今日は『大東亜論』の締め切りなのだが、0時までに
終わるかどうか怪しくなってきた。
大ゴマで絵の間違いが明らかになったからだ。
この絵はおかしいとわしが指摘しても、チーフが自分の
思い込みを疑わず、断言するから、やむなく歴史的な
一次資料を探さなければならなくなる。
もう時間がないのに。
編集者にも手伝ってもらって、資料を発見したが、
やはりわしの言った通りだった。
あれほど断言したチーフの見解は間違いだった。
時間がないという焦りも、絵の描きなおしをしたくない
という無意識に結び付いてしまう。
だが、見つかってしまったからには仕方がない。
時間オーバーでも描きなおすしかない。
こういうことがあるから、わしは締め切り日の早いうちに
原稿のコピーが欲しいのだ。
ミスは早く見つけて、早く指摘して、早く描きなおさせたい。
妥協は許されない。
『大東亜論』は今後もますます絵の重要性が増す。
締め切り日に絵の完成が遅れれば、遠くから通っている
チーフは帰りの電車が間に合わないのかもしれない。
だがプロはそんなこと言ってられない。
完璧な原稿を上げねばプロ失格だ。
こうして描いていても、雑誌に載ったときにミスが
見つかったりもするのだ。
そのときは単行本で描きなおすことになる。
まだ2ページ分の原稿も上がっていない。
わしがOKを出して、編集者に電話して、来てもらう。
そこで編集者が最終確認をして、持って帰ったら
仕事が終わるのだ。
編集者がミスを見つけたら、また描きなおさねばならない。
今日は深夜になりそうだ。