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山田玲司のヤングサンデー 第325号 2021/1/18

「自分は何をしたらいいのか?」について

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「何をしたらいいかわからない」という人がいる。


「好きなことをしていいよ」と言われたり「好きな職業に就けるなら?」などと聞かれると頭が固まってしまうのだ。


人生相談にはこういう相談が必ずあって、それは僕の世代でも同じだった。


死ぬほど言われてきた事だけど「何をしたら褒められるのか?」(もしくは「何をしたら怒られないのか?」)を主体に考えて行動していると、次第に「そもそも自分は何がしたいのか」がわからなくなるわけだ。


日本ではこういう「他者に評価されることを目的とした教育」が延々と続いていて、そのせいで多くの人が「自分」がわからなくなった。


そういう人達を「アダルトチルドレン」と呼んだり「自分探し」なんかのブームも起こったのが0年代くらい。


そんなこんなやっているうちに政治も経済も(文化も)ボロボロに劣化して行き「生きていくだけで精一杯」の時代が来てしまった。


「自分は何がしたいのか?」「自分とは何ものか?」なんて考えるエネルギーも余裕もない人達が多数派になった。




【AIが見つける自分】


そこにトドメを刺すようAIが「あなたのオススメ」を洪水のように押し付けてくる時代になった。


自分探しまでAIがしてくれるわけだけど、その出口は基本的に「消費行動」だ。


「何がしたいか?」は「何を買えばいいのか?」であり、消費のために必要なお金の問題には「こうすれば儲かる」とかいう情報も合わせて送られてくる。


AIは「自分」を「消費行動の奴隷」として定義していて、油断していると「買う」と「稼ぐ」の無限地獄へ導く。

(映画「ファイトクラブ」はそんな地獄からの解放闘争がテーマでしたね)



ともかく「便利な機能」は人間から「意思」とか「自分」とかを奪っていくようにできているので、今の日本は「評価教育」と「ネットAI」が2段構えで(本当の)自分を消してくる国なのだ。


こういう流れを見ていると「自分に従って生きる」というのが本当に難しい時代になったのだと思う。




【逆張りブーム】


そうしてみんなが「みんなと同じ」になる雰囲気になると、今度は「自分だけはあいつらとは違う」という気分が「商品」になってくる。