青山ブックセンター本店・店長の山下優さんによる連載『波紋を編む本屋』。第3回となる今回は、書店の棚を作るかなめとして、感度の高い書店員であるためにはどんな方法がありえるのか、考えます。
前回のこの連載では、書店は本の文化の一端を担っているといえるのかについて、考えました。今回は、書店員の感度の高さについて、考えていきたいと思います。
書店員は、どのように新刊の情報を得ているのか。基本的な新刊の案内は、全国津々浦々の書店に、一律同様の注文書が、営業さんの手によってか、FAX(未だに……)、あるいはメールなどで届けられる。重版情報や、テレビ、書評、広告等のメディア情報も同様です。毎日毎日、膨大な量のFAXが届きます。FAXやメールの場合は、出版社は一括送信が多いので、各書店に合う、合わないは全く関係なく、とにかく送られてくるということが多いです。
加えて、著者や編集者、ライター、出版社のSNS、取次のシステムなど、とにかくチェックするべきチャンネルが多い現状です。また、書店の規模やチェーン一括仕入れなどによる細かい違いはあるのかもしれませんが、主に大手出版社については、全てのタイトルについて希望数を書店が指定することは基本的には難しく、売上の状況から弾き出されるランク(S、A、B~等)に応じて、配本されます。色々な事情から、アナウンスなく突発的に刊行されるタイトルもあります。このように、新刊については膨大な情報量が流れてくるので、全てを把握するのは、なかなか難しいです。
では、書店からの注文数は、どのように決めているのか。当店、青山ブックセンター本店の場合は、各ジャンル担当者が数を決めています。たまに店長の自分は担当以外のジャンルにも口出ししています。当たり前ながら、この新刊の数を決めるというのが、難しくもあり、棚担当者の腕の見せどころです。
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