読者カードにこのような感想があった。

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『新・堕落論』兎に角「第15章 夏目漱石の『こころ』が圧巻。
白状しまして『こころ』は未だ読んだ事がありませんでした。
しかし小林先生の手になる鮮やかな、かつてない古典の「漫画化」は、この章だけで購入の元が取れる、価値があると思います。
明治大正期を生き、近代化していく日本を慨嘆する漱石の心情を読み解く事で、日本人の堕落は明治時代に「胚胎」していたという考察は納得せざるを得ません。
明治期にまであった日本人の「倫理観=死生観」は果たして危険で無価値なものでしょうか?
いや、大東亜戦争の末期に蘇った「特攻精神」この時に「民族として激烈な意気地ある態度」を欧米人に見せつけた祖先達のお蔭で、今の自分たちは生まれる事が出来たと認識しています。
最終章、ラストページの「命は単なる手段である」(=いかに使うかにこそ価値がある)この言葉は噛みしめたいと思います。
それにしてもこの平成の世に、孤独に「堕落」に抗しておられるのが他ならぬ天皇陛下だという思いも強くなりました。
57歳・男)

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ずっと昔から『こころ』の解読が、みんな間違っていると思っていて、やっと描くチャンスが来たわけだ。
それを分かってくれる読者がいた。
長年、いつかいつかと思いながら温めてきた読み解きが、あのたった一章に収納されてしまったわけで、その重要度を分かってくれる読者がいた。
こういう時にはトカトントンが止まってしまう充足がある。
まだまだ捨てたもんじゃないとも思えるのだが。

 

 

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