村山談話・河野談話に未来はあるか?
第62回 日本を「性奴隷」国家にした男、
弁護士戸塚悦朗
1992年(平成4)の宮沢首相(当時)の日韓首脳会談における
謝罪によって爆発した慰安婦問題は、当初はあくまでも
日韓問題だと考えられていた。
というより、今でもこれは日韓問題だと認識している者が
自称保守言論人やネトウヨはもとより、政治家の中にも多い。
実際には慰安婦問題はとっくに日韓問題を離れている。
だからこそ米国議会が対日非難決議を採択するといった事態も
起きているのだが、それでも自称保守派は
「韓国のロビー活動のせいだ」と、頑なに日韓問題のみに
矮小化して見ている。
そんな甘い状況認識で安直に「河野談話の見直し」なんて言うから、
事態はひたすら悪化の一途をたどることになってしまうのだ。
今や慰安婦問題は、全国際社会の対日観に関わる問題に
なってしまっている。
国際社会に、日本とは「性奴隷」制度を持っていた国だという
認識が定着してしまっているのである。
なぜそんなことになったかというと、「性奴隷」という言葉を
発明し、国連で何年にもわたってロビー活動を繰り返し、
その認識を定着させた人物がいたからである。
暗澹たる気分になるが、例によって、それは日本人だった。
弁護士・戸塚悦朗、ほとんどこの男ひとりの働きによって、
日本は「性奴隷」国家にされてしまったのである。
戸塚はスモン訴訟原告代理人などを経て、1984年(昭和59)以降、
国連人権NGO代表として活動していた。
そして、朝鮮人元慰安婦・金学順が名乗りを挙げ、
慰安婦訴訟が開始され、吉見義明の「軍の関与」資料の
「発掘」があり、宮沢首相が謝罪するという一連の動きを見て、
戸塚は思った。
「日本の象徴的な重大人権問題を国際的人権擁護の
政治的手続きを使って提起すること」こそが、
この分野でボランティア活動に携わる自分の責任であるという
使命感に取りつかれてしまったのだ。
そして戸塚は、宮沢の謝罪からわずか1ヶ月後の
1992年2月、国連人権委員会で慰安婦を「人道の罪」
と位置づけ、国連の介入を求める発言をしたのだった。
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