強行したことによって、「法秩序の連続性が切断された」と考えられるからだと説明する。
     憲法の条文を改正する手続きを定める憲法96条は、憲法の中では他のすべての条文よりも高い位置にある。それを壊す行為は憲法そのものを転覆させる行為であり、これを法学的には「革命」と呼ぶが、「革命」が成功するためには国民の支持が必要だ。しかし、日本国民は憲法96条の改正を支持しなかったため、「革命」は失敗に終わった。
     ところが安倍政権は今度は、国民を置き去りにしたまま、政府レベルで法秩序の連続性の破壊を図った。内閣法制局長官を集団的自衛権容認論者にすげ替え、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、政権与党のみで法案を国会を通してしまった。国民から支持を受ける「革命」に対し、国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には「クーデター」と呼ぶのだと、石川氏は言う。
     石川氏は今回日本が失ったものの中で、最も大きかったものは「理屈が突破されたこと」だったという。理が通らない政策が数の論理によって押し切られてしまったことで、日本が「法秩序」を失ったことの影響は大きい。今後、この法案がもたらすであろう個別の問題を考えただけでも目眩がしそうだが、より高次元で日本の法秩序が破砕されたことの影響は恐らく安全保障分野だけにとどまらないだろう。
     安保法制の事実上の成立で日本が失ったものとは何なのか。今後その影響はどこで表面化し、われわれはそれにどう対抗していけばいいのか。知性主義も立憲主義も否定したまま自身の目的達成に向けて突っ走る安倍政権と、われわれはいかに向き合っていけばいいかを、石川健治氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・安保法制――ナチスと重なる“こっそりと育てられる化け物”
    ・安倍政権によるクーデターである理由
    ・権限の行使は“当然のこと”ではない
    ・「閣議決定で決めたことなのだから、閣議決定で変えていい」という暴論
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