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記事 408件
  • 2024年5月17日号:ニュースに一言2通目

    2024-05-17 20:43  
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    ●ゴールデンウィークが終わり街中にサラリーマンが戻ってきました。ベテラン社員は気分も新たに「さあ、また頑張ろう」となるのでしょうが、心配なのは今年4月の新入社員です。初めて社会に出て緊張の中での1ヶ月が過ぎ、ようやく仕事に慣れた頃の長期休暇により、また学生気分に戻ってしまい「会社に行くのが嫌だ」となる人が毎年現れるからです。いわゆる“五月病”です。
    発病した若者の中には数日の欠勤の後そのまま退社してしまうケースもあるようで、この時期には新入社員を預かる職場では「ウチの部下は大丈夫だろうか」と気を揉む上司も多いようです。
    ところが、そんな“五月病”が最近は随分と様変わりしているようです。なんと5月を待たずして4月中に会社を辞める新入社員が増えているというのです。中には入社式の当日に辞表を提出することもあるようで、急に欠員の穴埋めを強いられる会社側は大迷惑です。さらに、たった1日での退職理由が「配属先が希望と違った」「思っていた雰囲気と違う」などおじさんからみたら「そんな理由で・・・」というもなのですから困ったものです。
    現代の風潮は「いやな事はしないでいい」「やさしくしてもらうのは当然」で、少しでも気分が悪いことがあると「ハラスメントだー」となる傾向があります。生まれてこのかた“我慢”をしたことのない若者は辛抱できないのでしょうが、せっかく入った会社をすぐに辞めるのは実にもったいないものです。
    もちろん社員を人間扱いしないブラック企業と呼ばれる会社や、このまま続けていたら心身が持たない職務内容から逃れることも必要でしょう。しかし、それを社会人になりたての新入社員がごく短い期間で判断できるのか疑問です。
    日本の雇用形態は長らく“終身雇用”が主流でしたが、近年は「最後までこの会社で」と考える新入社員は2割ほどしかいなくなっているそうです。希望に満ちた若者は転職によりステップアップ(地位や収入が増えていく)を期待するのでしょうが、夢が叶うのはほんの一握りですべての人が成功するわけではありません。そして成功者に共通するのは仮に転職しなくても元の会社で成功できた人物ということです。すなわち「頑張れる人間はどこでも頑張れる、頑張れない人間はどこでも頑張れない」のです。流行に乗っかっての安易な転職ほど愚かなことはありません。一般的に転職は繰り返す毎に条件が悪くなり、やがては採用そのものも危うくなるのですから。そのときになって「正社員になれない社会はおかしい」と叫んだところで後の祭りです。
     
     
    ●韓国の最大野党「共に民主党」の国会議員ら17名が、わが国固有の領土「竹島」に上陸したというニュースがありました。竹島は日本海の南西部に浮かぶ岩山からなる島で、17世紀半ばに日本の領有権が確立され1905年に島根県に編入されました。しかし、第二次大戦後の1952年に韓国初代大統領が突然、隣接海洋に対する主権宣言(いわゆる李承晩ライン)を行い「竹島は韓国のものだ」と主張し乗り込んできたのです。その後、70年以上竹島には韓国の警備隊が常駐しています。
    今回の暴挙に対し日本側の対応は「誠に遺憾である」「厳重に抗議する」といつもの決まり文句だけなのですから歯がゆいことこの上ありません。わたしは冒頭に竹島を“わが国固有の領土”と書きましたが、こんな状態で果たして世界の国々も同じように「竹島は日本の領土」と認めてくれるのでしょうか。国家は他国民が不法に領土内に侵入して来たら実力行使によってでもそれを阻止します。ところが竹島に関して日本は「日本のものだ」と言うだけで、警備隊を追い出すどころかほかの韓国人の上陸も易々と許してしまうのです。これではどうみても竹島は独島(韓国側の呼び名)であって、日本がいちゃもんをつけているようにしか思えません。
    領土問題で優位性を得る材料のひとつが実効支配の有無です。これほどまで長きにわたり韓国の占有があれば国際司法裁判所も簡単に「日本のもの」とは言えないでしょう。そうなると取り返す手段は“戦争”しかなくなります。争いを避けるために穏便に済ませ続けた結果が最も避けなければならない戦争だなんて本末転倒にもほどがあります。
    今日も南の海では中国船が、北の海ではロシアの船が日本の領海を我が物顔で航行しています。もしこれが逆だったら日本船は直ちに拿捕、あるいは最悪撃沈されているところですが、相も変わらずわが国は「遺憾である」「厳重に抗議する」の一点張りです。残念ながらこんなことでは尖閣は中国のもの、北方領土はロシアのものと世界が認める日も遠くないでしょう。
     
     
    ●中国軍の3隻目となる最新型の空母「福建」が試験航行を始めたというニュースがありました。この試験がうまくいけば3隻で「任務・訓練・整備」のローテーションを組むことが可能になり、中国軍は常時戦闘態勢をとることができます。
    中国の空母といえばウクライナから購入して改修した「遼寧」が初めて配備されたとき、日本の軍事評論家たちはそろって「あれは空母といっても戦闘機が満足に発着できない張りぼての船だ」と嘲笑っていました。しかし、時が経ち中国はいまや経済だけでなく軍備においても世界有数の大国となっています。同様に北朝鮮も「核開発といっても所詮は花火程度の爆弾」と思われたものが、すでに核弾頭を装着したうえで大陸を横断できるほどの性能を備えたミサイル開発に成功しています。
    さて、その間の日本はというと防衛費を増やそうとすれば「戦争をしたいのか」、戦闘機を購入しようとしても「戦争したいのか」、自衛隊の活動範囲を広げるために憲法を改正ししようとしても「戦争したいのか」と、反対の大合唱が起きています。日本を攻撃したいと考える国からしたら、日本内部から応援してもらっているのも同然でこんなちょろい国はないでしょう。軍備を増強するのは戦争をするためではありません。十分に報復できる力を見せつけ安易に攻撃させないため、また万一攻撃された場合に反撃し、国土と国民を守るためです。戦後80年近く経過しましたが、いままで戦争に巻き込まれていないからといってそれが未来永劫続く保証はありません。状況は刻々と変化しています。自然災害と同じくあらゆることを想定し、いつでも対処できるようにしておくことがなにより肝心です。
     
     
    ●群馬県が生活保護受給者や、その希望者に向けて配布する「生活保護のしおり」を改訂したというニュースがありました。これは同県桐生市で発生した生活保護関連の問題を調査するために社会福祉の専門家や支援団体関係者らで結成した全国調査団が、県の担当者に対し「丁寧でわかりやすい内容とするように」と改善を申し入れたことを受けたものです。
    せっかくのしおりが複雑で読み手が理解できなければ何の役にもたちません。“丁寧でわかりやすく”は結構なことですが、その改訂内容を見て驚きました。なんと旧のしおりの冒頭にあった「一日も早く自分たちの力で暮らしていけるように、また、毎日の暮らし“はり”をもっていただけるように手助けをする制度です」という文言がすべて削除されているのです。そして、その理由が「生活保護の目的には“一日も早く”なんてなく、生活保護利用は悪と言わんばかりだから」というのですから呆れます。
    生活保護は、なんらかの理由で働くことができなくなり収入を得られなくなった人が利用するもので、それは本来一時的なものであるべきです。病気やけがで恒久的に働けないのなら障害年金など他の給付で対応すればよく、「生活保護があるから働けるけど働かない」なんて許されることではありません。「(今は無理でも)一日も早く保護なくして自分の力で稼ぐ」のどこに問題があるのでしょう。
    また、生命保険は解約して返戻金を生活費に充て、自動車の保有も原則として認めないとあったものも、生命保険は保険料や返戻金が少額ならば継続加入が可能、自動車の保有も障害があったり公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住し通院や通勤に必要ならば認められる場合があると改められています。普通に働いて自分が稼いだ金で生活している人の中にも「貯蓄がそこをついたから保険を解約する」「維持費を捻出できないから自家用車を売却する」ことはいくらでもあります。みんなぎりぎりの中で遣り繰りして頑張っているのです。その人たちが、「貯蓄があり自家用車を乗り回す生活保護受給者」を見てどう思うのか。
    わたしは生保受給者からは「何もかも取り上げろ」と言っているのではありません。場合によっては認めざるを得ない場合も当然あるでしょう。しかし、それはあくまで例外であって個々に判断すればよく明文化する必要はないと言っているのです。これらの文言により、いたずらに希望をちらつかされた来訪者に対し“少額”や“不便”なんてあいまいな言葉で可か不可を決めなければならなくなった窓口担当者の疲弊が目に浮かびます。
    篤志家が自分の金を「かわいそうだから」とばら撒くのなら何も言いませんが、生活保護費の原資は税金です。税金を使う福祉に不公平感があってはなりません。自助、共助、公助と生活保護は最後の命綱であるはずが、いきなり「さあ、どうぞ」となれば税金を納める国民の不公平感は増すばかりです。
     
     
    ●SNS上に著名人になりすまし投資を誘う詐欺広告が横行しているというニュースがありました。これはフェイスブックやインスタグラムなどに現れた有名なエコノミストや実業家が「わたしが儲かる方法を教えます」と謳い、個別のやり取りに誘い込んだ後に投資金を騙し取るもので、実際の本人の写真を使い声もAIで本人のものを再現しており一目ではニセモノとはわからない精巧さです。中には1億円以上を失った人もいるようで全体の被害額は数百億円にも及ぶといわれています。
    命の次に大切なお金を有名人だからという理由で安易に信用して託すのは非常に危険です。そもそも本当に儲かるのなら誰にも言わずみんな自分だけでこっそりやるものです。国は国民に盛んに投資をすすめていますが、投資はあくまで自己責任ということを忘れてはいけません。
    詐欺をはたらく者が最も悪いのは当然だとして、投資に関しては騙されるほうにも“欲”という落ち度は否めません。それに対し、なんの関係もないのに勝手に名前を使われて悪事の片棒を担ぐ形になったもう一方の被害者は堪ったものではありません。そんな“広告塔”にされた著名人からは怒りの声が上がっており、広告を野放しに掲載した運営会社に対し損害賠償請求の訴えが起こされています。勝手に名前を使われた人は経済評論家の森永卓郎さん、実業家の堀江貴文さん、前澤友作さんなどいかにも「この人の言う通りにしたら儲かるだろう」と思わす人が並んでいます。
    かくいうわたしも広告塔にされていました。ニコ生「百田塾」の写真がそのまま使われており、自信満々に「わたしが指南します」とあるのですからわが事ながら笑ってしまいます。幸いにもわたしの広告を見て「この人なら信用できる」と考え申し込んだ被害者はまだいないようですが、これを喜ぶべきか悲しむべきか・・・。

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  • 2024年5月17日号:ニュースに一言

    2024-05-17 20:38  
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    ●総務省が発表した人口推計によりますと、2023年10月1日現在の日本の人口は約1億2430万人で、前年に比べて59万5000人減っています。この1億2430万人の中には24万2000人増加した外国人が含まれていますので、日本人だけをみるとなんと83万7000人も減っているのです。
    そして総人口のうち75歳以上は71万3000人増の2007万8000人とはじめて2000万人を超えた一方で、15歳未満は32万9000人減の1417万3000人と少子高齢化がますます進んでいることがわかります。
    今後の日本の人口は現在の予測では24年後の2048年に1億人の大台を割り、さらにその12年後の2060年には8670万人にまで落ち込むとされていますが、このままではその速度はより加速しそうです。国は少子化に歯止めをかけようと、いろいろな策を講じますが一向に改善の兆しがみえません。なぜなら、そのどれもが付け焼刃、それもみみっちいものばかりだからです。1回や2回10万円もらったところでどこに「さあ、子供を産もう」なんて考える人がいるのでしょう。どうせ配るなら“子供ひとりにつき1000万”くらいのインパクトがないと何も変わりません。
    なにより少子化の要因は金銭面だけではなく多岐にわたるのです。1970年代は「22歳の別れ」( “結婚適齢期”に差し掛かった女性がそれまで付き合っていた男性と「この人とは結婚できない」と感じ別れを決心する内容)にもあるように20代前半で結婚する女性が大半でした。そのため若い女性をクリスマスケーキに例え「24は売りごろ、25は売れ残り、26以降は誰も手を出さない」なんて、現代では絶対に口に出せないようなことも平然と言われていました。
    それが80年代になり4年制大学に進む女性が増えるにつれ結婚年齢が徐々に上がり、1985年の男女雇用機会均等法の施行で晩婚化の流れが決定的になりました。能力のある女性が「女だから」という理由で不当に差別されることはあってはなりませんが「女性も仕事をするのが当たり前、そうしないのはダメな女」「結婚なんていつでもできるからまずは仕事」となったのは良いのか悪いのか。その結果、女性の平均初婚年齢は現在ほぼ30歳にまで上がっています。もちろん結婚は個人の自由、したい人がしたい時にすればいいのですが、「結婚適齢期」はなくても「出産適齢期」は間違いなくあるのです。
     
     
    ●開幕まで1年を切っているにもかかわらずパビリオン建設が遅々として進まない大阪万博で、参加各国が敷地内に自由なデザインで建設する「タイプA」のパビリオンが当初に予定していた60カ国から3割以上減の約40カ国になる見通しだというニュースがありました。
    「タイプA」とは奇抜なデザインやその国々の特色を表すことのできる建物で万博の華とも称され、それがなければそこらのミュージアムで開催される普通の展示会となんら変わらなくなります。大阪万博ではいつまでたっても着工されないパビリオンに対し「こんなことで間に合うのか」「完成しなければどうするのか」と心配の声も多くありましたが、必死になっていたのは主催者(なんとしても開催したい大阪維新)だけで、参加予定国は「出来なければほかのタイプでも構わない」「最悪、出展を取り止めればいい」くらいにしか考えていなかったようです。
    パビリオンの建つことがなくなった場所は“芝生広場”などに活用されるといいます。現在、跡地として緑の芝生が広がる1970年開催の大阪万博では“無線電話”や“自動運転”などの「未来」が多く展示されていましたが、今度の2025大阪万博では開催中からそこかしこに“芝生”という閉幕後の跡地を展示することになりそうで、未来は未来でも近未来にも程があります。
    こんな万博が果たして成功するのでしょうか。気になる入場券の売れ行きは昨年11月末の販売開始以来、2300万枚の目標に対し830万枚となっています。しかし、この830万枚のうち700万枚は企業に押し付けたもので、実際に自らの意思で購入されたものは130万枚に過ぎません。身銭を切って買ったチケットなら来場も確実でしょうが、企業からタダでもらったものなら必ず来場するとは限りません。すなわち、まだ予定している6%の来場者しか見込めていないのです。これではチケットは売れたのに会場内は毎日ガラガラなんてことにもなりかねません。
    実際に見学者が来なければ物品販売や飲食収入が確保できず「運営費」が大幅赤字となります。その場合それはいったい誰が負担するのか。チケットでとことん無理をさせられた企業がそっぽを向くことは確実です。そうなるとも税金で補填するしかないのです。維新はなにかというと「身を切る改革」と言いますが、身を切られるのはいつも市民、国民です。時と場合によっては「身を切る」ことも必要でしょうが、それが致命傷になっては元も子もありません。
     
     
    ●冬季オリンピックにおいての日本人金メダリスト第1号、元ジャンプ選手の笠谷幸生氏が亡くなったというニュースがありました。日本が何もかも失い、世界の最貧国のひとつとなった敗戦からわずか19年で開催したアジアで初めてのオリンピック、1964年「東京オリンピック」から8年後の1972年に札幌で行なわれた、こちらもアジア初開催となる冬季大会「札幌オリンピック」の70メートル級ジャンプで彼は優勝したのです。
    夏の大会とちがい1928年スイス・サンモリッツ大会に初参加して以来、半世紀近くで獲得したメダルは1956年の猪谷千春選手の銀メダル1個だけという、外国にまったく歯が立たなかった冬の大会での金メダルですから日本中が歓喜の渦に巻き込まれました。さらにこの70メートル級ジャンプ競技では2位、3位にも金野選手、青地選手が入り日本人だけで表彰台を独占する快挙となったのですから、そのときの熱狂ぶりはすさまじいものがありました。それからしばらくの間は全国どこの公園でも、笠谷選手を真似てひざを折った体勢て靴底で滑り台を滑り降り、下に着く瞬間に飛び上がる「ジャンプ」に興じる子供たちの姿が多く見られたほどです。
    笠谷氏の逝去を受けて過去の映像や画像が繰り返し流されましたが、それらを見て驚くのはその格好です。現代のジャンプ選手は衝撃を吸収すべくモコモコとしたスーツにヘルメットと完全防備の姿ですが、笠谷選手のそれは体操選手が着るような細身のウエアに毛糸の帽子と、よくそんな格好で100メートルちかくも飛んで怖くないものです。これではヘルメットをかぶらずにバイクに乗り、時速100キロ以上で疾走するようなものです。いや、バイクはまだ地面に密着しておりいつでも止まることができますが、ジャンプ競技は空中を飛んで自由がきかない分さらに危険です。強靭なその胆力には今さらながら恐れ入ります。
    笠谷選手の優勝記録は84メートルでした。直近開催の2022年北京大会での70メートル級が呼び名を替えたノーマルヒルの優勝記録は日本の小林選手の104メートルとなっており、札幌大会の笠谷選手と比べ“記録”は大きく伸びています。しかし、今でも50年以上前の彼の勇姿を鮮明に覚えていることを考えると、スポーツが後世に残すものは記録ではなく記憶だとつくづく思わされます。
     
     
    ●警察庁が全国の交番や駐在所の勤務形態を変更するという方針を明らかにしました。それによりますと、現在は24時間体制の交番を日中だけにしたり、警察官が住み込んでいる駐在所を通勤制に変更したり、さらに複数の交番をまとめて運用するブロック制を取り入れるようにするというのです。
    日本は世界でもっとも治安の良い国のひとつだと言われていますが、その理由に交番があります。交番とはその名の通り「交代で番をする所」で街のいたるところに警察官がいるのですから犯罪者にとっては鬱陶しいことこの上ないでしょう。その効果に注目した外国にはそのまま「KOBAN」として導入するところも増えており交番=KOBANは日本が世界に誇る善き文化です。
    そんな“そこにさえ行けば必ず警察官が助けてくれる”という安心感にあふれた交番が“ただいまの時間は閉店中”となるのですから市民としては戸惑います。警察官の仕事は犯罪者の検挙だけではありません。交通事故や落し物の処理、尋ね人の捜索など多岐にわたります。都内で道に迷い近くの交番に駆け込んだことのある地方出身者も少なくないしょう。それらが今後は「用件があるなら電話か最寄りの警察署へ」となるのですから明らかにサービス低下です。
    その背景には警察官のなり手不足、働き方改革による労働時間の制限があるのは明らかです。警察官だからといって「時間無制限で働け」なんて言うつもりはもちろんありませんが、白昼堂々と強盗事件が発生するなど以前より治安悪化が進むわが国で、さらに犯罪が増えないか心配です。犯罪者は「いまは交番が閉店中だからやめておこう」なんて考えるはずもなく、逆に「今がチャンス」となるでしょう。もうこうなったら泥棒などの犯罪者にも“働き方改革”を導入させ、夜間の交番が閉まっている時間帯の活動を制限するしかありません。もっとも「わしらは夜勤で昼に休んでいるから対象外」と言われたらおしまいですが。
     
     
    ●東京・世田谷にある公園近くの路上で午前3時頃、下半身裸で自転車に乗っていた56歳の自営業の男が公然わいせつ容疑で逮捕されたというニュースがありました。春になり暖かくなったとはいえ真夜中にちんちん丸出しで自転車に乗るなんて、想像しただけでこちらまで“縮み上がって”しまいそうです。
    しかし、男の犯罪は単に下半身を露出しただけではなかったのです。警察官が男の携帯電話を調べると、そこには公園で全裸で過ごす男の姿が写っており、さらに自身の肛門を水道の蛇口にこすりつけているものまであったのですから驚きです。公園は幼児から高齢者まですべての市民が安心してくつろげる場所であるはずなのに、誰も気付かぬうちにこんなことをされていたなんて油断も隙もありません。
    知らせを受けた公園側は、衛生上の理由としてすぐさま蛇口の使用を禁止しましたが、浅はかな若者が回転すし屋での不適切動画をSNSに投稿したとき、すべてのすし屋の醤油差しに疑心暗鬼になったように、もうこれからは安心して公園の水道を使うことができなくなりました。
    露出の被害はいても一部の人たち、しかも今回は真夜中でしたから幸か不幸か被害者はいませんでしたが、水道が使えなくなるのは不特定多数の人たちを被害者にする大事件です。いや、これから使えなくなるだけでなく、この公園で過去に水を飲んでいた人たちの気持ちを考えると・・・、なんとおぞましい。男は調べに対し「性欲を満たすためだった」などと供述しています。性癖は人それぞれ千差万別とはいっても、裸で肛門を水道の蛇口に押し付けることで満足する“性欲”なんてわけがわかりません。
     
     
    ●仙台国税局が兼業を禁止する国家公務員法に違反したとして、福島県内の税務署に勤める20代の男性職員を停職1ヶ月の懲戒処分にしたというニュースがありました。この職員は2022年8月から2024年2月までの約1年半の育休期間中に62台のクルマと4台の携帯電話を転売し、なんと2億円も売り上げていたのです。62台ということは月に4台弱と自動車販売店の営業マン並みの実績です。
    その方法はインターネットやディーラーを通じて購入したクルマをオークションサイトや中古車買取店に売却するもので、中には1200万円で売れたものもあったようです。2022年といえばコロナ禍で世界的に半導体不足となり、新車の生産がストップしたため中古車価格が高騰した時期で、車種によっては新車で買ったものが1年間使ったのにもかかわらず、購入価格よりも高く売れるものもありました。そこにすばやく目をつけるのですから、この職員はすぐれた才覚の持ち主です。また「これは儲かる」と思ってもなかなか実行に移すことは出来ないものですが、短期間でのこの行動力に驚きます。
    彼は聞き取りに対し「楽しくてやめられなかった」と言っていますが、右から左へ飛ぶように売れ、その度に利益が増えるのですから、そりゃ楽しいでしょう。この職員は処分を受けて即日退職したそうですが、今後は心置きなく商売に専念することでしょう。これからはせいぜい稼いで、元税務署員としてたんまり税金を納めていただきたいものです。
     
     
    ●現在、20歳から60歳までの40年間となっている国民年金の納付期間を5年間延長し、65歳までの45年間とする案を厚生労働省が検証するというニュースがありました。
    年金支給開始年齢が60歳から65歳に延ばされて以来、国は無収入期間を作らないために国民に65歳まで働くことを求めています。そして企業に対しても「65歳までは特段の事情が無い限り雇用を止めてはならない」との縛りをつけました。これにより希望者はほぼ全員が会社に残れるようになったのですが、給料は現役時代より大幅にダウンするため「こんな給料でやってられるか」と今度は“働かないおじさん社員”が増殖する問題が生まれているようです。
    そんなに不満なら延長しなければいいのですが、サラリーマンでいたら「減ったとはいえ収入は保証される」「会社の健康保険に加入できる」「健康のために少しは動かないと」などの理由で、60歳定年即退職の人は少ないようです。そんな勤め人は今でも年金保険料(厚生年金として)を徴収されていますので、今後65歳まで納付期間延長となったところでなんら変わりはありません。
    問題は“第一号被保険者”自営業の人たちです。彼らにとって5年間延長は100万円以上の支出増になります。そしていよいよ給付の年齢になっても、もらえるのは月に7万円弱(これも今後どうなるのかわかりません)。この金額は生活保護の支給額よりはるかに少ないもので「それなら保険料納付なんてしないで、そのときになったら生保申請したほうが得だ」となり、年金制度の根本を揺るがしかねません。
    「100年安心」といわれる日本の年金制度ですが、財源が足りなくなる度に「徴収額を増やす」「納付期間を増やす」「納付義務対象を増やす」と国民に負担を強いています。こんなやり方がまかりとおるのなら誰がやっても100年どころか千年でも万年でも続けられます。賢い役人、国会議員の方々が揃いながらもっとましな案はないのでしょうか。国民が納得できない年金制度なんて存在価値はありません。
     
     
    ●技術職として採用された男性が合意なく“総務課”に配転されたのは「職種限定合意」に反して違法だと訴えていた裁判で、最高裁第二小法廷は男性の言い分を認め違法だという判断を示しました。この男性は滋賀県の福祉協議会に福祉用具を扱う技術者として採用され18年間勤務したあと、事務しかない総務課に回されたことに「約束が違う」と異議を唱えていたのです。
    たしかにやりたい仕事をするために入った場所で意に沿わない業務に就くのは辛いものがあります。また今回の技術職に固執する男性の「いまさら新しいことなんかしたくない」と思う気持ちもわかります。しかし、事態は刻々と変化していることも忘れてはなりません。彼が入ったときは福祉用具の製作需要も多く、そのための人材が必要だったのでしょうが、需要が減ればその人材も必要なくなります。1年や2年で状況が変わったのではありません。18年もの期間を経ればある程度変化するのも仕方が無いことです。
    パイロットとして入社した社員が地上職へ、アナウンサーとして入社した社員が他部署へ配置転換されるなんてことも過去にいくらでもありました。最近ではコロナ禍で欠航が相次いだ航空業界で乗務する飛行機がなくなったCA(客室乗務員)が会社から自治体や民間のコールセンターに出向を命じられることもありました。本当は気が進まなくてもみんな状況を理解して甘んじて受け入れているのです。
    今回の最高裁の判断により“会社都合の人事”は制限されることになるでしょう。企業は利益を上げることが存続の第一歩です。そのためには組織を見直し不採算部門を縮小、廃止することも必要となりますが、一部の社員のためにそれが出来ず会社が業績不振に陥ったのでは元も子もありません。労働者の権利を尊重するのは結構ですが、あまりにそれが過ぎれば会社、社会が傾き本末転倒です。今回の判断は4人の最高裁判事の全員一致の意見とされていますが、だれひとりそこに考えを及ばさなかったのが不思議です。

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  • 2024年4月10日号:ニュースに一言

    2024-04-10 21:44  
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    ●大阪の私立高校に通う当時2年生の男子生徒が自殺したのは教師らの不適切な指導が原因だとして、両親が学校に対し約1億円の損害賠償を求める訴えを起こしたというニュースがありました。
    この生徒は2021年12月の期末試験でカンニングが見つかり、全科目0点、8日間の自宅謹慎、反省文の提出などの処分を受けました。そして、その2日後に、カンニング発覚後の指導の中で教師たちが試験前の朝礼で副校長が「カンニングは卑怯者がする行為」と話していたことを引き合いに出したことで、生徒は「このまま周りから卑怯者と思われながら生きていくのが怖い」という遺書を残し自ら命を絶ったのです。それに対して「先生が卑怯者とさえ言わなければ・・・」と提訴するのですから訴えられる先生たちも困惑しきりでしょう。
    大切な息子を失った親の悲しみは痛いほどわかります。しかし、記事を読む限り学校側の指導に行き過ぎは感じられません。いきなり指導室で「この卑怯者が・・・」と罵倒したのならまだしも、事前に「カンニングするのは卑怯者」と言っていたのにもかかわらずそれをした生徒に「それをした君は卑怯者」と言ってどこが悪いのでしょう。
    副校長の訓示には言外に「君たちは卑怯者になるな」という意味が含まれていたはずです。厳しいようですが卑怯者になりたくなければカンニングなんかしなければ良かっただけです。自らの非を棚に上げて「先生のせい」はいただけません。
    そもそもこの高校は頭髪チェックなど厳しい生活指導で知られています。そんな高校で人の道に外れた行為をすれば厳しい罰を受けることくらい事前にわかって入学したはずです。それが嫌なら校則の緩やかな学校を選べばいいのです(と言ったところでカンニングOKの高校なんてどこを探してもないでしょうが)。なにより悪いことをした生徒を叱って“怒られる”先生たちは大変です。
    “若いときの苦労は買ってでもせよ”という言葉があります。社会に出たら理不尽なこと、いやな事、努力せざるを得ないことが山ほどありますが、叱られたことがない、いやな事をされたことがない、頑張ったことのない子供たちはどんな大人になることやら。もっともこんな爺さんの心配なんて何でもかんでも“ハラスメント”と叫べば言ったもの勝ちになる世の中では大きなお世話かもしれませんが。


    ●長野県飯山市の市長がSNSで下水道にマスクを捨てる人を「人間が腐ってきている」と発信したことで謝罪に追い込まれたというニュースがありました。
    この市長は市内の下水道に不織布マスクや下着が流されていることを憂慮し「どういう神経をしているんだ、人間が~」と苦言を呈していました。それに対し「腐るとは何事や、人権侵害だ」とクレームがついたというのですから呆れます。下水道に水に溶けないものを混入させることはポンプの故障などの原因となり、その修理には莫大な金額が必要となります。その費用はもちろん税金から支払われますので、ごく少数の不届き者のために多くの善良な市民が害を被ることになるのです。
    そんな子供でも分かることを平気でするのは“頭のおかしい”人間以外にはいません。頭がおかしい=脳みそが腐っている=人間が腐っている・・・どこに問題があるのでしょう。市長として言うべきことを、それも事実であるにもかかわらず言えないとしたら「市長は一切ものを言うな」と同じです。
    市長は「品位を疑われるような表現があった」と謝罪し投稿を削除しましたが、“人権”という言葉を盾にして一方的に言論を封殺することは絶対に許せません。そもそも“品位”ってなんでしょう。「公人が耳障りのする言葉を使うのはけしからん」というのだとしても、今回の場合は不届き者を諌めるためにはあえて厳しい言葉が必要でもありました。
    わたしは“クズ”という言葉をよく使いますが、それは“クズ”が対象を最も端的に表しており聞き手に伝わりやすいと考えるからです。言葉尻を捕らえてばかりでは本質を見誤ります。今回の批判者が責めるべきは市長でなく、彼にそう言わざるを得なくした人たちの方だったのではないでしょうか。


    ●アメリカの空港でチケットを持たずに旅客機に乗り込んだ男が捕まったというニュースがありました。この男はスキーをするために訪れたユタ州から地元のテキサスにサウスウエスト航空の同伴者無料パスを使って戻ろうとしましたが、あいにく満席だったためパスを使って保安検査場を通過し出発ゲートでキャンセル待ちをしていました。しかし、待てど暮らせど一向に空きが出ず遂に飛行機は男を置いて飛び立ってしまいました。
    普通の人間ならそこであきらめて出直すところですが、なんと彼はチケットが無いにもかかわらず同じ行き先というだけでデルタ航空に乗ってやろうと決心するのですからとんでもない男です。
    といっても搭乗券がないのですんなりとゲートを通るわけにはいきません。そこで彼は一計を案じました。なんと他人の正規の航空券を盗撮し、それを使おうというのです。最近では紙の搭乗券を持っていなくても、スマホに情報さえ入れておけばそれをかざすだけでゲートを通過できます。男はそこに目をつけたのです。
    そうはいっても赤の他人に「ちょっとチケットを見せて」なんて言えば怪しまれること間違いありません。苦労のすえ、最終的に一人の子供がチケットをひらひらさせているのを見つけ、その撮影に成功しようやくゲートを通ることが出来ました。そのあとにゲートに現れた子供のチケットは当然「使用済み」と表示されましたが、子供だけ乗せないわけにもいかず「機械のエラー」だと判断され何事もなかったように出発準備は進みました。
    機内に入った男はトイレに隠れ、全員が乗り込んだ後に空いている席に座ろうと出てきましたが悪いことはできません。なんとこの便も満席だったためどこにも座る席がなかったのです。そして、機内をうろうろしているところを客室乗務員に見つかりご用となったのです。
    前代未聞の出来事ですがこれは遠い外国だけの話ではなく、日本でも類似の犯罪が報告されています。最近ではコンビニでスマホ決済をする人が増えています。多くの人は会計をスムーズに行なうためレジ待ちの間にスマホ画面にバーコードを準備しますが、その画面を盗撮し他人のバーコードで何食わぬ顔をして支払いをする悪党がいるのです。もう油断も隙もあったものではありません。
    スマホは電話、テレビ、お財布から百科事典にいたるまであらゆる用件をそれひとつでまかなえる非常に便利なものです。それだけにその管理には細心の注意が必要だと教えられたニュースでした。


    ●京都大学が2026年4月入学の入試から理学部と工学部の理系2学部で「女子枠」を設けるというニュースがありました。この措置により現在、理学部7・9%、工学部10・1%の女子比率をどちらも15%まで引き上げようというのです。
    京大総長は「女性が理工系に向いていないというのは幻想」「彼女らの希望に応じてチャレンジできる制度を作らないといけない」と話していますが、本来公平でなければならない入学試験に男女で差をつけるのはいかがなものでしょうか。「女に学問はいらん!」という時代じゃあるまいし、現代では女性であろうと希望すればどんな学校にも進学できますし、またどんな職業にも就くことができます。いまさら“チャレンジできる制度”なんていらないでしょう。さらに高校生の学力を男女で比べると、女性のほうが優秀だともいわれています。難関といわれる“医科大学”で「成績順で合格者を決めたら女学生ばかりになってしまう」と男子受験生にゲタをはかせるところもあったくらいです。
    ですから理学部であろうと工学部であろうと“女性だから”合格点に達しないなんてことはないはずです。にもかかわらず女性の数が少ないのは彼女らが「そこで学びたい」と希望していないからです。本当に女学生を増やしたいと思うのなら女子枠を作るのではなく、そこを彼女たちにとって魅力のある場所にすることのほうこそが重要なのです。
    そもそも、なぜ理系学部の女子比率を上げなければならないのでしょうか。男女平等といっても何もかも同じにする必要はありませんし、できません。性別によって出来る事、向き不向きは間違いなくあります。それを無理やり変える意味がわかりません。なにより、男女平等と言いながら女子だけの特別枠を設けることは「女はバカだから大目に見てやる」にほかならず、これ以上の女性蔑視はありません。


    ●東京・品川~名古屋間を最短40分で結ぶリニア中央新幹線の開業が当初予定していた2027年から大幅に遅れる見込みをJR東海が示しました。いや、正確には2027年開通を諦めたと言ったほうがいいでしょう。その理由が南アルプストンネルの工事を静岡県が認めず着工できないからといいますからとんでもないことです。
    同トンネルは全長25キロに及び、貫通までは最短でも10年を要する中央新幹線全路線の中でも最難関工区でそのうち静岡工区は8・9キロです。工事契約は2017年11月に締結されていましたが、それから6年以上が経過しても川勝静岡県知事が「やれトンネルから排出された残土が置き場から崩れる」「大井川の水が干上がる」など荒唐無稽な言いがかりをつけ着工できていません。たった8・9キロために国家的事業がストップしているのです。
    リニアの開通は沿線に莫大な利益をもたらします。2027年に向けて各地では着々と準備を進めてきましたが、それも静岡県のせいで金だけ使って恩恵のない状況が延々と続き回収はいつになるのかわかりません。
    リニア中央新幹線は海側を通る東海道新幹線の代替線としても期待されていました。代替線がないまま南海トラフ地震が発生すれば日本の機能がすべてストップしてしまい大混乱を引き起こします。そうしないためにも一日も早く完成させなければならないのに、それも静岡県のせいでいつになるのかわかりません。
    さらにリニア中央新幹線の開業は世界最初のリニアモーターカーとしてアピールでき、それはその後に全世界に対し技術を売り込むための材料となり、それによる国益は計り知れません。かつてリニアの開発は日本の独壇場でしたが、現在では中国が激しく追い上げてきています。リニア中央新幹線の開業が遅れて喜ぶのは“なんとしても世界初の称号が欲しい”中国です。工事の遅れはすなわち中国を利することにほかなりません。川勝知事の邪魔が自身の意思なのか、あるいは中国の命令によるものなのかは定かではありませんが、結果的に彼が国賊となっていることだけは間違いありません。
    1964年、東海道新幹線が開通したとき人々はそれを“夢の超特急”と呼びました。それから60年、さらなる技術の進歩で作り上げた世界に誇るリニアモーターカーがたったひとりの男のせいで“夢”に終わるのはだけ絶対に避けなければなりません。

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  • 2024年3月23日号:ニュースに一言

    2024-03-23 17:14  
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    ●3月16日、東京と金沢を結ぶ北陸新幹線が敦賀へ延伸し、東京から福井まで乗り換えなしで行けるようになりました。初めて新幹線が通ることになった福井県の喜びはすさまじく、地元の福井新聞は東京へ向けた一番列車が敦賀駅を6時11分に発車するとすぐさま「今、一番列車が敦賀駅を出発しました」と“号外”を発行し、さらにその後も「今、越前たけふ駅をでました」、「今、福井駅をでました」と芦原温泉駅までの県内各駅を通る度にそのつど二段、三段と追加発行するはしゃぎぶりでした。
    今回の延伸により、今まで福井県民は金沢まで在来線で行き、そこから新幹線に乗り換えて東京に向かっていたものが乗り換えなしの一本になったのですから時間短縮も含めすこぶる便利になります。しかし、それとは逆に福井から大阪に向かう場合、特急サンダーバードで直通だったものが、新幹線が敦賀まで延びたことによりサンダーバードの終点は敦賀駅になり、そこで必ず乗り換えなければならなくなり延伸の恩恵はほとんどないどころか不便になったとさえ感じます。
    進学や就職でふるさとを後にするとき、いままで北陸地方からは首都圏とおなじくらい近畿圏にも人が流れていましたが、今回の延伸による時間短縮で今後ますます首都圏一極集中にならないか心配です。
    明治時代に新潟県が人口日本一だったことがあります。これは主な産業が農業だった時代に、現代でもコメどころとして知られる新潟県にはそれだけの人口を食わす食料とそれを作る豊かな土地があり、またなりより多くの稲作の仕事があったからです。それが日本の近代化が進むとともに工業が盛んになり東京や大阪など太平洋側の人口が増えるようになりました。要するに仕事のあるところに人は集まるのです。
    そして今では東京、神奈川、埼玉、千葉のたった4都県で構成されえる東京圏に日本の総人口の3分の1が集中する事態となり、その結果、新築マンションの平均価格が8100万(東京23区に限れば1億1400万超)まで高騰しているのですから困ったものです。これでは日本人でありながら日本にマイホームを持つこともできません。交通網や通信網の発達により国土はどんどん小さくなっていますが、そこに住む人々の幸福度を含めた格差は大きくなるばかりです。
     
     
    ●琉球大学が2月25日に実施した一般選抜(前期日程)で、入試の実施ミスがあったというニュースがありました。入試のミスというと答えが2つ、あるいはない問いがあったなどの出題ミスがほとんどですが、今回は「欠席者を誤って合格扱いにした」なのですから笑ってしまいます。
    受験生は「自分ではよく出来たつもりだけど大丈夫だろうか」「ぜんぜん出来なかったからダメだろう」など合格発表まで不安な日々を過ごすものですが、試験を受けていなければ100%受かることはありません。そこに「おめでとう、合格です」の通知が舞い込むのですから???以外のなにものでもありません。
    琉大によりますと、受験生はそれぞれ受験番号と同じ番号が記された座席に座らなければならないところ、出席した受験者は別の席に間違えて座ってしまい試験用紙にもその座席番号を記入したことにより本来いない受験生が受けたことになってしまったようです。
    試験監督者は受験番号と顔写真は確認したものの席番号との照合はしておらず、その席に本来座るはずの受験生も欠席したためミスに気づけなかったといいますからお粗末なことこの上ありません。過去には現役東大生や娘のためにと女装した父親が代わりに受ける“替え玉受験”がありました。しかし、そんな危険を冒さなくても「出願を2つして当日に席を入れ替わるこの方法を使えばバレなかった」と今頃くやしがっていることでしょう。
    今回は欠席者側から合格通知書が届いたとの連絡があったことから発覚しましたが、それがなければ無試験で合格という前代未聞の事態になっていました。いや、公になっていないだけで「あれ、欠席したのに合格してる」と何食わぬ顔をして入学している学生は既にいるのかもしれません。
     
     
    ●「島耕作」さんが佐賀県の副知事に就任したことに対し、県議が「議会の同意を得ずに副知事に就任している」と糾したというニュースがありました。
    地方自治法162条は「副知事は議会の同意を得て選任する」と定めています。これは知事が勝手に副知事を決め、タッグを組んでやりたい放題するのを防ぐためで、今回の件を議会として看過できないというのは当然です。
    しかし、この島耕作さんがあの人気漫画「島耕作」シリーズの島耕作となれば話は別です。「島耕作」シリーズは1983年に「課長島耕作」として連載が始まり、部長から取締役、社長、会長まで順調に出世し、その後の相談役、社外取締役までのサラリーマン人生を描いたものです。そんな島さんに情報発信プロジェクト「サガプライズ!」の一環として、退職後にスポーツビジネスに携わった彼の手腕に着目した佐賀県が白羽の矢を立てたのです。
    県では2023年11月から島副知事の執務室を県庁に開設し一般公開していました。要するに「島耕作副知事」は広報活動における企画物上のもので、実際に彼が県政に携わるものではなかったのです。そもそも島耕作は実在の人物でないので携わりようがありません。それに対し「議会を軽視している」と本気で噛み付くのですから呆れます。
    県会議場での「議会の同意を得ずに島耕作が副知事に就任しているが、規定を無視して任命したのか」との怒りを帯びた質問に、「あくまで情報発信のプロモーション企画として考えている」と平然と答弁するやり取りを傍聴席の市民は「いったい何を見せられているんだ」としか思えなかったことでしょう。
    こんな漫画よりも面白いことを現実の、それも厳粛であるべき議会でやられては「島耕作」作者の弘兼憲史さんは立つ瀬がありません。
     
     
    ●高知市の山中にある崖っぷちでゴトゴト揺れるのに決して落ちないことから「受験生の聖地」と呼ばれた巨石を動かなくしたとして、関東の大学生6人が高知簡易裁判所から器物損壊罪で罰金刑をうけたというニュースがありました。
    この石は6トンほどの重さがあるにもかかわらず手で押すと揺れるのです。しかし、どんなに頑張っても決して崖からころげ落ちない不思議な石で、地元の人が注連縄を巻き「ゴトゴト石」と呼んでちょっとした観光名所にもなっていました。
    そんな石を男5人、女1人の大学生が「それなら俺たちで落としてやろう」と2022年11月26日朝にレンタカーを借りてわざわざ東京から駆けつけたというのですから呆れます。夜になってようやく現地に到着し、早速“作業”を開始しましたが全員で力いっぱい石を押しても噂どおり石は落ちません。道具がなければとても無理と察した彼らはホームセンターで荷絞めベルトやハンマーを買い込み再び挑戦しますがやはりうまくいきません。
    そうこうするうちに石の向きが変わり、まったくゴトゴト動かなくなってしまいました。そこで今度は車用品販売店でジャッキを買って山中に戻りましたが、それでも石は微動だにせず、遂にはジャッキが壊れてしまい万事休すです。そして27日夕方まで20時間近く現場周辺にいて疲れ果てて道具を放置したまま帰ったといいますから、なんともご苦労なことです。
    学生たちにとってはただの“青春の思い出”なのかもしれませんが、そんな状態で放置された地元は堪ったものではありません。「ゴトゴト石」をふつうの「石」にされた現地民の怒りはすさまじく、500人の署名で学生たちを刑事告訴し今回の罰金刑となったのです。
    過疎化が進む場所に住む人にとっては藁にもすがる想いの観光資源だっただけに学生たちの面白半分の軽率な行動はいただけません。自然が作った不思議な「ゴトゴト石」。今後なんとか手を加えて元通り動くようになったところで、それはもう人間の造形物に過ぎません。大学生たちは自分たちのしでかしたことの重大さをしっかりと心に刻まなければいけません。
     
     
    ●北海道の同性カップル3組が「同性婚を認めないのはおかしい」と国に対し1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が行なわれ、札幌高等裁判所は同性カップルの結婚を認めない民法などの規定は憲法第24条、14条に反し違憲だという判断を下しました。
    憲法第24条には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」とあります。両性とは言うまでもなく「男性」と「女性」の2つの性のことです。その組み合わせのカップルなら誰にも邪魔されることなく結婚できるというのを、今回の裁判長は「当事者の自由意思で婚姻するために『両性』と表現した。制定当時は同性婚を想定していなくても、現在では性的指向や同性婚の自由も十分に尊重すべきだ」としたのですから驚くべき拡大解釈です。
    また14条の「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」を盾に「同性のカップルを差別してはいけない」となると、もう日本の司法は“言ったもの勝ち”を認めると宣言したのも同然です。これでは「15歳同士の結婚を認めないのは差別だ」「親子、兄妹で結婚させろ」「愛してやまない愛犬と結婚したい」すべて認めなくてはならなくなります。
    現行の法律で結婚は「18歳以上の両性(男女)の合意により婚姻し、新たに1つの戸籍を作るもの」と規定されています。これは社会的、経済的に責任をとれる年齢の男女が結婚し国の未来をつくる子供をもうけ、その籍の中で養育するという、いたって合理的なものです。それをごく一部の人たちのために変えたのでは全体の秩序が乱れるばかりです。
    わたしは「少数者を排除しろ」と言っているのではなく、またその権利も認めるべきだとは思います。彼らは「婚姻」しなければ不都合、不利益が多いと言います。ならば結婚という形にとらわれることなく、それを改善すればいいだけでしょう。実際、すでに内縁(事実婚)の妻にも旦那の遺族年金は支給されるようになっていますし、パートナーシップ制度を導入する自治体も増えています。そもそも“家族”になるには養子縁組制度もあります。結婚はあくまで両性(男女)の合意によるもので、それ以上でも以下でもありません。
    人は誰にも自由に幸福になる権利がありますが、自分が社会を構成する一員であることを忘れてはいけません。そしてその社会には全体が幸福になるためのルールがあるのです。

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  • 2024年3月15日号:ニュースに一言

    2024-03-15 23:37  
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    ●2015年6月、新横浜-小田原間を走行していた東京発新大阪行き東海道新幹線「のぞみ225号」の先頭車両で71歳の男がガソリンをかぶって自身のからだにライターで火をつける焼身自殺を図り、男とその巻き添えを食った乗客の女性が死亡し、ほかに乗客26名と乗務員2名の計28人が煙を吸うなどして重軽傷を負う事件が発生しました。
    また、2018年6月には同じく新横浜-小田原間を走行中の「のぞみ265号」の12号車で当時22歳の男が旅客3人を鉈で切りつけて1人を殺害し、2人に重傷を負わせる事件が発生しています。
    安全、安心であるはずの新幹線内で起きたこれらの事件を受け、JR東海はそれまで車掌や鉄道警察が担当していた車内巡回を強化するため“警備員”の乗り込みを決定し、現在ではすべての列車に警乗するようになっています。
    わたしは毎週のように東海道新幹線を利用し東上していますが、新大阪から東京までの2時間半に車内で数回は警備員に出会います。彼らの制服姿は犯罪を企んでいる者には恐怖心を、善良な乗客には安心感を与え犯罪抑止に寄与するものですが、その警備員が自ら犯罪をしでかしたというとんでもないニュースがありました。
    2月下旬、新幹線に乗っていた20代の女性客から「乗務員に体を触られたような気がするので確認してほしい」と申し出があり車内の防犯カメラなどを調査したところ、なんと巡回中の25歳の男性警備員が寝ている女性の上半身を故意に触っていたというのです。乗客は彼ら警備員に守られていると思っているから安心して寝ているのです。その信頼を裏切る行為は絶対に許すことはできません。
    この男性警備員は調査に対し「わいせつ目的だった。周りに人があまりいなければ大丈夫だろうという認識でやっていた。去年の夏ごろから同じ行為を繰り返していた」と話しており、男の警乗の目的が犯罪を防ぐためでなく“獲物を探すため”だったとは呆れてものが言えません。警備会社は男を即刻解雇しましたが失った信頼はそうそう取り戻せないでしょう。
    わたしも車内ではよく寝ていますが、知らないうちにいままで何回も“触られていた”と思うと恐怖で身体が震えます。
     
     
    ●『夫婦喧嘩は犬も食わない』といいますが、犬なら「いらん」で済むものも警察は通報されたら「知らん」と言えませんので大変です。
    札幌市豊平区で、それぞれ髪をつかんだり包丁を示したりしたどちらも20代の夫婦が暴行と暴力処罰法違反の疑い逮捕されたというニュースがありました。午前10時半ごろ、酒を飲んで朝帰りした夫が妻にちょっかいを出したことで口論になり夫は妻の髪をつかみました。怒った妻は「夫に髪を引っ張られた」と110番通報した後、夫に包丁を示して「何かしたら正当防衛だからね」などと言い放つのですからすこぶる気の強い嫁はんです。
    それを見た夫も負けていません。妻の通報の2分後に今度は「妻に包丁を向けられている」と再度通報するのですから、電話を受けた警官も「なんじゃ、この夫婦は」と呆れたことでしょう。
    2人の通報によりほどなく駆け付けた警察官がその場で夫婦を逮捕しましたが、調べに対し夫は「妻の髪をつかんで、引っ張ったことは間違いない」。妻も「包丁が夫の方に向いていたことは間違いない」などと話しどちらも素直に容疑を認めているということで、まったくもって何がしたかったのかわからないとんだお騒がせ夫婦です。
    この夫婦をめぐっては、おととしにも妻から「夫に暴力をふるわれている」という相談があったそうで警察は引き続き捜査していますが、離婚することもなく未だに夫婦でいる2人っていったい仲がいいのか悪いのか。そんなことで仕事を増やされる警察は堪ったものではありません。
    “イヌ”と比喩される警察官もこの時ばかりは本気で「わたしも“知らん”で逃げられる犬になりたい」と思ったことでしょう。
     
     
    ●「DRAGON BALL」や「Dr.スランプ」などの名作を生みだした漫画家の鳥山明さんが、3月1日に68歳で亡くなりました。彼はわたしも含めた昭和30年度生まれの同い年のホープでした。漫画はもちろんゲーム「ドラゴンクエスト(ドラクエ)」の大ヒットもあり、世界中でもっとも有名な日本人の1人でもあった彼のご冥福を祈ります。
    そんな鳥山明さんの“ニセ”イラストやサインがインターネット上のオークションサイトやフリマアプリで多く販売されているというニュースがありました。出品者はテレビが連日彼の特集を組んでいる「今なら売れる!」と考えたのかもしれませんが、このタイミングでこのニュースを聞くなんて彼の功績を想うとあまりにも悲し過ぎます。中には実際に数万円で販売されたものもあるようで“火事場泥棒”にも似たやり口には怒りしかありません。ニセモノがもってのほかなのは言うまでもありませんが、仮に“本物”だったとしても鳥山さんが心を込めて描いたものを勝手に現金化するのは、明らかに彼に対する冒涜です。
    わたしもサインを求められることはありますが、出来る限り対応するように心がけています。その際にはその出会いがよい思い出になるよう、一言でも二言でも会話するようにし、書いたサインを終生大事にしてもらえることを願います。
    このように本当ならサインは求めてくれる人と対面でしたいものですが、全国すべての町に出向くことはできません。そのためあらかじめサインを記した“サイン本”を作ることがあります。書店に並ぶサイン本の文字は、もちろん印刷などではなく、これを手にした読者が喜んでくれる顔を想像しながら一冊一冊丁寧に直筆でサインしています(ちなみにサイン本だからといって価格が割り増しになることはありません)。
    直筆サインの証明について特許を持ち筆跡鑑定も行う専門家は今回ネット上にあがった鳥山さんのイラストやサインに対し、「一見したところ偽サインしかない。偽物は本物をコピーしたり上からトレースして簡単に作れるので注意が必要。特に鳥山明さんのサインはひらがなだけなので難易度は低い」「サインをもらった時のエピソードなどが書いてあるものもあるが、エピソードはウソをつける」と一刀両断しています。
    そりゃそうでしょう。なぜならもう二度と新たにサインをもらうことができないのですから、本物なら誰も手放すわけがありません。
     
     
    ●悪質な交通違反を繰り返す「自転車乗り」に対応する道路交通法の改正案が3月5日、閣議決定されたというニュースがありました。
    この改正案の目玉は自転車による交通違反への反則金制度導入で、成立すれば「スマホを使いながらのながら運転」「信号無視」「右車線の逆走」などの悪質な違反に「青切符(反則金納付)」が切れるようになります。現行の「赤切符(刑事処分)」による違反処理は、取り締まり現場で長時間の手続きが必要、後日出頭が必要、さらに前科が付くなど違反者とトラブルになりかねないことが多く「ハイ、違反!」というわけにはいきませんでしたが「青切符」では反則金さえ払えば終わりという手軽さで簡単に「ハイ、違反!」ができるとしています。
    気になる反則金の額は〇指定場所一時不停止:5000円、〇信号無視:6000円、〇携帯電話などの使用:1万2000円などどれもそれなりの金額です。さらに反則金が納付されなかった場合、刑事処分として手続きされ起訴された場合は裁判に発展し懲役・罰金などが科せられ前科がつくことになりますので遵法意識はあきらかに高まるでしょう。
    しかしそれも取り締まりが的確に運用されたらの話です。一部報道によりますと、取り締まりは警察官の警告に従わずに違反行為を続けた場合や、事故につながりかねない交通の危険を生じさせた場合とされています。すなわち一方通行を逆行して警官に見つかっても「コラ!」の声に対しすぐに自転車を降りれば、スマホのながら運転を見つかっても「コラ!」の声に対しすぐにポケットにしまえば切符を切られない可能性があるようなのです。これでは違反があれば有無を言わさず即摘発される自動車のドライバーと大きな違いで「謝れば大丈夫」の規則に果たしてどれだけの効力があるのか疑問です。
    そもそも運転免許の不要な自転車でどうやって本人確認するのでしょうか。その場しのぎの適当な住所と名前で切符を切られ、そのあとは知らんぷりなんてことにならないか心配です。傍若無人な自転車乗りが増えている昨今法改正は大いに結構ですが、誰もが「絶対に守らなければ」と考えるようなものでなければ改正の意味がありません。
     
     
    ●新幹線の車内で、車掌の顔を殴ってケガをさせた男が逮捕されたというニュースがありました。
    傷害の疑いで現行犯逮捕されたこの50歳の自称無職男は午後2時45分ごろ、広島駅から福山駅の間を走行していた山陽新幹線博多発東京行き「のぞみ32号」の車内で40歳の車掌の顔を殴って前歯を折るケガをさせていたのです。通報を受け駆けつけた警察官がJR福山駅構内で男を現行犯逮捕しましたが、こんな“ならず者”さえ乗車拒否できない公共交通機関の従業員は大変です。
    暴力行為に“良い”ものがないのは当然だとして、わたしが最も許せないのは男の殴った相手が『女性』車掌だったことです。百歩も千歩も譲って相手が男性だったのなら、理由のいかんによっては酌量の余地があるかもしれませんが、男が女に手を挙げた時点で「男が悪い」が決定です。なぜなら女性は男性より“弱い”からです。こう言うと「レスリングの霊長類最強女子や柔道のヤワラちゃんは男性より強い」なんて反論する人が必ずでてきますが、それはあくまでも例外であってわたしは一般論として言っているのです。
    すると今度は「女は男より弱いと決めつける百田は差別主義者だ」と来るのですから辟易します。誰が何と言おうと、LGBT理解増進法が成立しようと生物としてオスがメスより大きく力が強いのは不変です。それを「平等」という言葉でまやかしていたのでは本質を見誤ります。男性と女性は平等ではあるが同等ではありません。にもかかわらず「なにもかも同じ」とするから無理が生じるのです。
    それにしても、今回の男は車掌が男性でも殴っていたのでしょうか。もし相手が女性だったからだとしたらこの男は男の風上にも置けないクズ中のクズです。

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  • 2024年3月8日号:ニュースに一言

    2024-03-08 18:21  
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    ●2023年12月、長野県軽井沢町で電動キックボードに乗っていて大型バスと衝突して死亡した当時39歳の女性が、無免許運転と信号無視、ノーヘルメットの道路交通法違反の疑いで被疑者死亡のまま書類送検されたというニュースがありました。
    この事故は信号機がある丁字路交差点で、電動キックボードに乗っていた女性が信号機が赤なのに交差点に進入して左折しようとし、直進してきた大型バスと衝突し死亡したものです。その後の調ベで女性の電動キックボードは、最高時速が20キロを超える「一般原動機付自転車」に区分され、運転免許がなければ公道を走ることができないのにもかかわらず、女性は運転免許を持っていなかったことが分かっています。すなわちこの女性は無免許の上に、信号無視までしていたのです。こんな無法者に突撃されたバスの運転手は災難でしかありません。
    交通事故の場合、一般的に歩行者と自転車なら自転車、自転車とバイクならバイク、バイクと乗用車なら乗用車、乗用車と大型バスなら大型バスと、大きいほうの責任割合が高くなります。これは破壊力の強いほうがより気をつけないといけないからと一見合理的なようですが、それも時と場合によります。今回のように一方的な法令違反の場合にまでそれを持ち出し、なんら落ち度がないにもかかわらず“バス”というだけで責任を押し付けられたのでは堪ったものではありません。
    その意味では女性の落ち度のみを明確に認めた今回の処分の意義は大きいでしょう。このニュースを見て“平気で信号無視を繰り返す自転車乗り”が減れば幸いです。電動キックボードは2023年7月の道路交通法の改正で、免許所持とヘルメット着用が必須だったものが最高速度によって「免許が必要、不要」「ヘルメットが必要、不要」に分けられました。しかし、電動キックボードはスピードが出ないから安全というわけにはいきません。なぜならこの乗り物には小さな2つの車輪しか付いていないからです。自転車やバイクもそうですが、2輪車はある程度のスピードを出すことによって安定して走行できるのです。スピード違反はダメだからといって不安定な状態でよろよろと路肩を走られたのでは周囲のドライバーは恐怖でしかありません。そんな危険な乗り物の規制を国はなぜ“緩和”したのでしょう。
    ソーラーパネルやEV自動車など“電気関係”のほとんどは今や「メイドイン中国」です。電動キックボードも御多分に洩れていません。まさかとは思いますが、親中派の連中が「自己の利益と引き換えに国民の安全を売り渡した」なんてことがあったらわたしは許しません。
     
     
    ●和歌山県警白浜署が自殺をしようと「三段壁」を訪れた乗客の命を救った地元の同じタクシー会社に勤務する2人のドライバーに感謝状を贈ったというニュースがありました。
    「三段壁」とは南紀白浜の観光名所で千畳敷の海岸にそそり立つ高さ50メートルほどの「そこから落ちたらひとたまりもない」と思われる断崖です。54歳の運転手は午前0時10分といいますから真夜中です。紀伊田辺駅から女性客を1人乗せました。女性は行き先を二転三転させた後「三段壁へ」と。
    こんな時間に「三段壁」なんてどう考えてもおかしいと感じた運転手が「『アレ』しにきたんか?」と聞くと女性は「うん」。(ちなみに『アレ』は阪神優勝でも“事件の謎解き”でもありません)そのただならぬ様子に「降ろすわけにはいかない」とタクシーを白浜署に横付けしました。
    また、別の68歳の運転手は午後5時40分頃、白浜駅で1人の女性客を乗せ「三段壁」に向かいましたが、観光客にしては荷物が小さなカバンだけ、そのうえ表情も暗かったことを不審に思い「誰かと待ち合わせですか?」「何しに行くの?」と話しかけたところ、女性は突然涙を流し始めたそうです。「このまま分かれたら彼女は・・・」と感じた運転手は110番通報し、駆けつけた警察官に後を託しました。
    どちらも運転手が「俺らの仕事は言われるままに客を運ぶだけ」と考えていたら違った結末を迎えていたかもしれません。感謝状を手に運転手さんは「素晴らしい白浜を自殺の名所にしたくなかった」と答えています。彼らの地元愛と仕事に対するプライドが最悪の結果を回避したのです。
    「俺が、俺が」と自己の欲望のためだけに頑張る“上級国民”のいやなニュースばかりを見せられる毎日ですが、市井の人たちは誇り高く、また他人に対するやさしさを忘れずに生きていると感じたニュースでした。
     
     
    ●大阪府八尾市の市立小学校1年生の女子児童が、遠足でお茶を買わせてもらえなかったために熱中症になったとして、両親らが市に慰謝料など220万円の損害賠償を求めて起こした裁判の第1回口頭弁論がありました。
    訴状などによりますと、遠足は令和4年5月末にあり、その中に往復で約2時間歩く行程があったそうです。それを見た母親は前日に体力面の不安から欠席したいと伝えましたが、担任教諭から「大丈夫です」と促されて参加を決めたそうです。担任も「せっかくみんな揃って行くのに参加しないとかわいそう」と思ったのでしょう。その際、母親は「300円を持たせますので水筒のお茶が足りない場合は買い与えてください」さらに「しんどいと言ったら迎えにいくので電話をください」と申し入れていました。
    しかし当日、女児が教諭に「お茶を買わせてください」と伝えても校長の判断で認めなかっただけでなく、めまいを覚えて「ママを呼んでください」と伝えても聞き入れなかったそうです。そして下校の際に迎えに行った母親が高熱に気づき、女児は救急搬送されて熱中症と診断されました。
    母親にしたら「あれだけお願いしていたのになぜ?」と思うのも当然です。女児側は学校側に「安全配慮義務違反があった」と訴えている一方、学校側は「様子を確認し体調に問題ないと判断した。児童に熱中症の症状が出た際は、飲料水を購入することを想定していた」と主張しています。しかし、現実に女児は熱中症で救急搬送されているのですから、学校側の言い分にはなんら説得力はありません。きっと学校は団体行動の最中に自動販売機で飲み物を買うことを1人に認めたら収拾がつかなくなると考えたのでしょう。でも、そうだとしたら暑い中の遠足なら担任が予備の飲み物を準備しておくなどしなければならなかったのです。
    小学校に入ってまだ2ヶ月の初めての遠足。この女児は身体が小さかったため母親は「周囲に迷惑をかけては」と不参加を申し入れました。それに対し、担任が参加を促したのが「自分のクラスから欠席者を出したくない」という子供第一でない自己保身からだったとしたら、そんな教師に子供は預けられません。なによりも、しんどいときに誰にも助けてもらえず辛い思いをした女児が今後、大人を信頼できなくなったとしたらそれだけで十分に教師失格です。
     
     
    ●中古車販売店の倉庫に侵入したとして、兵庫県警川西署に建造物侵入の疑いで住所不定無職の64歳の男が逮捕されたというニュースがありました。
    2月25日の午前2時半頃、この倉庫から白煙が上がっているのに気付いた近隣住民から119番通報があり消防と警察が出動しました。駆けつけた警察官が建物の中を確認すると、そこにあったのは1枚の“マイナンバーカード”です。これ以上身分を証明するものはないと警官がそれを手に待っていると、白煙の残る中に男がのこのこ帰ってきたのですから文字通り「飛んで火にいる夏の虫」です。
    調べに対し男は「昨年末から住んでいた」と素直に容疑を認めていますが、あまりの寒さに倉庫内で焚き火をしたのが運の尽きとなってしまいました。それにしても3ヶ月近くも住んでいたのはよほど居心地がよかったのでしょうが、勝手に入り込んで“住んでいます”とは恐れ入ります。まさかマイナンバーカードにこの倉庫の住所が書いてあったのでしょうか。どうせなら手書きでもそうしておけば捕まらなかったかもしれないのに。身分証明といえば運転免許証か健康保険証が定番でしたが、政府はそれに代わるものとして“マイナンバーカード”を猛プッシュしています。なるほど住所不定無職もこれさえあれば日本国民を証明できることが今回よくわかりました。
     
     
    ●アメリカ・バイデン大統領の飼い犬が大統領警護隊(シークレットサービス)隊員に次々と噛み付いていたというニュースがありました。ホワイトハウスで2021年12月から飼われていたこの犬は「コマンダー」という名の2歳のジャーマンシェパードで、分かっているだけでも1歳を越えた2022年10月以降に24件の“噛み付き事案”を起こしていました。そしてこの24件にはシークレットサービス以外のホワイトハウス職員などが関係する事案は含まれていないそうですので、実際の被害者はさらに多いことでしょう。
    ジャーマンシェパードといえば警察犬や盲導犬にも使われる賢い犬です。しかし、どんな優秀な犬でもしつけをしなければやりたい放題のわがままな犬に育ってしまいます。「コマンダー」は飼い主がアメリカ大統領ですから、さぞかし有能な訓練士がついていたでしょうに、なぜ(日本の野党でもないのに)誰彼なしに噛みつく犬になったのか不思議です。よほどのバカ犬だったのか、あるいはシークレットサービスを無能だと感じ「わたしがご主人様を守らなければ」と思う忠誠心の塊だったのか。そうだとしたら「コマンダー」(司令官)でありながら自ら敵陣に飛び込んでいくのですから見上げた心意気です。
    いずれにせよホワイトハウスに入るためにシークレットサービスにさらに「コマンダー」避けの警護隊が必要だなんて笑い話にもなりません。そんな「コマンダー」は“更正の見込みなし”ということになり、ついにホワイトハウスを追放され今は別の場所に移されたそうです。
    今年は秋に大統領選挙があります。バイデン氏も再選されなければホワイトハウスを追い出されることになります。大統領の肩書きがあれば周りの人たちすべてが“尻尾を振って”近づいてきますが、そんな人たちも大統領でなくなれば潮が引くように消えていきます。しかし、バイデンさん、なにも心配することはありません。なぜなら、そのときには「コマンダー」が本心から“尻尾を振って”再会を喜んでくれるでしょうから。
     
    ●札幌市円山動物園でオスとして飼育されていた1歳半になるライオンのクレイ「君」が、実はメスのクレイ「さん」だったことが分かったというニュースがありました。
    クレイは旭山動物園から譲り受けたメスのライオンのイトさんとオスメスのペアで展示しようと1歳を過ぎた2023年10月に愛媛県のとべ動物園から円山動物園にやってきました。しかし、1歳6か月を過ぎても同じ年齢のオスライオンで見られるようなタテガミの成長がなく、さらに排尿の様子などから本当はメスではないかとの疑いが生じたということです。そしてその後の血液による遺伝子検査で遂にメスと判定されてしまったのです。
    それにしても人間なら“チンチン”が付いているのは男、ないのは女とすぐに分かりますが、ライオンにはメスにもチンチンが付いているのでしょうか。あるいはある程度成長するとタテガミと同じようにオスだけにチンチンが生えてくるのでしょうか。動物園の飼育係や獣医ですら間違えるチンチンっていったいどんな形をしているのでしょうか。疑問は尽きません。
    今後、クレイは「メスに用はない」と元の愛媛県とべ動物園に戻されることになるそうですが、果たしてクレイは納得しているのか心配です。なぜなら外見が“メス”だからといってオスではないと決め付けるのは現代では認められないからです。肝心なのはクレイ自身の性自認で、今までオスとして育てられてきた“彼女”が「わたしはオスよ」と言えばタテガミがあろうとなかろうとオスなのです。さあLGBT推進者のみなさん出番です。人間の勝手で振り回される哀れなクレイになにとぞ力をお貸しください。
     
     
    ●名古屋市内の小学生が「同級生に93万円だましとられた」と訴えているというニュースがありました。この現在小学6年生の男子児童は、おととし11月~去年2月にかけて計8回にわたって3人の同級生から“投資話”を持ち掛けられ、あわせて約93万円支払ったというのです。
    被害を訴える父親によりますと、児童は3人からメダルを見せられ「このメダルは“純金製”。いま金のレートは1g9000円ぐらい。その価値が上がっていく一方だ」と言われ、このメダルを36万円で購入したそうです。しかし、実際は純金などではなく、名古屋港水族館で数百円で販売されているただの記念メダルでした。また、別の日には珍しい紙幣だといわれカナダの10ドル札(日本円で1200円ほど)も25万円で購入していました。
    このニュースを聞いて、まず驚くのは小学生がよく93万円もの大金を持っていたことです。この男子児童は、親戚にもらった祝い金やお年玉などを貯め、100万円以上を自宅で保管していたそうですが、それを同級生に「ぼくは自由に使える金を100万円もっている」と言ってしまったのですから大変です。話を聞いた3人が「よし、その金をもらおやないか」と相談し、騙すことを思いついたようです。
    大人の世界でも金持ちをねらう詐欺事件は多く発生しています。彼らは言葉巧みにもうけ話を持ち掛け“ケツの毛” までむしり取っていきます。それが小学校を舞台に行われたのですから驚きです。さらに騙した方は「いま金のレートは1g9000円ぐらい」と的確に金相場を把握する念の入れようですから、これはもう小学生の遊びというよりいっぱしの詐欺師です。同級生3人のうち一人の保護者は、「ことの大きさを知って、やってしまったことに深く親子一同反省している。被害にあわれた児童と親御さんには直接謝罪した。二度とないようお金に関する教育を今一度しっかりやっていきたい」と話しているように周りの大人はしっかりと事件を受け止めています。
    93万円という小学生にあるまじき金額が動いた事件ですが、ここはお金を返し徹底指導でいいのではと思います。新NISAも始まり国は盛んに“投資”を奨めていますが、今回の事件は被害者にとってこの上ない反面教師となったことでしょう。
     
     
    ●一攫千金と聞いて一番に思い浮かぶのはやはり“宝くじ”です。ギャンブル依存症が社会問題となる中、最近では1等が10億円なんてものまで売り出されているようで、これほどまでに射幸心を煽るものを国がお墨付きを与えて売っているのですから、見事なまでのマッチポンプぶりです。誰もが1等を夢見て購入するものの、実際に10億円を手にできることはほとんど(絶対と言っても良いほどの極めて低い確率)なく、末等でも当たれば御の字というのが現実です。
    そんな宝くじが大盤振る舞いをしたというニュースがありました。インターネット専用の宝くじ「クイックワン」で本来10本しかないはずの1等200万円が間違って20倍の200本で設定されてしまったのです。さらに2等の10万円も10倍の2000本と設定されたのですから、一気に当選確率はアップしました。その代わりと言っては何ですが、6等の200円は本来40万本なければならないところ、なんと10本しか設定できていなかったといいますから困ったものです。これでは1等200万円を当てるより6等200円を当てるほうが難しいのですから、笑ってしまいます。
    この失敗は購入者からの指摘で発覚したそうですが、買うくじが1等2等と連発したのか、あるいは10本に1本当たる6等が何枚買っても当たらなかったのか。多分後者だと思いますが、「せめて200円だけでも取り戻したい」と思う気持ちが不憫でなりません。競馬や競輪の“儲け”が雑所得として課税されるのに対し、宝くじの賞金は非課税です。10億円が丸々自分のものになるのですから「ギャンブルするなら宝くじ」と言いたい所ですが、ここには大きな落とし穴があります。それは競馬の配当還元率が75%なのに対し、宝くじは45%となんと半分以上がてら銭として取られているのです。すなわち売り上げが100億円として競馬は75億円を払い戻すのに、宝くじは45億円しか戻してくれないのです。こんな割の合わないギャンブルなんて「するだけ損」でしょう。しかし、ジャンボ宝くじの発売日には毎回長い行列ができます。購入者は「買わないと当たらないから」といいますが、わたしは68年生きてきて知り合いに1等当選者は1人もいません。
     
     
    ●木原防衛大臣が3月16日の北陸新幹線の金沢~敦賀間開業にあわせて、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」が能登半島地震の被災者を激励するために石川、福井両県上空を展示飛行すると語りました。
    「ブルーインパルス」は1964年、2021年の2度の東京オリンピックで大空に5つの輪を描いたほか、2020年5月29日には、新型コロナウイルス感染症対策に当たる医療従事者に敬意と感謝の気持ちを伝えるため自衛隊中央病院など東京都内の上空を飛行するなど、いままでにも多くの人々を激励、そして感動させています。しかし、この試みに対し「もっと生きたお金の使い方考えたら?」「ブルーインパルスが飛んだら瓦礫は撤去できるの?水道は復旧するの?」「税金の無駄遣い、被災地にそのお金を回せば良い」などの批判がでているといいますから困ったものです。
    能登半島地震が発災して2カ月が経ちますが、いまだに避難所生活を強いられている人が多くいるのは事実です。しかし、今日現在瓦礫の下で救助を待っているのなら確かにブルーインパルスよりも救助ヘリの方がいいのでしょうが、いまは差し迫った危険はなく、すでに「いかに元の生活に戻るか」の段階に入っています。そんなときに空の上から激励されることに不満を抱く人なんているのでしょうか。2011年3月に東日本大震災が発生した時、テレビのすべてのチャンネルは震災報道一色となり民放からはCMすら消え日本中が自粛ムードに包まれました。当時、わたしが構成を担当していた「探偵!ナイトスクープ」も御多分に洩れず放送休止を余儀なくされました。この番組は「スクープ」といっても、報道番組ではなく実態はお笑い中心の娯楽番組です。24時間「おもろいこと」ばかりを考えて来たスタッフはいつ再開したらいいのか分からず不安な日々を過ごしていましたが、他局がまだ被災地の様子ばかりを伝えている中で「本当に放送していいのか」という葛藤はあったものの「こんなときにこそお笑いを」といち早く放送再開を決断しました。果たして被災地からのその反響は「久しぶりに腹の底から笑った」「明日への活力になった」など概ね好意的なものばかりでスタッフ一同は胸をなでおろすと共に笑いの力を再認識したものです。
    そもそも今回のブルーインパルス飛行を批判しているのは被災地の人たちなのでしょうか。わたしには批判者は安全な場所にいて「われこそ被災者の気持ちを代弁している」と自己満足に浸る偽善者か、あるいは国のすることはすべて気に入らない反権力主義者のどちらかとしか思えません。なによりも被災地で大活躍する自衛隊に感謝しない人はいません。その自衛隊のブルーインパルスが3月16日、空から被災地を激励するのです。これのどこにケチのつけようがあるのでしょうか。当日は多くの被災者が上空を見上げ笑顔で手を振ることでしょう。笑顔は復興の一番

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  • 2024年2月24日号:ニュースに一言

    2024-02-24 07:00  
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    ●兵庫県川西市の中学校で昨年9月から始まった給食のごはんにかける“ふりかけ” 持参に共産党の市会議員が待ったをかけたというニュースがありました。これは2023年4月に行われた市長と中学生との意見交換会で、生徒から「給食の食べ残しを防ぐためにふりかけ持参を認めてほしい」との要望があり、教育委員会が1人1袋、友達などへ渡さないことを条件に許可していたものです。
    それに対し市議は「給食は栄養バランスと衛生管理・食中毒などの事故が起こらないよう管理されている。それなのに家庭から違う食べ物を持って入ることには危機感がある」と異議を唱えたのですが、あまりの建前論に驚きます。
    たしかに給食は生徒1人あたりのカロリーやたんぱく質、塩分などが綿密に計算されていますので、勝手に“ふりかけ”を食べられたら塩分過多になるなど当初の目論見が外れてしまいます。しかし、おかずを全部食べてしまったためにごはんを残してしまうのなら、今度は肝心のカロリーが不足してしまいますのでどちらにしても目論見通りにはいかないのです。
    そもそも生徒たちは1日の全部の栄養を給食で賄っているわけではありません。朝と昼は各家庭で食べているのですから、昼の給食をきっちり計算通りにして1日の栄養素を完璧にしようなんてナンセンスなのです。「いや、それでも未確認の食品により学校内でアレルギーによる事故が発生したら・・・」と心配なのかもしれませんが、自分の家から持ってくるものが食べてよいのか否なのかは本人が一番よく知っています。相手は幼稚園児や小学校の低学年児童ではありません。中学生なのですからもう少し信用してもいいのではないでしょうか。
    昼食時に各々が校外からUber Eatsで好きなものを持ち込んでいるわけじゃあるまいし、ふりかけの小袋に目くじらを立てるこの市議の過保護ぶりには呆れます。せっかく生徒たちが正当な手段で勝ち取った“ふりかけ持参”の権利が、こんなことで“事なかれ主義”の大人たちによって奪われることの方がよほど問題です。
     
     
    ●前を走っていたタクシーが一瞬目を離したすきに客を乗せるため急停止。「ぶつかる!」と思った瞬間、自動ブレーキで間一髪セーフ。雨の中、見通しの悪い四つ角から飛び出してきたトラックと「あわや衝突」と思った瞬間、自動ブレーキで九死に一生。左折した瞬間、横断歩道上の歩行者にビックリ、でも大丈夫、自動ブレーキが事故を回避。テレビからは安全性能を競うクルマのCMがこれでもかというくらい流れてきます。
    乗用車の自動運転システムの性能を試そうとして、友人の男性2人をひいた68歳の男が過失運転致傷の容疑で現行犯逮捕されたというニュースがありました。この3人は事故前、男が所有する軽自動車の“自動運転システム”について話をしており「本当にそんなにすごいのか」と、その性能を確認することになったそうです。そして男が運転席でエンジンを作動させたところ、後退を始めた車は一切止まることなくそのまま2人を轢いたといいますから、とんだ“自動運転システム”です。轢かれた男性のうち1人は頭蓋骨を骨折する重傷で、クルマ自慢をしていた男は取り返しのつかない事態に後悔しきりのことでしょう。
    高齢者の運転ミスによる事故も多発しており、自動車メーカー各社は自動運転システムの開発を急いでいます。日本では法律の関係で認められていませんが、高級外車の中には既に車内に誰も乗せずに自動で駐車場に行き、そこからまたスマホ操作ひとつで元の場所にどこにもぶつかることなく戻って来れるものもあるそうです。
    ショールームに行けば営業マンは「この車はアクセルを踏まなくても、ハンドルを持たなくても自動で前の車についていきます」や「人や障害物を感知すると自動で止まりますから事故になりません」など盛んに“自動運転システム”をアピールします。そして自身の目だけが頼りの旧車に乗っていた人は最新式の自動運転システム完備の新車に意気揚々と乗り換えるのですが、いざ新車を引き渡す際になると自動車メーカーの販売員は「絶対に自動ブレーキを試さないでください」としつこいくらいに念を押します。なぜそこまで必死になるのか不思議でしたが、その理由がようやく今回わかりました。
     
     
    ●なんとも胸糞の悪いニュースを見てしまいました。
    2月に入り大学入試が真っ盛りですが、この季節になると受験生を狙った痴漢が増えるというのです。その理由が「受験生は試験に遅れるわけにはいかないので被害に遭っても通報せず安心して触れる」からだというのですから虫唾が走ります。中にはSNS上で「その日は痴漢し放題の祭だ」と意気上がる変態グループもいるようで、嫌悪感が頂点に達する想いです。
    受験生はこの日のためにと寝る間も惜しんで頑張ってきました。大人ならそんな彼女らを「いままでよく頑張った、思う存分試験に臨みなさい」と応援するのが当然なのに、それを“痴漢”という卑劣な行為で邪魔をするのですから腹立たしいことこの上ありません。
    被害者は試験に遅刻しなかったとしても、その瞬間の恐怖と怒りで心穏やかならず、実力を発揮することができなくなるでしょう。鉄道会社や警察は駅で受験生に合格祈願のメッセージが書かれたチョコレートを贈ると共に、防犯ブザー機能などが盛り込まれたアプリのQRコードが入ったチラシを配りながら痴漢への注意を呼びかけています。さらに駅構内や電車内での見回りの人員を増やすなどして警戒も強化しているそうですが、受験生と乗り合わせた善良な乗客の皆さんにも、ぜひ彼女らを気にかけ守ってもらいたいものです。
    「毎月5の付く日はポイント2倍」など、時期によって特典が変わるサービスはよくあります。それに倣って、この卑怯極まりない痴漢の刑罰を受験シーズンは大幅に上乗せすることは出来ないでしょうか。初犯であろうと一切の酌量なしで全員が懲役10年など、一撃で人生を棒に振るくらいのダメージを与えたいところです。こんなことを言うと「法治国家にあるまじき暴論」と笑う方もいるでしょうが「将来が決まるかもしれない大切な日を台無しにした輩にはそれでも足りないくらいだ」と、わたしは思います。
     
     
    ●女性に性的暴行したとして逮捕・起訴されていた58歳の警視正の男が勾留先の広島中央署の留置場で自殺したというニュースがありました。
    警視正とは警察の10ある階級の上から4番目で、全体の0・3%としかいないエリート中のエリートです。そんな警察幹部の男の捕まった理由が、マッチングアプリで知り合った10代の女性に対し「オレは警察官だ。“売春”で捕まりたくなかったら言うことを聞け」と脅して性交したからだというのですから呆れます。
    その後の取調べにより被害者はほかにも複数名いたことが判明し、犯罪を未然に防がなければならない立場の警察のこれ以上ない面汚しです。百歩譲って非番の日に身分を隠して“若いねーちゃん”と遊ぶのならまだしも、この男は相手を本物の警察だと信用させるために正真正銘の制服を着ていたといいますからとんでもない男です。
    日本でおとり捜査が認められていないのは、それによって“犯罪”が生み出されるからですが、この警視正は自らの手で“売春”よりもさらに悪質な犯罪を生み出したのですからしっかりと罰を受けなければならなかったのに自殺で幕引きとは・・・。
    広島県警はこの警視正を自殺などの恐れがある「特別要注意者」に指定していたそうです。それでも自殺は行なわれました。広島では刑務所に収監されていた受刑者が24時間カメラで監視されていたのはプライバシー侵害だとして提訴していることもあり、広島県警の中に相手が警察の幹部だけに「ずっと監視はどうも」という気持ちがあったとしたら問題です。いずれにせよ“死なせた”県警の失態であることは間違いなく批判されても仕方がないでしょう。この警視正は最期もまた仲間の警察官の名誉を汚したのです。
     
     
    ●法務省が刑務所や拘置所に収容されているすべての人を今年4月から「さん」付けで呼ぶよう各所に指示するというニュースがありました。
    今まではほとんどの刑務所では受刑者を呼び捨てにしていましたが、これからは「〇〇さん」とまるで先輩やお客さんに対するようにするというのです。これは2022年に発覚した名古屋刑務所の刑務官による受刑者への暴行事件を受けた改革の一環で、名古屋刑務所では彼らを「懲役」と呼ぶなど不適切な呼称が横行していたことで人権意識が希薄になり、それが暴行事件につながったと考えたようです。
    「極寒の網走刑務所で満足な食事も与えられない上に過酷な労働を強いられ怪我や栄養失調で命を落とす」なんて大昔の話で、現代の刑務所は「空調完備の上に栄養計算された食事が3食用意され、土日休みの完全週休2日制」と残業休出当たり前のブラック企業の社員が聞いたら羨むばかりの待遇です。そんな肉体的負担のほとんどない受刑者の、さらに精神的負担まで取っ払おうというのですから、この国はどこまで犯罪者にやさしい国なのでしょう。
    そもそも刑務官の不祥事が問題なら、彼らへの教育を徹底すれば済むことで、そこに“受刑者”を巻き込む必要はありません。刑務所が矯正、あるいは懲罰のための施設であるなら、同じ人間であってもそこには明確な上下関係がなければなりません。さもなくば「なんであんたの言うことを聞かなければならないの」と秩序も何もあったものではなくなります。「受刑者も刑務官も同じ人間だから、そこに上下関係があるのはおかしい」なんてきれいごとはやめてもらいたいものです。
    そして今回の決定には受刑者にも刑務官を「先生」と呼ばず「職員さん」「担当さん」にするよう求めることも含まれています。先生とは本来、学校の教師や医師、弁護士などその知識を自分のために使ってくれる人に対しての敬意を込めた呼称だったものが、いつのまにか「当たり障りのない呼び方」や「相手の機嫌を良くする呼び方」に変わってしまいました。
    その最たる対象が“議員”です。面白いのは「揉め事を避けるために、これでもかというくらい気を遣え」という風潮の昨今、先生側(議員は除く)もすこぶる丁寧になっていることです。学校ではモンスターペアレント対策もあり父兄は「保護者の皆さん」ですし、病院ではモンスターペイシェント対策でさらに上をいく「患者さま」になっています。「病気を治して」とお願いする立場でありながらのお客様扱いなんておもはゆいことこの上ありません。「丁寧に丁寧に、波風立てないように」とこんなことが続いていけば、そのうち犯罪者さえも「受刑者さま」と呼ぶことになりかねません。

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  • 2024年2月16日号:ニュースに一言

    2024-02-16 16:17  
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    ●高級腕時計をオーナーから預かり、借りたい人にレンタルするシェアリングサービスがなんの予告もなしに2024年1月末に突然終了したというニュースがありました。これは2021年1月に大阪の会社が始めたサービスで、持ち主から普段は使っていない高級腕時計を預かり希望者に月額制で貸し出していたものです。持ち主にとっては置いてあるだけでは一銭にもならない時計が貸し出すことによって利益を生み、借り手にとっては高額な支出なしに高級時計を身に付けることができる、一見ウィンウィンに見えるこのシステムで急成長を遂げ、一時は1500本もの預かり時計があったそうです。
    サービス終了に伴い会社側は預かった時計を6カ月以内に返却するとしていますが、連絡が一切つかなくなったこともあり、預けた方は「本当に返してもらえるのか」と心配しています。さらに一部のオーナーから「ネット上のフリーマーケットに出品されている時計がシリアルナンバーから自分の時計だとわかった」との報告もあり不安は高まるばかりです。
    「父親の形見の腕時計だったので何としても返して欲しい」と嘆く人もいるようですが、そんな大事な品物をよく赤に他人に貸したものです。親父さんも草葉の陰で「この親不孝者めが」と、さぞかし怒り心頭のことでしょう。
    中には45本(総額6000万円相当)も預けていた人もいたそうで、その数と金額に驚きます。わたしは時間を知るにはスマホで十分と思っていますので腕時計をしません。もちろん高級腕時計なんてひとつも持っていません。しかし、世の中には“高級”腕時計に執着する人は多いようで、彼らはダイヤモンドをちりばめた時計をこれみよがしに光らせています。そしてその時の会話は「すごい時計ですね」に対し、ほぼ100%の確率で「せやろ、〇〇万円や」と金額の話になります。それを聞いた方も「ひえー、〇〇万円」と肝心の時計の魅力はそっちのけで話題が“値段”ばかりに終始するのは実に滑稽です。
    すなわち時計自慢の人たちや高級時計にあこがれる人たちの中では機能性に優れているより、デザインが素晴らしいより、その人に似合っているかよりも値段が優先されるのです。それならいっそのこと、札束や金の延べ棒を手首に巻いておいた方がよほど手っ取り早いのに、と思うのはわたしだけでしょうか。
     
     
    ●福岡県北九州市で19歳の女性が住む部屋に侵入して下着を盗んだ40歳の建設作業員の男が逮捕されたというニュースがありました。事件当時、女性は実家に帰省中で部屋には誰もいませんでしたが、帰宅した女性が室内に物色されたような形跡があったことから警察に届け出たそうです。警察が捜査したところ、女性の部屋のベランダに設置されていた防犯カメラに部屋に忍び込む容疑者がバッチリ映っていたため逮捕に至りましたが、それを見た被害者は「もしその瞬間、部屋にいたら襲われていたかもしれない」とさぞかし震え上がったことでしょう。
    男が調べに対して「他人の生活を覗くことが目的だった」と供述していることからも、この部屋の住人がうら若き女性だと知ってわいせつ目的の侵入だったと思われます。ところがせっかく入った部屋はもぬけの殻で収穫がなかった男は「せめてお土産に」と下着をポケットに押し込み部屋を後にしましたが、なんと男が持ち帰ったのが女性の知人男性のパンツだったといいますから驚くやらおかしいやら。
    記事には知人男性と当たり障りのない書き方がされていましたが、女性の部屋にパンツを脱ぎ捨てていたのですから男性が女性の“彼氏”であったことは間違いありません。それにしても逃走を急ぐあまりに手当たり次第に手に触れたものを押し込んだのならいざしらず、誰もいない部屋ですからパンツを吟味する時間は十分にあったはずです。それにもかかわらずわざわざ“男性”のものを持ち帰ったとは、男はひょっとして・・・。「その瞬間、部屋にいなくてよかった」と思わなければならないのは彼氏のほうかもしれません。
     
     
    ●戸籍上は男性でありながら女性だと自認しているトランスジェンダーの生徒の入学を認めるかどうかのアンケートを首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)と関西圏(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山)の1都2府6県にある私立の女子中高を対象に行ったところ、62校から回答を得て少なくとも全体の23%にあたる14校が受験や入学を認めるかどうかを検討していることがわかりました。
    大学ではお茶の水女子大学、奈良女子大学、津田塾大学など全国で6校が既にトランス女性の受け入れを表明していますが、その流れがついに高校や中学にまで及ぶようです。検討中と答えた学校の中には地域でお嬢様学校を呼ばれているところもありますが、今後ちんちんのついた“お嬢様”と同級生になることを果たして生粋のお嬢様は受け容れられるのでしょうか。
    そもそも中学、高校という多感な時期の性自認がどこまで本物なのかなんてわかりません。世間の風潮や身近な友達に影響されて「わたしは女性よ」となっていることも十分にあり得ます。実際、“トランスジェンダー先進国”のアメリカでは手術で肉体改造したものの、その後にやっぱり本来の性が正しかったと気付く不幸が多数報告されています。そんなトランス女性として入学した生徒が高校2年生になって「やっぱり僕は男だ」となれば退学になるのでしょうか。
    少子化の影響で“生徒の取り合い”が激しくなり「特進クラスを作って進学実績を上げる」「食堂やカフェなど校内設備を充実させる」「制服を生徒好みのかわいいものに変える」などの特色を各校が競い合っています。そして経営のために共学化に踏み切る学校も増えています。トランス生徒はそこで受け入れたら済むことで、長年続く“女子校”を変えてまで対応する必要はありません。昨年6月のLGBT理解増進法の成立などの社会的潮流を踏まえて「女の子らしさ」など性差に基づく指導をやめている学校も多くなっているようで、女子校本来の良さがどんどん失われていくのは残念なことです。
     
    ●熊本地方裁判所が廃材を道路に捨てた男に、執行猶予付きの判決を言い渡したというニュースがありました。この男は26歳の解体作業員で、去年5月、家屋の解体で出たコンクリート片などの廃材合わせて約2.8トンを市道に投棄したとして廃棄物処理法違反など疑いで罪に問われていました。
    まともな解体業者は解体作業で出た廃材は然るべき場所に持ち込み処分します。もちろんそれには費用が発生しますが、それは言うまでもなく“必要”経費でカットするわけにはいきません。それをこの男は処分費用がもったいないからと、多くの人が通る市道に捨てるのですからとんでもない悪党です。そんな悪者が「懲役3年執行猶予4年」で実刑を免れた理由が呆れます。なんと「今後は金に困らないよう1日に5箱吸っていたタバコをやめると誓っていて、家族も被告人の金銭管理をサポートすると約束している」からだというのです。
    1日5箱のタバコなら月に8万円以上の出費になり26歳の男の懐には大きく響いていたことでしょう。そしてそれが犯行の引き金になっていたとしても「禁煙するなら許してあげる」はあまりにも恩情が過ぎるでしょう。口ではなんとでも言えるのに、それを鵜呑みにするなんてあまいにも程があります。それとも裁判官は今後、被告と一緒に暮らし本当にタバコをやめたかチェックするのでしょうか。さらに執行猶予中に罪を犯したら猶予は取り消され刑に服すことになりますが、彼の場合はタバコを吸えば即刑務所行きとなるのでしょうか。
    今回の判決には疑問だらけです。また、この被告は大麻草を営利目的で栽培した罪にも問われている悪党です。本当にタバコはやめたものの、その代わり大麻を吸っていたなんてことになったら目も当てられません。
     
     
    ●夫の育児時間が1日あたり41分と全国46位の山口県で働き方改革のシンポジウムが開催され、2025年度までに県と県内すべての市町で男性職員の2週間以上の育休取得率を100%とする目標が宣言されたというニュースがありました。
    このシンポジウムは、社会全体で子育て中の人を応援するなど、職場環境づくりへの機運を高めようと開かれたもので、市や町の担当者、県内の経営者などおよそ350人が参加したそうです。昭和の時代の女性は結婚したら仕事を辞めることが多く「寿退社」なる言葉もありました。それがやがて結婚後も子供ができるまでは仕事を続けるようになり、その後は子供が出来ても退職せず産休、育休を経て職場復帰するのが当たり前になっています。ですから専業主婦で育児にかかりっきりになるわけにもいかず、必然的に誰かの援助が必要になります。3世代同居の時代ならそれを爺さん婆さんに求めることも出来ましたが、核家族化の定着した現代では一番身近な家族の“夫”がその役割を担うことにならざるを得ません。その意味では「男性の育休、大いに結構。そしてどんどん子供を産んでくれ」と思いますが、今回の“100%”にはいささかの違和感があります。
    それは多様性重視という割に、働き方を一律に決めようとしているところです。夫婦の形はいろいろですから共稼ぎが増えたとはいえ専業主婦を選択する女性もいる中、「少しでも長く子供と一緒に居たい」という人には育休強制は歓迎されるでしょうが「子供のために少しでも稼ぎたい」という人には迷惑な制度でしかありません。
    これは労働時間の制限にも言えることで「残業=悪」の風潮は労働者のやる気を削ぎます。もちろん「死ぬまで働け」なんて言うつもりはありませんが、20代30代の気力体力がある者にまで「はい、そこまで」はないでしょう。人はだれしも「あの頃は死に物狂いで働いた」と思う時期があるものです。それは人生においての誇りであり勲章でもあるのです。「働き方改革」という耳当たりの良い言葉でその機会を奪われるやる気のある若き労働者が不憫でなりません。

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  • 2024年2月9日号:ニュースに一言

    2024-02-09 16:30  
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    ●神戸市長田区の県道を走行していた神戸市バスが急停止し、乗客の78歳の女性が前座席に顔を打ちつけ鼻の骨を折る重傷を負ったというニュースがありました。長田署によりますと、この事故は47歳の男性運転手がバスを運転中、左側からいきなり出てきた乗用車に驚いて急ブレーキを踏んだことで発生したそうです。バスの運転手は乗客を目的地まで運ぶことが仕事ですが、それには必ず“安全に”という前提が付けられます。ですから車内でケガ人がでたら運転手は社内規定によるものだけでなく、場合によっては行政処分も受けることになります。そのため以前の「降りる方は小銭など事前に準備してスムーズな乗降にご協力ください」という定時運転重視のアナウンスが、最近では車内でケガをされるくらいなら遅延するほうがマシとばかりに「バスが完全に停止するまで絶対に席を立たないで座ったままお待ち下さい」としつこいくらいの注意喚起に変わっています。
    今回の女性は着席していたにもかかわらず前座席に顔を打ちつけたくらいですから立っている乗客の危険度はさらに高まります。しかし、ほとんどの客が“スマホに夢中”なのは困ったことです。左手にスマホを握り右手の指で画面をひょいひょいと誰もつり革、手すりにつかまっていません。その様子をバックミラーで見る運転手は気が気ではないことでしょう。
    今回は急ブレーキにより乗客の1人が負傷していまいましたが、もし急ブレーキを踏まず乗用車と衝突していればさらに多くの負傷者になったかもしれません。運転手はできる限りの安全措置をとったのにも関わらず処分の対象となるのはなんとも釈然としません。
    全国でバス路線の廃止が相次いでいますが、これは運転手不足が原因です。会社からは安全運行を指示され、それにより遅延すれば客に文句を言われ、万一トラブルが発生いたら全責任をかぶらされて処分される。こんなリスクの大きい職業なんてなり手がいないのもわかります。利用者は路線廃止に文句を言う前に、自身を守るためだけでなく運転手のためにもスマホから顔を上げて安全確保に協力する必要があります。
     
     
    ●広島県福山市に住む38歳と23歳のいずれも会社員の男が詐欺の疑いで松江警察署に逮捕されたというニュースがありました。
    この2人は共謀しマッチングアプリで知り合った10代の男性を公園のトイレに呼び出した上で23歳の男が用を足す姿を覗くように仕向け、そこに偶然居合わせた体の38歳の男が「公然わいせつだぞ」などと騒ぎ立て示談金として49万9000円をだまし取ったというのです。???・・・まったく意味が分かりません。
    この10代男性はなぜ見ず知らずの男の“オシッコ姿”を見ることをOKしたのでしょう。そして“公然わいせつ”はチンチンを出した方の罪なのになぜ見ていた方が示談金を払ったのでしょう。マッチングアプリは申込時に相手に対する希望を申告するそうですが、この2人は「チンチン好きのアホな男希望」とでも書いていたのでしょうか。いずれにせよ詐欺は騙す方が悪いのは当然だとして、今回は騙される方にも問題があったと思わざるを得ません。また本来、男女の新しい出会いの場であったはずのマッチングアプリですが、対象を異性に限定していないとしたら、それはやはり「性別での区別は絶対にダメ、ジェンダーフリー万々歳」というLGBT理解増進法の影響なのかもしれません。
    警察によりますと、この2人は他にもマッチングアプリを通じて知り合った20代の男性から現金50万円を脅し取っており、まだまだ余罪があるようです。最近の詐欺師はずいぶん楽になっています。かつてはあちらこちらに情報網を張り巡らせ自らの足で“カモ”を探したものが、現代ではマッチングアプリやインターネット上にエサをまいてさえおけば家で待っているだけで勝手に向こうから寄って来てくれるのですから。
    そんな奴らに騙されないためにも「便利なものには落とし穴がある」を絶対に忘れてはいけません。
     
     
    ●福岡県古賀市にあるJRししぶ駅で上り普通列車の乗客が乗降中、車掌が誤ってドアを閉めたというニュースがありました。
    JR九州によりますと、この駅で列車を降りたのは約100人で乗ったのは約20人、合計120人ほどのうち4人から「ドアに挟まれた」という申告があったということですが、けが人は1人もいませんでした。車掌はドアを閉めた理由を「止まっているはずの列車が後退していると感じ、緊急ブレーキをかけようとしたところ、間違ってドアの『閉』ボタンを押してしまった」と話しています。
    それにしても失敗は失敗として、誰ひとりケガをしたわけでもないのに“乗降中にドアを閉めた”というだけでニュースになるとは驚きです。これがニュースになるのなら首都圏のテレビ、新聞は連日このニュースであふれかえります。山手線や埼京線、京浜東北線など首都圏の通勤列車は乗客が乗降中であろうと有無を言わさずドアを閉めるからです。“間違って”ではありません。“意識的”に閉めるのです。なぜなら次から次へとやってくる乗客の途切れるのを待っていたらいつまでたっても出発できないからです。
    車掌は発車ベルが鳴り終ると同時にすぐにドアの『閉』ボタンを押します。当然、いくつかのドアは挟まれた乗客できれいに閉まりませんが、そんなときには駅員がそのドアに駆け寄り乗客を車内に押し込んだ後、何事もなかったように列車は走りだすのです。乗客も慣れたもので「片足でも車内に突っ込んでおけば後は駅員がなんとかしてくれる」と、ラッシュ時には2分も待てば次の列車が来るのにその体勢をくずしません。もちろん「ドアに挟まれた」と文句を言う人はひとりもいません。もっとも言ったところで「無理に乗ろうとしたあんたが悪い」で終わりでしょうが。
    「所変われば品変わる」とは言いますが、同じ列車の乗客でありながら片方は「お客様」、もう片方はとりあえず移動させればいい「荷物」扱いです。「お客様に大変ご迷惑をおかけして申し訳ない。車掌に対する指導を徹底し再発防止に努めてまいります」としたJR九州のコメントを首都圏のサラリーマンはどんな思いで聞くのでしょう。
     
     
    ●わたしは1月と2月、2度にわたる入院を経験し、その間、検査や処置、手術など病院の医師、看護師、スタッフの皆様に大変お世話になりました。おかげさまですっかり元気になり感謝の気持ちでいっぱいです。
    しかし、世の中にはとんでもない医療関係者もいるようです。CT検査に訪れた女性の下着姿を盗撮した疑いで、神戸市の病院に勤務する35歳の放射線技師の男が性的姿態等撮影の疑いで逮捕・送検されたというニュースがありました。この技師はCT検査室のベッドで女性患者に「検査を始めますから仰向けになって目を閉じるように」と指示し、言われたとおり目を閉じたのを確認してから「バレないだろう」と検査着の裾をまくり上げて、スマートフォンで動画を撮影していたのです。しかし目は閉じていても慣れないCT検査ですから女性の神経は敏感になっていたのでしょう、すぐに下半身におかしな気配を感じ技師の悪行に気付きました。
    CT検査ですから技師に骨や内臓など身体の内部を見られることは覚悟していても、外部まで晒すつもりは毛頭なかった女性はすぐさま警察に通報し逮捕にいたりましたが、病人は健康を取り戻すため医師や技師に全幅の信頼を寄せわが身を預けます。その信頼を裏切る今回の行為は絶対に許すことは出来ません。
    被害女性は今後、医療関係者に何を言われても半信半疑になるでしょう。これでは「病は気から」という回復にとって最も重要な要素を削ぐことになり、治るものまで治らなくなってしまいます。警察の調べに対し、この技師は「きれいな女性だったので撮影したかった」と容疑を認めているということですが、こんなあぶない輩がいたのでは美人はおいそれと病気にもなれません。
     
     
    ●男性から女性に性別変更した40代の女性(元男性)が、自らの凍結精子を使い同性(生来の女性)パートナーとの間にもうけた子どもを認知できる地位にあることの確認などを求めた訴訟で、東京地裁が請求を退けたというニュースがありました。
    これはこの女性(元男性)が凍結保存していた精子を使い、事実婚状態にある30代女性(生来の女性)との間に長女が生まれた後に性別を変え、その後にまた凍結保存していた精子を使って次女が生まれましたが、長女の認知届しか受理されなかったことに対し次女を認知できるかどうかの確認を求めて訴えていたものです。裁判長は彼女(元男性)の請求の目的が認知届の受理にあるのなら地位の確認ではなく戸籍法などが定める家裁への不服申し立て手続きの方が適切だとして請求を却下しましたが、長女が生まれた時はこの女性(元男性)は男性でしたから“父親”として認められるのは当然です。しかし、次女が生れた時には既に女性になっていたのですから“父親”として認められないのも当然でしょう。
    行政の措置になんら不合理なところはありませんが、それでも「本当に受理できないの?」と確認される裁判所も大変です。
    LGBT法には大反対のわたしですが「LGBTの人たちを排除しろ」なんて言うつもりは毛頭ありません。人それぞれに権利はありますので彼(彼女)、彼女(彼)は好きな格好で好きな人と暮らしたらいいのです。しかし社会の秩序を乱してまで自らの権利を主張するのはいただけません。
    民法では国民が社会生活を営む上で最も不都合が少なくなるよう合理的に夫婦、家族が定義づけられています。それを“多様性”の名の下に、ごくごく少数の人たちのために変えてしまうのは全体にとって大きな損失です。彼らは家族になれない弊害として「入院時などで親族としての意思表示ができない」「財産相続で支障がある」などと言いますが、それの解消は“養子縁組”で事足ります。そもそも今回の女性(元男性)はパートナーが女性(生来の女性)ですので「名を捨てて実を取る」なら性別変更なんてせずにいたら事実婚でない普通の結婚が認められ、さらに子どももすべてそのまま実子とされたのです。
    時代の変化と共に変えていかなければならないものもありますが、太古の昔から、この地球上の生物はオス(男)とメス(女)しかいません。そしてオス(男)とメス(女)によってのみ子孫が生れるのです。これは不変です。

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  • 2024年2月3日号:ニュースに一言

    2024-02-03 15:11  
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    皆さん、今日、二度目の手術を無事終えて、退院しました。
    これで腎臓にできた二つのガンを焼き切り、完治しました。
    御心配をおかけしました。
    手術が上手くいったということは、天が「まだお前にはやることがある」と、寿命を与えてくれたことかなと思います。
    とはいえ、私も今月に68歳になります。平均寿命を考えると、あと13年ほどの命です。
    どこまでやれるかはわかりませんが、少しでも日本に恩返しをしたいと考えています。
     
     
     
     
    ●北海道教育委員会が、女子トイレに侵入して生徒に不安感や不快感を与え教師の信用を失墜させたとして、52歳の男性非常勤講師を戒告処分にしたというニュースがありました。
    変態教師の不祥事も多く報道される昨今、また公衆トイレに忍び込んで盗撮でもしていたのかと思い記事を読み進めると、そこには「なんで処分されたの?」と思える事実がありました。この講師が侵入したのは勤め先の高校の女子トイレで、その理由は授業中にトイレに行った女子生徒が戻ってこないのを「トイレで怠けているのでは」と考えたからだというのです。
    教室から「トイレに行く」と言って出て行った生徒がずっと戻ってこなかったら心配して様子を見に行くのは当然です。講師の行動にはなんらおかしなところはありませんが、それでも処分されたということは女子生徒が講師の思わく通りトイレでサボっていたところを見つかり、それをごまかすため、あるいは叱られた仕返しのために「男性講師に女子トイレを覗かれて恥ずかしい想いをした。変態教師は処分して!」と訴えたからということはないのでしょうか。
    仮にこんな「言った者勝ち」がまかり通るなら、教師は迂闊に生徒指導も出来ません。そもそも今回の女子生徒は無事でしたが、もし急に具合が悪くなってトイレで倒れていたとしたらどうなっていたのか。処分を受けることがないのはもちろん「よくぞ女子トイレに入った」と逆に称賛さえされたかもしれません。しかし、講師は聞き取りに対し正直に「怠けているのではと考えた」と答えてしまいました。そのため「緊急性がないのだから女性教員の到着を待つべきだった」となったようですが、それはあくまで結果論です。
    全国すべての教育委員会が今回の処分を是とするなら今後、同様なことがあった時に処分を恐れた男性教員がすぐに女子トイレに駆け込まず、女性教員の到着を待ったために手遅れになるようなことにならないか心配です。教育委員会が世間の批判を恐れて「とりあえず処分しておいたら叩かれないだろう」なんていう事なかれ主義をとれば、そこには「何もしなければ処分されることはないだろう」と考える事なかれ主義の教員しかいなくなります。教育現場においてそのしわ寄せ受けるのは、間違いなく生徒です。
     
     
    ●仕事で車を使う事業者に対するアルコール検知器によるドライバーの飲酒検査、いわゆるアルコールチェックが2023年12月1日に義務化されました。これは乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上、または営業車などの白ナンバー普通車5台以上を保持する企業は安全運転管理者を選任し、その者は自身の職場の運転手が飲酒運転をしていないかを管理し、チェッカーに引っかかった場合には運転させてはならないというものです。
    これによりサラリーマンは前日の晩に2軒3軒とのはしご酒もままならなくなりました。自身の移動のためだけに乗る一般ドライバーでさえかようにチェックを受けるのですから、これが乗客の命を預かる緑ナンバーのプロドライバーならより厳しく管理されるのは当然です。しかし・・・、大阪に本社がある南海バスの運転手が飲酒検査に替え玉を立ててパスし、何食わぬ顔をして運転していたというニュースがありました。
    昨年の10月と12月の2回、三条(新潟県)発、戸塚(神奈川県)発のいずれも大阪行き高速夜行バスに乗務した50代の男性運転手は、大阪からの往路に乗務後の午前10時ごろ、食事の際に缶ビール(350ミリリットル)2本を飲みました。その後に仮眠して当日の午後8時以降に大阪に向かう復路便に乗務する際、一緒に乗務する40代の同僚運転手に飲酒検査の身代わりを頼み、検査を受けずに運転していたのです。
    一般的にビール1缶のアルコールが分解されるまで4時間を要するといわれていますので2缶なら8時間となり、10時の食事でしたらそのまま検査を受けてもOKだったかもしれませんが、彼は用心に用心を重ねたようです。そこまでの慎重さをなぜ安全運転に活かさなかったのか残念でなりません。
    調査に対し「飲酒検査でひっかかるのがこわかった」と説明しているように彼は最も重要な“保安”より“保身”を優先したのです。自身が恐怖を避けたために、そんなドライバーの運転するバスに乗った客がどれほどの恐怖を味わうことになるのか少しは考えてもらいたいものです。
    それにしても一緒に乗務するドライバーがいたのなら飲酒検査ではなく運転そのものを代わってもらえばよかったのに。
     
     
    ●心と体の性が一致しないトランスジェンダーの元受刑者が、収容されていた尾道刑務支所で意に反して髪を短く刈られたのは人権侵害にあたるとして、広島弁護士会が法務大臣と同刑務支所長に対し、全ての男性受刑者に髪形を強制しない旨の勧告書を送付したというニュースがありました。
    これは戸籍上は男性の受刑者が「短くしたくない」と職員に訴えたのにもかかわらず強制的に髪を刈り上げにされたことに“人権大好き”弁護士たちが立ち上がったものですが、現状では刑事収容施設法や訓令により男性受刑者は頭全体を2ミリに刈る「原型刈り」などの短髪にすることが決められています。刑務所は言うまでもなく罪を犯した人が入るところです。法治国家では“してはいけないこと”を法律というルールで示していますが、それを守れないから罪を犯すのです。刑務所が矯正施設だとしたら、受刑者にまずルールを守ることを教え込む必要があり“頭髪基準”はそのルールのひとつです。にもかかわらず、それを守ることが“人権侵害”だというのですから呆れます。
    そもそも犯罪者は例外なく他人の生命・財産を脅かした者です。他人の人権をないがしろにする者の人権なんて二の次三の次でいいのです。勧告書は「昨今の性的少数者に関する社会的情勢を踏まえれば、戸籍上の性別を理由とする合理的理由は見当たらない」とも指摘していますが、ここにもLGBT法の弊害がでています。そして「女性受刑者には長髪が認められているのに男性だけに短髪を強いるのは差別だ」と言うのなら、それこそ女性受刑者も「原型刈り」をルールにして平等にしたらいいのです。少々乱暴な言い回しになってしまいましたが、それほどまで“罪”は憎むべきものであり、それを犯した“人”も憎まれても仕方がないのです。
    今回の対象者が元受刑者ということは既に刑期を終えて出所しているのでしょう。無理やり刈り上げられた頭髪も今ごろはすっかり伸び、お気に入りの髪型となっているかもしれません。彼(彼女)が今でも「『原型刈り』は嫌だ」と言うのなら金輪際、刑務所に入れられるようなことをしないことです。
     
     
    ●小樽市で歩道に駐車していた車のワイパーを壊したとして、86歳の男が器物損壊の疑いで逮捕されたというニュースがありました。この男は小樽市内の歩道上に駐車していた運送会社所有の乗用車が気に入らず、力任せにワイパーのアーム部分とブレードを折り曲げたのです。被害を受けた運送会社の従業員が通報し捜査の結果、事件発生翌々日の夜になって逮捕に至りましたが、何一つ当てもない中から容疑者を割り出すとは、よほど付近の防犯カメラや目撃者をくまなく調べたのでしょう。
    「天網恢恢疎にして漏らさず」とは言いますが、よほど人里離れた山奥でない限り近代警察の“網”はミクロ級の細かさといってもいいようです。誰も見ていないから「ちょっと、そこらで立小便」なんて絶対にやめた方が身のためです。調べに対し、このじいさんは「邪魔な車があってなかなか移動しないものだから腹が立ってワイパーを折った」と話していますが、彼が気に入らなかったのは歩道の真ん中に車が停まっていることで、レッカーで移動させるなどその原因を取り除かない限り“ワイパーを折った”ところで何の解決にもなりません。にもかかわらず一時の癇癪のために警察に捕まる行動をとるとは86歳にもなってなんとも愚かな男です。
    しかし、彼にも同情すべき点はあります。犯行時の小樽市内の積雪は80センチを超えており、歩きやすい箇所を選んで進んでいるときに行く手を遮る違法駐車があったら誰でも腹が立ちます。ましてやそれが歩行者優先の歩道上であったらなおさらです。運送会社は被害者ですが、事件を誘発した張本人でもあります。このじいさんが加害者なのは間違いありませんが、ある意味では被害者でもあるのかもしれません。
     
     
    ●2023年に東京23区で売り出された新築マンションの平均価格が年間で初めて1億円の大台を超え1億1483万円になったというニュースがありました。前年の8236万円と比べると、なんと3247万円も増えています。これは港区などの都心部で超高額物件が多く売り出されたことが主な要因ですが、それにしても平均1億円超えとなるととても庶民の手の届く金額ではありません。もはや23区内にマイホームを持つことは叶わないと郊外や近隣県にそれを求めたところで、首都圏(東京都、神奈川、埼玉、千葉各県)全体の平均価格も前年から1813万円アップした8101万円と過去最高になっていますので「23区以外なら大丈夫」というわけにもいきません。
    ある調査によれば1都3県在住・都内勤務のサラリーマンの平均通勤時間は50分ほどとされています。これをわたしの住む兵庫県川西市に当てはめると、大阪の中心地・梅田から25分で最寄り駅に到着しますから、まだ25分の余裕があります。そして地価の高い駅周辺からさらに25分ほどバスに乗れば、同じ通勤時間50分でありながら敷地60坪の新築一戸建てが3500~4000万と首都圏の半分の価格であります。この金額なら低金利が続いている今、35年ローンとして毎月10万円ほどの支払い額で済みマイホームも現実的です。
    これは決して山奥の過疎地の話ではなく、名古屋や福岡などほかの都会と呼ばれる地域でも駅から少し離れれば住宅街で同様に手の届く範囲のマイホームを探すことができます。すなわち首都圏の住宅だけが突出して高いのです。日本人の4分の1が首都圏に住む現在、需要と供給のバランスで価格が上昇するのは仕方がないとしても、自らの意志でなく会社の命令によりそこに居らざるを得ない人たちにとっては一生に一度の大きな買い物の値段が住む場所によって倍も違うなんて堪ったものではないでしょう。
    さらに困ったことには“需要”を高めているのが中華圏の富裕層だということです。彼らの多くは購入の目的を居住ではなく投資としており、そのとばっちりを“日本人”が受けているのです。売り手は「買ってくれ(それも少しでも高額で)さえすれば相手は誰でもいい」と考えているのでしょうが、それは日本人が日本の住居に住めなくなることに加担していることにほかなりません。

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