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京都での人権会議と六四追悼|周庭
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京都での人権会議と六四追悼|周庭

2017-06-21 07:00
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。最近あちこちを飛び回っているという周庭さんは、先月京都で行われた「Human Rights Watch」の人権会議に参加しました。活動家にとって大切な価値基準について、周庭さんの考えを語ります。(翻訳:伯川星矢)

    御宅女生的政治日常──香港で民主化運動をしている女子大生の日記
    第9回 京都での人権会議と六四追悼

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    ▲高橋愛表紙のminaを購入。

    この一ヶ月を振り返ると、今月もまた忙しい時期でした。

    まずわたしの今の状況を説明しましょう。

    わたしは今、台湾に来ています。台中のセブン-イレブンに座って、アイスとおでんを食べながら、この原稿を書いています。わたしは朝台中に到着し、明日には香港へ戻ります。そのあとさらに支度して、明後日にはジョシュアと東京に向かい、インタビューを受け、大学の公開講座に出席します。今回台湾に来たのは、ひまわり学生運動(編注:台湾が中国と調印した「海峡両岸サービス貿易協定」をめぐる審議で、台湾の内政委員会が強行採決したことをきっかけに、2014年3月18日、台湾の国会にあたる立法院に学生と市民らが突入・占拠した事件から始まった社会運動)の参加者である林飛帆の結婚式に出席するためです。わたし以外にも香港衆志メンバーのジョシュアとネイサン・ローも参加しました。でもお互いに違う飛行機を予約していたため、今ここで1人食事をしながら、ホテルのチェックイン時間を待っています。

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    ▲その後、さらにジョシュア・ウォンさんと日本へ


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    最近家族からは「飛び回りすぎだろう」と言われているのですが、この他にも先月わたしは関西に行き、アメリカの人権組織「Human Rights Watch」が京都で開催した人権会議に参加し、世界各地から集まった人権活動家の方たちにお会いすることができました。わたしは彼らに香港の人権状態を説明するとともに、他国の状況を知ることもできました。わたしはインドから来られた女性活動家に出会い、女性がインドで直面している問題を教えてもらいました。インドでは女性が公然とセクハラや性的暴行を受けていることが、今やもはや問題視されていないのです。

    わたしたち人権活動家にとって、価値判断はとても重要です。ある出来事に対して「正しい」「正しくない」、「やるべき」「やるべきではない」と考えることが、わたしたちの価値判断の中心です。「やってはならないけど仕方ないよね」、「現実社会にいるわたしたちはこういう誤まったことも受け入れる必要があるんだ」といった考えをわたしは正しいとは思いません。このような考えは同じ過ちを容認し、存在を許し、苦しんでいる人を更に苦しませてしまいます。現状打破はもちろん難しいことです。必ず権力者がここに関与していますから、既得利益集団に歯向かうことになります。しかし、最低限わたしたちは共犯者になってはならない、それがわたしの考えでもあります。

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    ▲京都の景色を楽しむ。たくさんの学生を見かけた。

    今回の京都の話に戻りましょう。今回は仕事で京都に来ていますが、観光する時間も少し作りました。会議に出なくていい二日間は嵐山と二条城へ行き、大阪の天王寺でデザートバイキングとカラオケにも行きました。5月は修学旅行の季節なのでしょうか、京都で高校生をたくさん見かけました。それ以外は中国や、韓国、香港からの観光客でいっぱいでした。嵐山観光のとき、修学旅行の学生と店員さん以外の日本人を見ることはありませんでした。さすが有名観光地ですね(笑)。確かに、嵐山の景色はとても素晴らしかったです。山や川沿いの風景を眺めたり、橋を見たり、それだけでも30分以上過ぎてしまいました。綺麗な景色には全く抗えないのです、わたしは、アハハ。

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    ▲甘いものに目がない周庭さん。

    京都から香港に戻った後、わたしは六四燭光晩会の準備作業に明け暮れていました。1989年の六四天安門事件以降、毎年6月4日に行われる犠牲者を弔う追悼集会です。今年は例年通り、ビクトリアパークのキャンドル・ビジルに参加しました。近年の香港人は「六四は中国の民主運動で、香港人には無関係だ」と言う人も出て来ています。わたしはその考えに賛同できません。八九民主運動と六四鎮圧は香港の民主運動を変えた大きな出来事です。当時約百万人もの香港人が北京の学生たちに声援を送り、政治・商業界の要人が中国政府の暴挙を譴責(けんせき)しました(その要人に今の親中派が含まれているのは、皮肉としか言いようがありません)。それから香港人は中国共産党を恐れる気持ちを抱くようになり、ついには中央政府が押し付けた基本法によって自治権を奪われました。この一連の出来事は全て八九民主運動から始まったのです。六四は香港人と大きく関わっている、それを認めることによって、初めて自分たちの歴史と向き合えることになるのです。

    今回はここまでにしておきましょう。次回また日本であった出来事をお話ししましょう。

    (続く)

    ▼プロフィール
    周庭(アグネス・チョウ)
    1996年香港生まれ。社会活動家。17歳のときに学生運動組織「学民思潮」の中心メンバーの一員として雨傘運動に参加し、スポークスウーマンを担当。現在は香港浸会大学で国際政治学を学びながら、政党「香港衆志」の副秘書長を務める。

    『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』これまでの連載はこちらのリンクから。

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