『山下駱駝』チャンネル会員になっていただくことで、【こちら】にてアーカイブ配信でいつでもご覧いただけます。ぜひ三澤さん旋風を楽しんでください。
ここでは生放送終了直後の山下さん、駱駝先生、三澤さんへのインタビュー、後編をお届けします。前編は【こちら】からどうぞ。
■今回の掛け合い芝居は、アフレコ現場の基礎の基礎
───番組の後半、駱駝先生のプロット脚本を演じてみて、いかがでしたか?
山下「今までよりも映像が浮かびやすいシーンでしたし、今日は駱駝がディレクションにも挑戦していた(笑)」
三澤「音響監督としての第一歩!」
駱駝「ディレクションって、あんな感じであってるの?」
山下「明確に意図がわかりやすくて良かったよ」
三澤「指示が具体的でしたからね。演者にも視聴者の皆さんにも、伝えやすい言い方をしてくれていたから、番組としても面白くなったと思う。
『なんか違うんだよなー』ってフワッと言われても、どうしていいかわからないから(笑)」
山下「本音を言えば、ディレクションを受けて、変わった演技も見せられたら、見てくれた皆も、もっと楽しめたと思う」
三澤「普通に『もう1回やりますか?』って訊いちゃったし(笑)」
駱駝「それはねー、俺も思った。だけど尺がそれを許さなかったね。
実際のアフレコって、もっと時間をかけて調整していくんだけど……番組の1コーナーでは、とても無理!(笑)」
───実際のアフレコ現場では、ああいう風にディレクションを元に修正していくんですか?
山下「本来はそうなんです。音響監督から指示を受けて、演技を変えて、すり合わせていくんです」
三澤「今日の内容だと、新人には対応できない難易度でしたね」
───と言いますのは?
山下「『このキャラには隠し事があって、嘘をついている』みたいに、隠れた部分がチラッと見える。バックボーンの深みを演技に滲ませるのは、やっぱり経験や技量が物を言いますので」
三澤「超楽しかったんだけど、ディレクションを受けて、どう演技を変えてきたのかを皆さんに見せられなかったのは、ちょっと悔しいかな」
山下「まだまだここからブラッシュアップしていく演技を見せたかったですね。モノづくりの本当に基礎の基礎みたいな段階なので。
三澤さんが最初からレギュラーって前提で、説明無しに冒頭からアニメ化計画をやれば良かったくらい(笑)」
三澤「今日の放送は、アーカイブ動画にはなりますけど、作品にならないのがもったいないですね。
配信を見てくださった方は、もしもアニメ化された際には『初期はこんなんだったのに』って古参ぶってください(笑)」
■『俺好き』のアフレコ現場は戦場だった!? 心地よいバチバチ感で演技を高め合う
───今日のお芝居やディレクション、『俺好き』のアフレコって、こんな感じだったのかな?って想像しながら見ていました。
山下「『俺好き』の現場は、原作の先生が毎回立ち会ってくれて、ゴリゴリ意見を述べてくれるのが新鮮で、珍しい現場でした。
不明瞭な部分を質問できる存在が目の前にいらっしゃったので、僕たち演者からも質問しやすかったんです。不明瞭なまま演じることにならなかったのは助かりました」
───頼りがいがある原作者だったんですね。
駱駝「こっちとしても『何を訊いてもいいよ』オーラを感じ取ってもらえるように振る舞ったので、その雰囲気が早くから作れたのは良かったな」
山下「『このあんちゃん、何を訊いてもOKな人だ』って、すごくやりやすかった(笑)」
三澤「『このセリフの元ネタって○○ですか?』って現場でも質問していました」
駱駝「『俺好き』ではパロディネタがちょいちょいあって、オマージュしている元ネタを現場で解説していた。
俺はお笑い芸人の漫才が好きだから、『あの漫才のこの人っぽく言ってください』ってお願いしたら、誰もその人を知らなかったこともあったり(笑)」
三澤「とりあえず元ネタわからないけど、キャスト陣みんな笑顔で『よし頑張ろう! 一回やってみよう!』って、そんなノリでしたね(笑)」
───他媒体の駱駝先生インタビュー(※)で、第7話プール回のコスモスのアドリブが面白かった話をされていました。ああいうアドリブは現場で、どのようにして生まれるんでしょうか?
駱駝:イルカに乗ったジョーロを叩いて出発させた後に、コスモスが「ジョーロ君の家に挨拶に行くのが先かな」って妄想してるんですけど、一番最後の方に、「子供が生まれたら子供の名前はジョスモスにしよう」って面白いアドリブがあったんですが、残念ながら尺が入りきらなくて惜しかったです。
三澤「毎回、『まずは1回、役者が好きなように演じてみて』って、アドリブも含めた演技を試されている現場でした。
そこでチャレンジングな演技をしても、その場で台本を書き換えることができるくらいのスピーディなテンポと信頼感で、球をポンポン投げ合っている感じでしたね」
───目の前に脚本家 兼 原作者(原作者の駱駝先生が、アニメの脚本も全話執筆しています)がいるから、いちいち許可を取る時間で収録も止まりませんし。
三澤「声優と音響監督はじめスタッフさんたちが、お互いに意見を主張して、切磋琢磨して、本番を収録する。それがとても楽しい現場でした。
心地いいバチバチ感は役者同士にもあって、『ここのセリフ、山下さんはどう演じるのかな?』『そうきたか! じゃあ私も!』って、役者同士の掛け合いも真剣勝負でした」
山下「その空気はありましたね」
三澤「ジョーロ君は特にそうだと思います。『こんな短い尺に、長いモノローグ入ってるけど、どうするんだろう?』って思いましたもん。
でも山下さんはしっかり収めて、さらに面白いワードを足してきて、『山下さん、スゲー!』って」
───戦いなんですね。
三澤「役者同士でお互いの感想を口には出しませんけど、内心で皆さんそれぞれ、思っていたんじゃないかな?
あの戦いをみんなで経験したからこそ、戦友って気持ちが芽生えましたし(笑)」
山下「1クールのアニメって、声優同士が仲良くなる前に解散しちゃって、関係が離れることも多いんです。
だけど『俺好き』メンバーは、この1クールでみんな仲良くなりました」
三澤「駱駝さんが『役者さん、大丈夫ですよ』って受け入れ姿勢してくれたし、山下さんも『主演として、皆さんを受け入れる覚悟はあります』って座長としての立場を示してくれました。
私はそんなに心を開けないタイプなんですけど(笑)、だからこそ『えいやっ!』って飛び込んでいけました」
■「声優さんにはボーナスがありますか?」声優業界の臨時収入をズバリ訊いてみた
───ここからは、『読む!』コーナー宛のメールに、3人でお答えいただきます。まずはペンネーム『SUM(サム)』さんから。
「三澤さんに、コスモス以外で好きなキャラについてお聞きしたいです」
三澤「顔はサザンカが好きですね。途中で髪型が変わるのは、シルエットが変わるからアニメ業界が嫌うのに(笑)」
山下「ルックス的に、男性陣はどうですか?」
三澤「ホース」(即答)
(一同笑い)
三澤「ジョーロ君は、わざと冴えないように狙って描いているじゃないですか。ホースの方が顔立ちが冴えてるから(笑)」
駱駝「女の子は、最終的にはビジュアルに走るからな!」
三澤「声も福山さんでカッコよかったよ!(笑)」
───ペンネーム『らむ』さんから。
「駱駝さんは『山下駱駝』のことをめっちゃ調べてるそうですが、お二人のエゴサ事情を知りたいです!」
山下「僕は自分を傷つけないためにエゴサはしません」
三澤「『私の趣味はエゴサ』って、今のプロフィールに書いてあります(笑)」
山下「その辺がサムライなんだよなー!(笑)」
───本番でも三澤さんを戦士と評していましたね(笑)。次にペンネーム・うちーさんから。
「声優さんの給料は歩合制と聞きましたが、ボーナスとかはありますか?」
山下「ボーナスはありません」
三澤「実働した分だけ、数ヶ月後に振り込まれるだけです」
───臨時収入も無いんでしょうか?
三澤「ん~……海外転用料くらい?」
山下「だいぶ前に収録したゲームのギャランティが、たまに明細書に書いてあることがあるんですよ。『これ何だろう?』って思ったら、海外でゲームを販売する時の使用料だそうです。
新規に録り下ろしはしませんけど、作品が海外に展開する時にいただけるようです」
三澤「追加収録もなく、いただいてもいいんですね?みたいな(笑)。実働せずに貰える臨時収入はそれくらいですね。後は本当に何もないです」
───その慣例はゲーム業界だけなんでしょうか? 今のアニメは海外配信が前提ですが、昔の作品は海外展開を見越していなくて、配信が決定した場合とか……。
山下「どうなんでしょう? 海外転用料は、ゲームが特に分かりやすく入ってくる形です。
あと、洋画の吹き替えもまた事情が変わってくるんですが、正直よくわかりません。その時その時のアフレコに全力で集中! 終了したら、その都度、気持ちを切り替えています(笑)」
■山下「アニメは尊い。クリエイターが注いでいるパワーを、もっと感じてほしい!」
───引きずらない話は、以前のインタビューでもおっしゃっていましたね(笑)
山下「ひとつ言える事は、声優だけじゃなくてアニメ全体の話なんですが、自分の仕事を安く見積もりすぎているんじゃないかなって最近感じているんです」
駱駝「それってどういうこと?」
山下「日本のアニメってたくさん作られて、たくさん見られているし、海外でも人気が出ているじゃん。
『アニメってマジですげーんだぜ! こんなに面白いエンタメなんだぜ!』って、どんどん世の中の認知度が広がってくれたらいいのになって」
三澤「アニメ業界の人たち……もちろんどの業界もそうだと思いますが、スタッフの皆さん、めちゃくちゃ労力と魂をかけて仕事しています」
───声優ももちろん、事情は同じだと思います。
三澤「オーディションからはじまり、監督たちとの読み合わせがあり、自宅で原作や台本を読み込んで、作品を自分で調べて……と、地道な作業が非常に多い職業なんです」
───我々が目にするのはアニメや声優ラジオ、イベントだけなのですが、それって氷山の一角に過ぎないんですね。
三澤「基本、オッケーテイクだけが表に出ますが、声優って本来は地味な作業が多くて大変なんですよ(笑)」
山下「それほど苦労して作ったフィルムを、僕はすごく尊いって感じているんです。
だからアニメがもっと世界中に評価されてほしい! スタッフの皆さんが注いでいるパワーを、もっと感じてほしい! アニメ広まれ!って切に願ってます」
───熱い!
三澤「このアニメ化計画も、ドキュメンタリーで流しましょうよ。
世の中に出るアニメの影には、脚本会議があって、キャラデザや作画があって、プロモーション宣伝を仕掛けて、声優は自宅で台本の練習をして……裏方の仕事にスポットを当てる。
長期的なドキュメンタリー映像を、長いスパンで『山下駱駝』の会員が見届ける(笑)」
───『情熱大陸』的な感じで(笑)。それでは、今日の配信を見てくれた皆さんにコメントをお願いします。
駱駝「とりあえず三澤さんがゲストに来られる時は、番組の尺を伸ばしましょうか(笑)
これまでの放送でも『三澤が来たら盛り上がるよ』って前振りは散々していたから、『どう、面白いでしょ?』ってことを皆さんにちゃんと提供できて、満足できる内容でしたね」
三澤「準レギュラーというか、心の中ではずっと『山下駱駝三澤』なので、いつでも呼んでほしいです!
また次、三澤がいつ出てくるか、どうやって出てくるか、楽しみにお待ちください。今日はありがとうございました!」
───『山下駱駝三澤』には続きがあるということですね?
三澤「それはありますよ!」
山下「三澤さんが来て、よりディープな番組になりましたね、いい意味で(笑)。
三澤さんは本心を包み隠さないからこそ、僕たちもオープンにして話ができるから、とてもありがたいです。
それに、掛け合いでお芝居ができたのも貴重でした。
こういう状況下では、アニメのアフレコ現場でも掛け合いが難しいんです」
───ソーシャルディスタンスを保ったり、別収録だったり?
山下「そうです。掛け合いで、しっかり相手の目を見て演技できたこともすごく楽しかった……演じるのが大好きです!」
いつも以上に熱血な山下大輝さん。
演技のディレクションでも、プロフェッショナルな一面を見せてくれた駱駝先生。
そして、番組を沸かせに沸かせまくった3人目のレギュラー・三澤紗千香さん。
お三人とも、お疲れ様でした&楽しい時間をありがとうございました!
またぜひ『山下駱駝三澤』の実現をお待ちしております!!