※本記事は2018年4月5日7時に公開されましたが、弊社の設定間違いにより、ご購読者の皆さまへメールでの配信ができておりませんでした。ご購読者の皆さまへご迷惑をおかけし、メールでの配信が大変遅くなってしまいましたことを深くお詫び申し上げます。【2018年4月6日20時追記】
80年代以降の日本の音楽を「V系」という切り口から問い直す、市川哲史さんと藤谷千明さんの対談連載『すべての道はV系に通ず』。今回は、バンギャル漫画家の蟹めんまさんをゲストに、ヴィジュアル系ブームのピークでありネット黎明期でもある90年代後半のファンコミュニティについて語ります。(構成:藤谷千明)
1999年のメジャーデビューラッシュ
藤谷 今回はゲストに『バンギャルちゃんの日常』シリーズで知られる、バンギャル漫画家の蟹めんまさんをお呼びして、「90年代からゼロ年代にかけてのV系シーン・バンギャルの変化」について伺いたいと思います。 要するに、90年代以前は情報がいわゆるトップダウン型でバンドが発した情報をメディアを通してファンに届けていた。もちろんファン同士のミニコミ活動や私設ファンクラブ活動もありましたが、それを広める手段は限られていました。 それがゼロ年代以降、iモードに代表されるモバイルインターネットの浸透から、ファン、バンギャル側も積極的に発信できるようになりました。バンド側もバンギャルのネタを取り入れるようになって……。例を挙げると人格ラヂオの“バンギャル症候群”、つまりファンの動きが創作にも影響を与えるようになったじゃないですか。ゴールデンボンバーの“†ザ・V系っぽい曲†”などです。そういう時代の境目だったのかなと思います。
市川 はいはいはいはい(←遠い目)。
藤谷 なんですかその〈心ここにあらず〉感は。
市川 だってV系最前線の現場からは撤退してた時期だもん♡
藤谷 (無視)そういうとてもとても重要な過渡期である1999年から2003年の間、私は自衛隊にいたので現世の出来事は雑誌とネットでしか知らないんですね。
市川 〈現世〉って何?
藤谷 いったん入隊したら届け出無しでは外に出られませんから、もう世間から隔絶されてるんです。なので、その時期に既にバリバリにバンギャルをやっていた蟹めんまさんをお呼びしたというわけです。めんまさんは98年前後のヴィジュアル系ブーム直撃世代ですよね。 蟹めんま(以下・めんま):はい。ヴィジュアル系に目覚めたのがまさにそのへんです。お呼びいただけて嬉しいです。
市川 めんまさんは藤谷さんが彼岸に幽閉されてたころ、いくつだったの?
めんま 99年に14歳、中学2年生でした。99年ってすごい年なんですよ。1月から7月くらいまでヴィジュアル系バンドのメジャー・デビューが続いたから、怒濤のリリースラッシュで。まず1月20日にDir en greyがメジャー・デビューして……。
市川 ちょっと待ちなさい。日付まで憶えてるのかあんたは。
めんま 普通憶えてません?
藤谷 (黙って頷く)。
市川 ひーっ。
めんま 5月にはJanne Da ArcとLAREINEが、7月にRaphaelがメジャーデビューしたんです。当時はまだお小遣い世代だから、やりくりするのが大変でした。一度に全部買う財力は無いので、CDショップの店員さんに取り置きをお願いしたり(苦笑)。1999年は《ノストラダムスの大予言》ってあったじゃないですか。私はそれ1月から7月までのリリースラッシュのことだと思ってたんです、本当にお財布が破滅したんで。
市川 ばははは。大丈夫かこのひと。
▲『バンギャルちゃんの日常』4巻©KADOKAWA
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