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香港の罪が中国で裁かれる「逃亡犯条例」|周庭
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香港の罪が中国で裁かれる「逃亡犯条例」|周庭

2019-03-14 07:00
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。今、香港を騒がせているのが「逃亡犯条例」の改定。香港・マカオ・台湾の犯罪者を、中国に引き渡し可能にするという条例です。香港の法的な自立性が脅かされつつある背景について語ります。(翻訳:伯川星矢)

    御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記
    第25回 香港の罪が中国で裁かれる「逃亡犯条例」

    ここ1ヶ月の間、香港で最も議論されている議題は、政府が提案した「逃亡犯条例」の改定です。

    事の発端は、香港の男性が台湾で彼女を殺害し、香港へ戻ってきた事件です。
    香港と台湾は刑事共助条例(いわゆる引き渡し協定)を結んでいないため、香港政府は被疑者を台湾政府に引き渡すことができませんでした。香港政府はこの件に便乗し、逃亡犯条例と刑事共助条例を改定を提案しました。内容は「個別案件移送」という方式で、共産党政府が「中国の一部」であるとしている香港、台湾、マカオの犯罪者を、中国本土に移送可能にするというものです。

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    ▲ネットメディアの取材で写真撮影中

    簡単に言えば、条例の改定後は、今回の殺人事件の被疑者のみではなく、香港人でも香港に訪れた観光客でも、法廷と行政長官の同意のもと中国大陸に引き渡すことが可能となります。

    わたしたちはこの改定に強く反対しています。
    まず、この改定自体が法律的な根拠がなく、そして反体制者(もしくは中国政府が好まない人)の安全を脅かします。ご存知の通り、中国は法治国家ではなく、公平な裁判を受けることもできない場所です。この改定案が通ってしまうと、中国当局を批判したことがある人は、香港人・短期滞在の旅行者問わず、中国へ引き渡すことができるようになります。引き渡し後は不幸が待ち受けているでしょう。中国政府は人権問題においては悪名高き存在で、ちょっとしたことで「国家転覆罪」によって、記者や人権派弁護士、政府を批判した市民を逮捕しています。今回の改定は香港が全体主義国家の共犯者に成り下がる出来事といえるでしょう。

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    香港政府によれば、たとえ条例を改定しても、政治犯罪者などの中国への移送依頼は拒否するとしています。しかし、共産党政府の「実績」を思い出すと、多くの人権活動家は政治犯罪で逮捕されているわけではなく、「経済犯罪」などの罪名を無理矢理被せられています。例えば、数年前の銅羅湾(コーズウェイベイ)書店の関係者2名は、「交通犯罪」や「違法書籍販売経営罪」などの罪名で逮捕されています【注1】。

    ※注1:2015年に中国共産党に批判的な書籍を出版・販売していた銅羅湾書店の関係者5名が失踪した事件。後に中国当局によって拘束されていたことが判明した。

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    今回の条例改定は、台湾での殺人事件が原因に見えますが、民主派議員が改定について適用範囲を台湾に限定し、かつ有効期限を設けるなど提案をしたところ、政府に拒否されました。それゆえ今回の改定は台湾の件に対応するものではなく、香港が北京の命令で反体制者を随時、中国大陸に引き渡せるようにする政治利用が目的だと思います。

    台湾もこの改定には注目しています。今回の改定での「中国」に台湾も含まれていることに対し、台湾行政院大陸委員会の委員はこう発言しています。「もし香港が『一つの中国』を前提に交渉するのであれば、台湾は決して受け入れることはない、そして台湾が持つ主権を否定するような行為を受け入れることはない」と。

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    香港政府は今年7月の立法会休会前に改定を通す予定ですが、わたしたち香港衆志と多くの民主派団体、政党は、街頭と議会でこれに全力で反対します。
    しかしわたしは、香港人の反対だけではなく、国際社会の関心もとても重要だと考えています。可能であれば日本のみなさんにも、この危険な改正案について、より多くの方々に知っていただきたいです。
    わたしたちは香港人・外国人(特に記者や反体制者)が中国に引き渡されることを望みません。もし改定が通ってしまうと、香港はもう安心して自分の意見を述べられる場所ではなくなってしまいます。

    (続く)

    ▼プロフィール
    周 庭(Agnes CHOW)
    1996年香港生まれ。社会活動家。17歳のときに学生運動組織「学民思潮」の中心メンバーの一員として雨傘運動に参加し、スポークスウーマンを担当。現在は香港浸会大学で国際政治学を学びながら、政治組織「香港衆志」に所属している。

    『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』これまでの連載はこちらのリンクから。

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