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【今週の映画】
クエンティン・タランティーノ監督『ジャンゴ 繋がれざるもの』
監督/クエンティン・タランティーノ 製作/ステイシー・シェア、レジナルド・ハドリン、ピラー・サボン
出演/ジェイミー・フォックス、クリストフ・ワルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン
南北戦争直前の1858年、アメリカ南部。黒人奴隷として売りに出されたジャンゴは、元歯科医の賞金稼ぎでキング・シュルツと名乗るドイツ人に買われる。差別主義を嫌うシュルツはジャンゴに自由を与え、賞金稼ぎとしての生き方を教える。ジャンゴには生き別れになったブルームヒルダという妻がおり、2人は賞金を稼ぎながら彼女の行方を追うが、やがて残忍な領主として名高いカルビン・キャンディのもとにブルームヒルダがいるということがわかり……。
☆☆☆☆☆ 極私的データベース消費を究めた怪物的大傑作
☆☆☆☆
【森直人:9点】
これはタランティーノが積み重ねてきた長所だけが完全昇華した最高作ではないか!? 冒頭から他の映画の曲(『続・荒野の用心棒』のテーマ)が堂々と流れるのに、前人未到の域。相変わらずの極私的なデータベース消費(DJプレイ的とも言う)による映画術を貫きながら、もはや「つぎはぎ」や「メタ=ヲタ」の小賢しさやひ弱さがまるでない。とことん個人の快楽原則に忠実で、2時間45分、極太のグルーヴがパワフルに脈打つ怪物みたいな娯楽大傑作だ。
☆☆☆☆☆ タランティーノはいまも成長している
☆☆☆
【松谷創一郎:8点】
西部劇という設定でタランティーノらしい活劇を爆発させながら、アメリカの奴隷制度というテーマを内包する傑作。作為的に歴史を書き変えるという点において、前作『イングロリアス・バスターズ』の延長線に位置するものであり、映画作家として別の段階に歩を進めていることをうかがわせる。これをどう見るかで評価は分かれるが、映画オタクに囲まれた小さな場所に安住することもできた彼が、こうなったのは評価してもいいのではないか。
☆☆☆☆☆ 今こそ見直すべきタランティーノの演出力
☆☆
【那須千里:7点】
その豊かな映画知識と映画体験をこれでもかと詰め込み作家性として成立させる華麗な手腕に目を奪われがちだが、タランティーノの真価は役者の演出力だと思う。彼が『イングロリアス・バスターズ』で発掘してメジャーに押し上げたとも言えるクリストフ・ヴァルツはイングロ以来の自己ベスト更新。裏を返せば、こんなに面白い役者をハリウッドはこの四年間まったく使いこなせていなかったことになる。ヴァルツの二回のオスカー受賞が二本ともタランティーノの作品だったのは最高の皮肉かも。
▼上映中!『ジャンゴ 繋がれざるもの』公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/djangounchained/
▼執筆者プロフィール
森直人
1971年生まれ。映画評論家、ライター。
著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)など。
http://morinao.blog.so-net.ne.jp
松谷創一郎
1974年生まれ。ライター、リサーチャー。
著書に『ギャルと不思議ちゃん論 女の子たちの三十年戦争』(原書房)など。
http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH
https://twitter.com/TRiCKPuSH
那須千里
映画文筆業。
「クイック・ジャパン」(太田出版)、「キネマ旬報」等の雑誌にて執筆。
クエンティン・タランティーノ監督『ジャンゴ 繋がれざるもの』
監督/クエンティン・タランティーノ 製作/ステイシー・シェア、レジナルド・ハドリン、ピラー・サボン
出演/ジェイミー・フォックス、クリストフ・ワルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン
南北戦争直前の1858年、アメリカ南部。黒人奴隷として売りに出されたジャンゴは、元歯科医の賞金稼ぎでキング・シュルツと名乗るドイツ人に買われる。差別主義を嫌うシュルツはジャンゴに自由を与え、賞金稼ぎとしての生き方を教える。ジャンゴには生き別れになったブルームヒルダという妻がおり、2人は賞金を稼ぎながら彼女の行方を追うが、やがて残忍な領主として名高いカルビン・キャンディのもとにブルームヒルダがいるということがわかり……。
☆☆☆☆☆ 極私的データベース消費を究めた怪物的大傑作
☆☆☆☆
【森直人:9点】
これはタランティーノが積み重ねてきた長所だけが完全昇華した最高作ではないか!? 冒頭から他の映画の曲(『続・荒野の用心棒』のテーマ)が堂々と流れるのに、前人未到の域。相変わらずの極私的なデータベース消費(DJプレイ的とも言う)による映画術を貫きながら、もはや「つぎはぎ」や「メタ=ヲタ」の小賢しさやひ弱さがまるでない。とことん個人の快楽原則に忠実で、2時間45分、極太のグルーヴがパワフルに脈打つ怪物みたいな娯楽大傑作だ。
☆☆☆☆☆ タランティーノはいまも成長している
☆☆☆
【松谷創一郎:8点】
西部劇という設定でタランティーノらしい活劇を爆発させながら、アメリカの奴隷制度というテーマを内包する傑作。作為的に歴史を書き変えるという点において、前作『イングロリアス・バスターズ』の延長線に位置するものであり、映画作家として別の段階に歩を進めていることをうかがわせる。これをどう見るかで評価は分かれるが、映画オタクに囲まれた小さな場所に安住することもできた彼が、こうなったのは評価してもいいのではないか。
☆☆☆☆☆ 今こそ見直すべきタランティーノの演出力
☆☆
【那須千里:7点】
その豊かな映画知識と映画体験をこれでもかと詰め込み作家性として成立させる華麗な手腕に目を奪われがちだが、タランティーノの真価は役者の演出力だと思う。彼が『イングロリアス・バスターズ』で発掘してメジャーに押し上げたとも言えるクリストフ・ヴァルツはイングロ以来の自己ベスト更新。裏を返せば、こんなに面白い役者をハリウッドはこの四年間まったく使いこなせていなかったことになる。ヴァルツの二回のオスカー受賞が二本ともタランティーノの作品だったのは最高の皮肉かも。
▼上映中!『ジャンゴ 繋がれざるもの』公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/djangounchained/
▼執筆者プロフィール
森直人
1971年生まれ。映画評論家、ライター。
著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)など。
http://morinao.blog.so-net.ne.jp
松谷創一郎
1974年生まれ。ライター、リサーチャー。
著書に『ギャルと不思議ちゃん論 女の子たちの三十年戦争』(原書房)など。
http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH
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那須千里
映画文筆業。
「クイック・ジャパン」(太田出版)、「キネマ旬報」等の雑誌にて執筆。
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