• このエントリーをはてなブックマークに追加

今なら、継続入会で月額会員費が1ヶ月分無料!

記事 9件
  • 鷹鳥屋明『中東で一番有名な日本人』第9回 グローバルビレッジに見る中東の勢力図

    2018-03-29 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』、今回はドバイで万博のような雰囲気を味わえる「グローバルビレッジ」はご紹介します。中東での勢力の縮図を表すかのように世界中の国のブースがひしめき合うなか、日本のブースはというと……?
    ミニ万博、グローバルビレッジとは?
    日本では2020年に東京オリンピックが行われることが話題になっていますが、中東で2020年というとドバイ万博の話題が取り上げられます。2018年を迎えた今年から徐々に万博に向けてのドバイ政府や企業も具体的な動きが出てきており、それに連動して日本の企業も徐々に動きが出てきているのを現地に感じます。この2020年に行われるドバイ万博はアラブ首長国連邦初の国際万博であり、同国としては東京オリンピックより力を注いでいると言えます。そんな2年後のドバイ万博前に万博の雰囲気を楽しめる空間がドバイにあります。
    その名も「グローバルビレッジ」というテーマパークです。簡単に言いますとこのテーマパークは開催期間中に毎日万博の雰囲気を味わうことができる空間と言えます。(野外テーマパークのため夏季は閉園する)

    ▲グローバルビレッジ入り口
    このテーマパークについては今まで現地にいる方などによる簡単に紹介記事がたくさんありますが、今回は密度高めに行っても行かなくても楽しめるように詳しく紹介をすることと合わせて、このグローバルビレッジ内での日本のプレゼンスの現状を感じていただければと思います。
    このグローバルビレッジはドバイランドというドバイの中心部からバスもしくはタクシーでおおよそ30分ほどの距離にある巨大なテーマパークになります。その歴史は実はかなり古く、1995年企画され1996年にドバイ中心部のクリークサイドに小規模な国別のキオスクが集まった簡単なものから参加国が次々と増え、ワフィ・シティの近くに移転してさらに規模を拡大し、現在の住所に移転しました。現在の規模は160万m2という膨大な敷地に、ある程度作られたブースに、ある程度のデコレーションを行い、それぞれの国別のパビリオンとして機能させています。開催年度により参加国に毎年変動がありますが、ここ最近は毎年コンスタントに60〜70カ国のパビリオンが作られています。
    入場料はわずか15ディルハム(450円)ほどですので実に安いと言えます。会場は夕方の4時から夜の11時くらいまでと日が沈んでから賑わうという中東の活動時間の特徴を顕著に捉えていると言えます。

    このグローバルビレッジ内にてそれぞれの国別パビリオンに見るだけで、それぞれの国がドバイの中でどのような立ち位置なのか、どういうものを売り込もうとしているのかを学ぶことができるだけではなく、現地企業の実験場やマーケティングの場として機能している側面もあることから、テストマーケティングの場としては大変面白い空間と言えます。このグローバルビレッジの内情についてレポートしますと、まずドバイの周辺諸国のアラブ諸国のブースは実はそこまで盛況とは言えません。なぜならドバイで日常買えるものはだいたい周辺国で手に入るものと同じものばかりであり、パビリオン内で売っているものは日常買っているもの、見ているものとあまり代わり映えのないものだから、という事情があります。ただ日本人からするとなかなか行くことのできないサウジアラビアやクウェート、バーレーンの国々のブースは魅力的であると言えます。

    ▲日本人には見慣れない女性用のニカーブ、ヒジャブの販売店
    今なかなか行けない地域の物産の数々
    行けない国、という点ですと例えば今内戦で入国がほぼ不可能なイエメンブースではイエメンの伝統的な民族衣装や銀細工などの販売に合わせて多数の蜂蜜屋さんが鎬を削っておりシドルハニー、マウンテンハニーなど様々な蜂蜜を販売しております。ただ残念ながらイエメンの蜂蜜は砂糖添加された水増しされたものが多く、本物の天然の蜂蜜を手に入れるのはイエメン人でも難しいと言われています。また、コムハニーと言われる巣蜜そのものも販売されていますが、その多くは実はトルコやハンガリー産だったりします。ご存知の方もいるかもしれませんが砂糖添加の蜂蜜は簡単な分析ではわからないほど年々加工の手段が巧妙になっており真贋を見分けることは相当難しいですが、舌に自信がある方はぜひお試しいただければと思います。

    ▲蜂蜜を瓶詰めするイエメン人とポリタンクに積まれているイエメン蜂蜜
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…・入会月以降の記事を読むことができるようになります。・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第8回 中東湾岸恋愛事情

    2018-01-25 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。中東の人たちはどうやって恋愛をして、結婚をするのか。アラブ流のナンパの方法から、結婚式の様子、離婚に至るまで、謎に包まれた中東の恋愛事情を鷹鳥屋さんが実例を挙げながら解説します!
    前回、中東で有名なボディビル選手権の話をした際に現地の男女間の性差について少しだけ言及しましたが、改革開放政策の進む中東で現地の人がどのような恋愛をしてどうやって結婚しているのか、という謎に包まれた部分についてぜひ知りたいという声がありましたので、この2ヶ月の間に7人のアラブ人から告白された私が知る限りのエピソードと近年の変化についてお話したいと思います。
    湾岸アラブの伝統的な結婚式、初顔合わせ
    元々湾岸アラブにおける歴史的な結婚は親同士が決める、部族同士で決めるものであり、江戸〜明治時代の日本を想像していただければ良いかと思います。基本的にお見合いがほとんどで、結婚式もしくはその後で行われる顔合わせの儀式をするまでは、男女はお互いの素顔を知りません。伝統的には御簾越しに男女が対面の椅子に座り、御簾をあげてお互い初めてそこで顔を合わせる、という儀式もあったようです。例えるならば結婚式のベールをあげるまでお互いの顔がわからない状況、という言い方が正しいでしょうか。ちなみに湾岸の結婚式では刀を持って曲に合わせて輪になって踊ってご飯を食べて(大皿を囲み、みんなでガツガツ食べます)、飲んで(コーヒーを)騒ぎます。もちろん新郎の祝う場は男子のみで女子禁制、新婦の祝う場は女子のみで男子禁制という空間になります。レパント地方(レバノン、シリア、パレスチナなど)と呼ばれる女性がある程度自由な場所ですと結婚式は男女合同で行います。
    ▲皆で踊って
    ▲歌って
    ▲結婚式の料理をガツガツ食べます
    筆者も結婚式に何度か呼ばれ参加して剣舞のやり方もマスターしてきました。ちなみに剣舞についてはサウジでは刀身を上に突き上げるモーションが多いのに対して、カタールでは刀を平にして上下に動かし、UAEのアル・アインでは刀を持たず皆で肩を組み足のステップを激しく踊る、など地域によって剣舞や踊りはバラバラなため、実際に参加してみて勉強して慣れていくしかありません。
    ▲結婚する友人とそのお父様
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…・入会月以降の記事を読むことができるようになります。・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」 第7回 スポーツ業界、ボディビル業界必見!ようこそ中東筋肉祭り「超アラブ兄貴」の世界へ

    2017-12-27 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。先月にクウェートで行われた「WAWAN CLASSIC 2017」というボディビル選手権に招待され、筋骨隆々の選手たちを間近で見てきたという鷹鳥屋さん。珍しいイベントの様子を、写真入りでレポートしていただきました。
    タイトルからなかなか激しいですが、今回中東にてなかなか珍しいイベントに呼ばれたのでそのご紹介をしたいと思います。
    先月、中東の大手プロテイン・スポーツジムを運営しているWAWAN(ワワン)グループのイベントにご招待をいただき、クウェートへ行くことになりました。
    最初は何のイベントだろう?と思ったのですが、聞いてみて驚いたことに中東で一番大きなボディビル選手権のイベントに特別ゲストとして来てほしい、という内容でした。
    なぜ身長168cm、体重62kg程度の中肉中背の私が呼ばれたのかはひとまず置いておきまして、皆様ご存知のように中東ではジェンダーの面ではまだまだ「男は男らしく、女は女らしく」という意識が強い地域と言えます。それもあって、男性の筋トレは現地ではなかなか盛んであると言えます。そこで今回は、中東最大級のボディビル選手権のご紹介を通して筋肉の写真を多めに、現地の筋肉事情をお伝えできればと思います。

    ▲中東筋肉重量級の1枚

    ▲WAWAN筋肉社員
    WAWANグループはクウェートに本社を置き、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタールなど湾岸アラブ諸国に幅広くプロテインやスポーツジムを展開する企業です。会社規模はかなり大きく、世界最高峰のボディビル選手権で5連覇の伝説のボディビルダー、ロニー・コールマンの事務所と提携し商品を中東で販売しています。他にもアメリカ、イギリスなど多くのブランドと組むだけでなく独自のブレンドで作った自社プロテインの販売も行っています。最近特に力を入れているのが中東独自のテイストのプロテインで、ナツメヤシ(デーツ)を使用したのプロテインや、アラビックコーヒー味のプロテインを開発するなど、研究開発に余念がなく、さらには低カロリー高タンパクのヘルシーなレストラン経営やフードサービスまで幅広く行う企業です。
    代表のアデル・ワワン氏は元警察官で、現職のときに様々な軍隊や警察のトレーニングを受けていましたが、脚の怪我から引退、その後実業家としての活動をスタートされました。クウェート市内の小さなプロテイン・スポーツ器具店から事業を始め、今では国内外に何十店舗もの拠点を持つ企業に育て上げた方です。

    ▲中央アデル社長とWAWANメンバー写真
    ここの社員の皆さまもかなりぶっ飛んでいらっしゃり、バーレーンの担当社員は私が日本人だとわかると
    「俺、ポケモンGO大好きなんだ!今もコンプリート目指して頑張っているんだよ!でもクウェートってポケモンスポットが少ないから、ひたすら走って卵を孵化させているんだ!」
    と爽やかな笑顔でポケモンGOのアプリを見せてくれます。
    そんな彼のトータルのランニング記録は1105kmを超えており、孵化させた卵の数は1200個近くと色々桁数がおかしかったです。
    「ポケモンは筋肉で集めるんだよな!!」
    そんな彼はカイリキーが好きだそうです。そんな脳筋な……いや、素敵な社員がたくさんいる会社のようです。



    ▲筋肉でポケモンを集めるWAWANバーレーン社員写真
    今回招待していただいたイベントの正式名称は「WAWAN CLASSIC 2017」という名前で会場はクウェートシティ南部のクラウンプラザホテルの大会場貸切で行われ、選手権は軽量級、重量級以外にも様々な部門が設けられています。重量級の優勝賞金は現金のドル札で約500万円、二等は300万円となかなか金額の大きいイベントと言えます。
    本年度はボディビル選手権だけでなく、間に総合格闘技の試合が9試合入るというかなり濃い内容をわずか1日の中で行う、なかなかすごいスケジュールでした。では、中東の筋肉をじっくりご覧ください。

    ▲汗とプロテインの香りが漂う会場エントランス
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…・入会月以降の記事を読むことができるようになります。・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第6回 今サウジアラビアで何がおきているのか?

    2017-11-16 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今月、サウジアラビアで汚職対策委員会が、11人の王子や現職閣僚らを拘束しました。日本ではその一人、著名投資家のアルワリード王子の豪華な生活に報道の焦点が当たっていますが、鷹鳥屋さんはもっと重要なことがあると語ります。なぜ王子たちが拘束されているのか、没収された資産はどうなるのか、鷹鳥屋さんがサウジアラビアの今を伝えます。
     前回はサウジアラビアのエンターテイメント産業のこれからについてお話しました。さらにその前は働くサウジアラビアの若者について話していましたが、常に問題になっていたのは「石油価格の低迷が進む今、国家歳入が落ち込んでいて国家財政的に厳しい」という部分でした。  ですが、皆様も最近のニュースでご存知のように、ある意味で「埋蔵金」と呼べるところから財源を確保するのではないか、というニュースが世界を駆け巡りました。11月5日にサウジアラビアのサルマン国王の息子のムハンマド・ビン・サルマン皇太子(以下、ムハンマド皇太子)がアルワリード・ビン・タラール王子(以下、アルワリード王子)を含む11人の王子や、政府の閣僚、高官らを一斉に拘束しました。日本の各メディアでは、この中で特に有名なアルワリード王子について、その資産家・投資家としての豪華な生活について特集をしていました。しかし、他にもっと重要なことを伝えなければいけないと思い、今回は急遽前々から準備していた『中東ボディビル選手権最前線』 から内容を変更してこのニュースについて書くことにしました。
    サウジアラビア王族早見表(作:鷹鳥屋)©Al-Arabiya, ©Al-Sharq, ©John B. Philby
    アルワリード王子とは?メディアの語らぬ奥の奥まで
     今回の件で、日本のメディアでは知名度が高く資産家としても有名なアルワリード王子についてよく取り上げられています。しかし、なぜアルワリード王子の資産だけが公開されているのかという点、彼がなぜサウジアラビア政府の人間ではなく私企業のトップというビジネスマンになったか、ということについては伝えられていません。  その説明をするためには、まず彼の父親であるタラール王子について話さなければなりません。タラール王子は初代国王のアブドルアジーズ国王の21番目の息子でありながら、その妻はレバノン系の女性でした。そしてナセル大統領統治下のエジプトに滞在し共産主義に染まり、通称「赤い王子」という名前も持つ方です。この方は一部の王族たちと共に「自由王子運動」というサウジアラビアの体制批判運動を起こしたことから、後に王位継承権を返上し官職にも付かず、現在は政治の表舞台には出ていません。 ▲タラール・ビン・アブドルアジーズ王子、アルワリード王子と面影が似ています■PLANETSチャンネルの月額会員になると…・入会月以降の記事を読むことができるようになります。・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第5回 中東でエンタメ大国は生まれるのか?

    2017-10-25 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。若年層の多い中東では、年々アニメや漫画、ゲームの人気が高まっています。5〜6万人を動員するというドバイコミコンを筆頭にイベントも乱立していますが、「中東クオリティ」のトラブルが起こることも多くあり……。延期を重ねるイベント、準備体制が「マイナス」のワークショップ、いっこうにできあがらないアニメ、それに翻弄される日本企業の様子まで、鷹鳥屋さんに詳細に語っていただきます。
     前回は石油依存型の経済から脱却し、石油産業以外の産業を興そうと努力をするサウジアラビアの現状とサウジアラビアの若者が以前よりは勤勉に働きつつある近年の流れについてお話しました。今回は今後、中東各国が発展させようとしている様々な産業の中で特に注目すべき産業、日本も深く関わることになるでしょう、エンターテイメント産業にフォーカスを当てたお話をさせていただきたいと思います。それと合わせてエンターテイメント産業を活発化させて「エンタメ大国」を目指す中東各国の現状についてご紹介、さらにこの「エンタメ大国」の担い手が人口の多くを占める若年層たちを盛り上げるために行っている投資やイベントの様子についてお話させていただければと思います。
    ▲政府主催イベントで『まどマギ』について語る女性スピーカーと聴衆
    乱立する中東アニメ・漫画イベント戦国時代
     近年、中東の各国ではアニメ、漫画系のイベントが乱立しています。小規模なイベントから大規模なイベントまで行われており特にこの2〜3年の間に中東の様々なイベント会場で行われ吸収、合併、解散など動きが激しくなっております。 ある意味、エンタメ系イベントの戦国時代と申しますか、激しい競争が行われています。一番大きなものはドバイコミコンで3日間に5〜6万人近くの来場者数を誇ります。この後の表以外にも水面下で動いているイベントなども多数存在しており、11月のコミコン・アラビアや12月の日本村イベントなど小規模、中規模のものは除いて大規模なものをピックアップしてみました。
    ▲乱立する中東各地のアニメ、漫画イベントの一例(10月以降の内容は仮予定)
     現状ではアラブ首長国連邦がその利便性と会場の融通性、展示物、販売物の規制の緩さ(展示物や販売物の肌の露出の問題など)によりリードをしていますが、皆ドバイコミコンに対抗してより良い集客のためにクウェートやサウジアラビア、カタール、アブダビでは有名なアーティストを呼ぶべく、招致合戦を活発化させております。ただ同時にその裏で、例えばこれは某北アフリカのイベントなのですが、肌の露出が多いコスプレイベントを反イスラム的と考えるイスラム過激派がイベントを中止させるため主催者の一人を拉致する、などという事件が起きています。主催者は後ほど無事解放されました。今までの保守的な文化と開放的な文化とのせめぎ合いのトラブルもそこそこ聞きますが、やはり中東各国の多数派を占めるのは若年層であり、この層はゲームやアニメに対して親和性が高いため徐々に受け入れられており、年々この種の規制が緩くなっているという印象を受けます。戒律などで女性の肌の露出が厳しいサウジアラビアでも去年のサウジコミコンではコスプレゾーンを男女それぞれのゾーンを完全に区切ることでこれらの問題に対処しています。
    ▲中東一の来場者数を誇るドバイコミコン会場(DWTC) ▲アブダビ開催のアニメイベントの広告に集まる観客 ▲ドーハで日本のアイドルに笑顔のカタール人©「みちのく仙台ORI☆姫隊」 ▲クウェートのアニメイベント内のコスプレ大会の様子■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第4回 なぜサウジアラビア人にレジ打ちをさせるのは難しいのか【第4木曜配信】

    2017-09-28 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今回のテーマは仕事です。あまり働かないイメージがあるというサウジアラビア人の若者たち。その背景には、石油産出国ならではの事情がありました。サウジアラビア人はレジ打ちにも一苦労? 期待の星、皇太子殿下の指揮下で進む国家戦略とは? 鷹鳥屋さんが現地のレポートを交えてお伝えします。
     今回、著者の鷹鳥屋はサウジアラビア皇太子殿下麾下の財団に関する案件でサウジアラビアに滞在しておりますので、この原稿は、サウジアラビアのリヤドよりお届けさせて頂きます。
    サウジアラビアで働く人々とサウダイゼーションの今
     サウジアラビアは世界有数の入国しにくい国とは言われていますが、それは旅行やバカンスで訪れることが難しいという意味であり、3200万人近くいる人口のうち約800〜900万人近くは移民人口(経済移民)であると言われています。その移民人口の構成は非産油国のアラブ諸国、東南アジア、アフリカなど、数多くの地域からサウジアラビアへ働きに来ている人々です。この出稼ぎ労働者とも言える層がサウジアラビアのブルーカラー及びホワイトカラーの多くの部分を占めておりました。これはサウジアラビアだけでなくUAEやカタールなど中東の産油国で主に見られる光景だと言えます。私はこの5年ほどの間に1年に1〜2回ほどサウジアラビアを訪れる機会がありましたが、毎年行く度に感じることの一つに、ホワイトカラーだけではなく、様々な分野においてサウジアラビア人が就業する比率が全体的に増えているという点が挙げられます。ここまで読んで、自国の経済を回すには自国民が働くのは当然では? と思うお方もいるでしょう。しかし、今まで産油国の経済(特にブルーカラーや一部ホワイトカラー)を支えていたのは移民労働者が主だったのです。
    ▲現地の移民労働者(バングラデシュ人)と著者 リヤドにて
    あまり働かない?アラブの若者達
     ですが、経済を全て移民任せにするわけにもいきませんので、サウジアラビアには「サウダイゼーション」と呼ばれる制度が存在しています。サウジアラビアで営業活動、業務を行う会社では雇用する労働者の一定数をサウジアラビア人により構成しなければならないという制度です。この制度は現地に進出をする企業にとってはなかなか難しい制度の一つです。優秀な人材はやはり現地政府や公社、企業に勤めたがるため、場合によってはスキルが高くない、もしくは勤労意欲がそこまで高くないサウジアラビア人を雇わなければならないという現実があります。実際いざ雇っても、一日中新聞を読むか同僚とおしゃべりをするか、携帯をいじるだけなのに高給取り、というサウジアラビア人労働者に悩まされた日本企業の方々の怨嗟の声は過去多くありますし、現在進行形の問題とも言えます。ちゃんと会社に来ればまだいい方で、会社にも来ない社員まで存在しています。 サウジ以外のとある某産油国で国立病院の人事部に勤務している私の友人は 「今日は英語のメールを5件書いて送ったから疲れたよ」 と一日の就業時間内における自身の圧倒的な業務パフォーマンスを私に自慢気に話してくれたりしました。朝職場へ行って新聞を読み、Facebookを投稿してアプリゲームに興じた後にメールを確認して返信し、昼の2〜3時に帰宅する彼は年収900万円近くでした。(産油国の多くでは所得税がかからないため年収=手取りの収入になります) これはサウダイゼーションの比率維持のためだけに雇っているというケースになります。この制度は勤労意欲に乏しいサウジアラビア人をさらに甘やかすだけの制度とも言えるのですが、そうでもしないとサウジアラビア人が進んで雇用されるということは決してありません。現地進出企業・外資系企業は必要コストとして甘んじて受けるしかなく、サウジアラビア人社員を名ばかりの管理職や重要ではないポストに置く、もしくは中央政府や現地企業の血縁や2世などを採用してビジネスを円滑に進めるための存在として確保するなどの方法を対策として取ってきました。もちろん産油国でもエリート層、もしくは超エリート層の方々の知力、見識は素晴らしいものがあり、そのような方々を雇えればいいのですが、現地進出企業がサウジアラビア政府の高級官僚並みの給与提示ができない、またそのようなエリート層は民間企業に行きにくいという事情があります。このサウジ政府や公社などがもたらす高給はサウジアラビアが原油を軸とした鉱物資源から得られる莫大な収入をベースにしたものであり、資源高が続く限り維持されるものでありました。 
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第3回 中東の民族衣装の差異と着用法

    2017-07-27 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』、今回のテーマは日本人にはあまり馴染みのない、湾岸アラブ諸国の民族衣装です。個人でのアラブの民族衣装の保有数は日本一、現地でも日本国内でも民族衣装を着こなしている鷹鳥屋さんが、各国の衣装の違いや着用法について徹底的に解説します!
    服装による湾岸アラブの見分け方
    第2回でお伝えしたように、最近の湾岸アラブ間では外交状況の変化によりそれぞれの国民性が強調されるようになってきました。その時代の中で湾岸アラブの装いの差異に対して見極めをつけることが少々重要になってきたと言えます。
    最新のニュースではサウジアラビアの女性がミニスカートで宗教的に厳しいと言われる地域を歩き警察に逮捕される、という話が出てきております。女性の自由について、という点では議論が多くありますが、ミニスカート以前に現地の方々がどういう服装をしているのか、という点を知ることは中東に皆様が出向く際にお役に立つと思います。
    日本と他の東アジアの民族衣装のまだ見分けがつきやすいですが、アラブ諸国の民族衣装の差異はなかなかつきにくいかもしれません。ですが昨今外交上のトラブルが多い湾岸アラブ諸国の中でサウジアラビアの人に向かってカタール人か、と聞いたり、アラブ首長国連邦(以下、UAE)人にサウジアラビア人か、と聞いたりするのは相手の第一印象に大きく影響することになります。
    多くの人は中東の衣装、といえば真っ白な衣装に頭に黒い紐を巻いて、時にはサングラスをしてというイメージがほとんどだと思います。石油王ルックスなどと呼ばれていますが決して王族ばかりが着ているわけではなりません。なかなか面白いことなのですが、中東の湾岸アラブ諸国では例えばサウジアラビアやUAEやカタールなどでは身分の違いにより服装が大きく変わることはありません。デザインに関しては民族ごとの特徴はそのままで、高価な物は素材が大きく変わります。
    イメージとしては国ごとに特徴的なスーツのデザインがあり、国民が皆同じワイシャツとスーツを着ていますが、廉価版と高級版では素材が大きく異なってると考えていただければと思います。
    今回の推薦書:星海社コミックス『サトコとナダ』

    ▲ハロウィーンでよく着られている石油王コスプレ衣装今回はこのコスプレ衣装についてではなく、本物について詳しく説明したいと思います。まずこの男性用民族衣装の名前についてですが、コスプレ衣装では「カンドゥーラ」と呼ばれていますが、これは主にUAEでの呼び方になります。
     ▲例外もありますが大きく分けるとこのような形になります。
    男性用民族衣装はサウジアラビアやバーレーンでは「ソーブ」もしくは「トーブ」と呼びます。クウェートやオマーン、イラク等では「ディスターシャ」という名前になります。それぞれ服の特徴として、UAEの「カンドゥーラ」は襟がなく、糸を固めたボタンが3つ正面に付きます。それに対してサウジアラビアの「ソーブ」「トーブ」は襟首が中学校、高校の制服のカラーのような形になります。それに対してカタールの「ソーブ」「トーブ」は通常のワイシャツと同じような襟型のカラーが付きます。「ディスターシャ」はクウェートのタイプだとサウジアラビアの形に近いのに対して、オマーンの「ディスターシャ」はUAEの形に近いものになります。
    基本的にこれらの服の色は白がほとんどですが、サウジアラビアの西岸、ジェッダなどの方では線模様や袖にデコレーションが付いたりします。UAEだとクリーム色や黒色などがあり、クウェートでもクリーム色や藍色などバリエーションがあります。この中ではUAEやオマーンが装飾も多く、一番カラフルと言えます。
    ▲中東の男性ファッションをまとめたイラスト ©Liz Ramos Pardo
    *バーレーンはサウジアラビアと同じスタイルが多くイラストのような服はあまり着ません。 *イラスト上のサウジアラビアとクウェートの「トーブ」がそれぞれ逆になっています。サウジの「トーブ」はボタンのラインが下までおりません。胸前で止まります。 *最近はサウジもクウェートも胸にポケットが付くものが多いです。
    ▲UAE内での「カンドゥーラ」販売店の様子

     ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第2回 もしも湾岸アラブの国々が男子高校生だったら

    2017-06-16 07:00  
    540pt

    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』の第2回となる今回は、現在話題になっている対カタールへの国交断交がテーマです。湾岸アラブを高校に例えて話題のニュースをユーモラスに解説。鷹鳥屋さんならではの視点で、現地の人の反応や今回表面化した各国の思惑をまとめます。
    カタールとサウジ、UAE、バハレーン等との国交断交について
    今回様々なニュースで報道されている内容で皆様はご存知かもしれませんが、6月5日にサウジアラビア、UAE、バハレーン、エジプトの4カ国が相次いでカタールに対しての外交関係を断絶する、と発表しました。現在もいくつかの国とカタール間で国交断絶か外交レベルの格下げが次々と行われています。もう既に著名な先生方や知識人の方々が筆を尽くし話されているので、内容が被るような詳しい話を書くよりも、さっぱりしてわかりやすい話にして、今回の国交断絶についてお話したいと思います。

    ▲カタールサッカースタジアム建築予定地
    *本当に遡れば、現カタール首長(元首のこと)のお父様の即位時点のゴタゴタについてから書かなければならないのですが、そこまで書くと大変長くなるのでここ最近起きたお話を“超”単純化してお話したいと思います。
    たとえ話で言うならば、、、*フィクションです。
    とある世界にある王立湾岸アラブ高校にサウジアラビアとカタールとバーレーンとUAEがいました。彼らは同じ学校のメンバーとして仲良くつるんでいましたが、最近カタールが抗争中である他校のイランやムスリム同胞団などとこっそりと、時には堂々と遊んでいる姿が目につくことは湾岸アラブ高校の他のメンバーは許せませんでした。それにサウジアラビアやUAEはカタールが転校してきた際に前々から因縁があるので学内でトラブルがあるとお互いメンチを切っていました。

    ▲セガサターンを楽しむカタール人の若者 © Shams_Qamar_JP
    そんな時、海の向こうの巨大なメリケン高校の番長、トランプ番長が湾岸アラブ高校までやってきました。湾岸アラブ高校メンバーたちにトランプ番長は
    トランプ「俺たち仲良くやっていこうぜ、あと気に食わない相手は一緒に倒していこうぜ、ほらサウジさんに鉄パイプと釘バット。(大口の武器輸出合意)」

    ▲サウジアラビアを訪問するトランプ氏
    といくつかの高校を名指しにして打倒宣言をしました。ですがその高校の中にはカタールが仲良くしている高校が入っていることがカタールは許せませんでした。さらにカタールは
    カタール「他校の強い生徒とつるんでなにが悪い? あいつらだって悪いやつじゃないさ!それにメリケン高校の今後なんかわかったもんじゃないぜ!」
    と発言したという噂が出てきました。メリケン高校と合わせて結束し他校を打倒していこう、と皆で宣言したばかりの王立湾岸アラブ高校のメンバーとしては言ってはいけない発言でした。それに対してサウジアラビアが
    サウジ「全員で足並み揃えているのに何言ってるんだ? 潰れたデーツ(ナツメヤシ)みてーにしてくれんゾ・・?」
    と激怒してカタールになぜそんなこと言ったのか、を問い詰めますが、カタールは
    カタール「いやいや、そんなこと言ってねえよ! 俺の発言じゃない! これは何かの陰謀だ!(QNA:Qatar News Agencyに対するロシアのハッキング疑惑?)」
    と必死に否定しますが、サウジアラビアは様々な証拠を突きつけると同時にカタールの言い分を信じず言い訳も聞こうとしません。(アルジャジーラチャンネルの遮断)
    サウジアラビアは同じ湾岸アラブ高校のメンバーと示し合わせて
    サウジ「最近カタールが他校の連中と仲良くしすぎているのはもう我慢できないわ、サウジをナメるんじゃねーゾ・・カタールゥ・・・」
    と、カタールに対して今後湾岸アラブ高校のメンバーは
    カタールと口もきかない(外交断交)
    カタールの席にみんな行かない、来たら追い返す(国外退去)
    カタールとお昼のお弁当のおかずを交換しない(貿易の停止)
    カタールへの同情発言をすると掃除用具箱に閉じ込める(同情発言への禁固刑)
    カタールのいつもの通学路を封鎖する(領空通過の禁止)

    ▲領空一覧

    ▲領空通過禁止後のカタール航空航路

    ▲人のまばらなハマド国際空港
    などと湾岸アラブ高校内で徹底的に無視することにしました。さらに他の影響力が及ぶ他校にまでカタールとの関係を切るようにプレッシャーをかけていきました。カタールが態度を改め、皆に謝るまで許さないつもりです。カタールは一瞬お昼のお弁当のおかずが一部なくなる危機感に襲われました。
    特に鶏肉や乳製品、飲料品などはサウジアラビアやUAEからもらっていたからです。そうすると、そんなカタールの様子を聞いた他校のイランやトルコが
    イラン「おいおい、カタールかわいそうだな。安心しろよ、俺たちがいるぜ?」
    トルコ「なんだよ、苦労しているな。ほら差し入れだ。俺とお前の仲じゃないか」
    とカタールが湾岸アラブ高校のメンバーから回してもらえなくなったチキンやジュース、乳製品、果物をいっぱい抱え、カタールの席まで行って支援するようになりました。

    ▲パニック前後の写真

    ▲「カタール国産品を買いましょう」というカタール経済通産省の広告(©mec.gov.qa)
    イラン「ほら、お肉を66トン持ってきたぜ! 安心しろよ、これから毎日100トンの果物と野菜をお前の席まで空輸してやるぜ!」
    とイランはノリノリです。一瞬、これからのお弁当どうしようと心配していたカタールでしたがこの万全の支援を受けて
    カタール「俺はこれからも湾岸アラブ高校内で態度を変えるつもりはないぜ!」
    と宣言する、という状況になりました。
    他の場所への移動は苦労しますが(航空ルートの制限)今の所カタールの台所事情は落ち着き、さてこれからどのような動きになるのか、、、

    ▲カタール国産を強調するPOP(© mohtakec)
    と、ちょっとざっくりし過ぎているかもしれませんがこのような例で考えていただければ、なんとなく何が起きているのかわかっていただけると思います。
    追記:どういう流れで届いたかわかりませんが、貿易封鎖がされているカタールに日本の「雪見だいふく」が届いたという報告がありました。この事件が契機となり灼熱のカタールで雪見ができるようになりました。

    ▲雪見だいふく、カタールのスーパーマーケットに陳列!

    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
     ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
     ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 【新連載】鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第1回 中東で一番有名な日本人?【不定期配信】

    2017-05-16 07:00  
    540pt

    今回から、「中東で一番有名な日本人」とも言われる鷹鳥屋明さんの連載がスタートします。サウジアラビアのサルマン国王に関する報道でテレビ出演をしていた鷹鳥屋さんは、日本での偏った報道について憤りを感じていました。中東やアラブに造詣の深い鷹鳥屋さんの視点から、中東のイメージと現実のギャップについて語っていただきました。
    中東で一番有名な日本人?

    ▲バーレーン、マナマの友人の結婚式にて
    はじめまして、鷹鳥屋明(たかとりや あきら)です。現在日本と中東を繋ぐベンチャー企業で商品企画の仕事をする傍ら、日本文化や日本のポップカルチャーを中東全域に広める活動を個人で行っております。「中東で一番有名な日本人」という少し大げさなタイトルにはなっておりますが、上記活動を継続し私人として中東各国の日本のことに興味がある、日本に興味があるアラブ人の方々はだいたい知っている、現地中東大手メディアに出演を繰り返し、InstagramやTwitterでフォロワーの合計がアラブ地域で合計9万人くらいまでになり、Like数も250万を超える、くらいに知名度を上げることができました。

    ▲サウジアラビア、キングダムタワーにて講演私自身、中東・アラブという地域に触れてまだ6年程度で多くの諸先輩方を差し置いて色々お話することは大変おこがましいですが、この常時何万人ものアラブの方々からの繋がりから集めた情報や現地の人たちの意見などを交え、日本から離れており知り得る機会が少ないこの中東地域について、私自身が学んだことや感じたこと、知り得たことを皆様に共有し、少しでも正確な情報をご提供できればと思います。このような機会を与えてくださったPLANETSの方々に感謝致します。

    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
     ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
     ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。