鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。「サウジアニメエキスポ 2019」のレポートの後編です。日本のアニメ作品の紹介のみならず、漫画の作り方講座など多くイベントも平行して行われ、グランドフィナーレは水木一郎氏・ささきいさお氏による大規模かつ世界初の日本語・アラビア語アニソンのライブが実現した、サウジアニメエキスポの全貌をご紹介します。
前回はサウジアラビアで行われましたサウジアニメエクスポに関する全体の概況レポートを行いました。各社様々な新旧コンテンツが現地に展示、展開されて会場は盛況、いえ、大盛況と言えました。
前の記事で少し触れたことですが、今回、中東での現地メディアとアニメ放映の調印式を行うなど、『キャプテン翼』の要素が強かったことには事情があります。実は今回のイベントに関してサウジアラビアの娯楽庁が主導する以前に企画段階で動いていたのが、サウジアラビアのスポーツ配信の会社様と今回の主催である電通様との間でアニメイベントをしようという動きで、そこから娯楽庁と合わせてイベントが行われたという事情があります。
そのため今回のイベントは、中東における国技・サッカーに関して最強といえるアニメ『キャプテン翼』の展示とプロモーションが一番強く出されたのは当然のことと言えます。
今回も「キャプテン翼」を筆頭に『ワンピース』『僕のヒーローアカデミア』『ナルト(ボルト)』『約束のネバーランド』などの集英社の王道コンテンツの展示の多くは中東のアニメ、漫画ファンに大人気でした。
講談社は『進撃の巨人』を強く推す展示で、かつてアニメエクスポなので展示を行った大型巨人のヘッドバルーン、等身大巨人バルーンを展示するなど、大型の展示物が多く、現地ファンの気持ちをガッチリ掴んでいたと言えます。
▲ダントツの賑わいを見せていた「進撃の巨人展」ブース
また中東では激しい運転やドリフトを楽しむ俗称「サウジドリフト」という車のパフォーマンスがあります。このように激しい運転を行うアラブ人にとって、『頭文字D』のようなコンテンツもなかなかの人気と言えました。
小学館が誇るコンテンツ『名探偵コナン』は相変わらずの大盛況。中東現地にて長らく放映されて続々と映画も展開されているこの長寿番組は、サウジアラビアでも10代から30代までの幅広い層の支持を得ています。
他にも東映アニメーション様、トムスエンターテイメント様、日本アニメーション様など各社様々なコンテンツを披露しておりました。中東で人気であった新旧数多くのコンテンツ、例えば『ドラゴンボール』『ちびまる子ちゃん』『DEATH NOTE』等のバルーンやパネルも展示されており、幅広い年代の層を掴むラインナップであったと言えます。
▲『ちびまる子ちゃん』は中東でも長らく人気の作品 ©Nippon Animation
個人的には『坂本ですが』のパネルがあることに感動しました。実はアラブ圏で知っている人も少数ながら存在しますが、そこまでカバーした日本の版権元の準備はすごいな、と思いました。
▲『坂本ですが』まで網羅されていて感動
▲フリーボードと『バジリスク』のパネルの前でポーズを取るサウジ女子たち
肌の露出が激しい作品の展示などは、サウジアラビア側と日本側のそれぞれの配慮がなされたと見えるものが多かったですが、例えば『少女歌劇レヴュー・スタァライト』のキャラクター展示で膝上ミニスカートのキャラクター描写が許されている点を考えると、この数年で随分と基準は変わったものだと感慨深いものがありました。
▲この丈のスカートの写真が許されたことに驚愕
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