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石原莞爾と東條英機:その10(1,668字)
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ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
石原莞爾はその生涯を「傍観者」として生きた。そこにおそらく彼の限界があった。彼は、生まれてから死ぬまでずっと頭が良かったのだが、逆にいうと死ぬまでバカにはなれなかった。バカになれるだけの懐の深さや、あるいはもっと深い意味でのバカさがなかった。彼にはどこまでもバカの要素がなかった。これはどこを切っ...
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石原莞爾と東條英機:その9(1,591字)
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ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
ここで石原莞爾の人生をあらためて概観してみたい。1889年(明治22年・0歳)1月18日、山形県鶴岡に生まれる。1902年(明治35年・13歳)9月1日、仙台陸軍地方幼年学校に入学。1905年(明治38年・16歳)7月、仙台陸軍地方幼年学校卒業。9月1日、東京陸軍中央幼年学校入学。1907年(明治40年・18歳)6月、山形歩兵第32連隊...
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石原莞爾と東條英機:その8(1,857字)
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ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
石原莞爾の幼年時代は、奇矯なエピソードで彩られている。小学校一年生のとき、姉二人に連れられて学校へ行ったところ、周囲の生徒と喧嘩になった。そこで校長が試験をさせてみると、一年生で一番の成績であった。そのため、校長の機転で「一年間自宅で学習していた」ということにし、二年生に編入させられた。仙台幼年...
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石原莞爾と東條英機:その7(2,075字)
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ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
石原莞爾は1902年、13歳のときに仙台陸軍地方幼年学校に試験を受けて合格し、編入する。仙台陸軍地方幼年学校は、それより5年前の1897年にできたばかりだった。陸軍「地方」幼年学校は、仙台のみならず名古屋、大阪、広島、熊本にあり、東京は陸軍「中央」幼年学校と呼ばれた。地方で優等の者は、やがて中央に上がるよう...
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石原莞爾と東條英機:その6(1,943字)
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ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
石原莞爾は1889年、明治22年に山形県鶴岡市で生まれる。ほんの四半世紀前まで庄内藩の中心地だったところだ。庄内藩は、幕府の味方につき明治政府に最後まで抵抗したが、趨勢が決すると潔く降参した。そうしてすぐさま武家社会を廃止すると、蚕の養殖に乗り出していち早く成功する。そのため、いわゆる「朝敵」の中でも...
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石原莞爾と東條英機:その5(1,491字)
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ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
宮中某重大事件は1921年に収束する。新聞で大々的に報じられ、山縣有朋の敗北は全国民に知られるところとなった。その心労もあってか、翌1922年に83歳で山縣有朋は死ぬ。国会で国葬が提案されたが、山縣有朋を良く思わない数多くの議員から反対意見が遠慮なく出た。それでも、これまでの功績を鑑みると国葬をしないわけ...
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石原莞爾と東條英機:その4(1,504字)
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ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
東條英機の父・英教は、1888年に陸大を卒業した後、ドイツ・ベルリンに留学する。このとき33歳。そこへヨーロッパを視察旅行に訪れていた山縣有朋が来る。すると英教は、同じく留学していた陸大の同期・井口省吾とともに山縣有朋をホテルに訪ね、陸軍の長州閥をあらためるよう、かなり強い口調で詰め寄った。このとき、...
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石原莞爾と東條英機:その3(1,644字)
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ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
東條英教は1855年に東京で生まれる。1868年、13歳で明治維新を経験した後、1873年、18歳で陸軍に入隊する。1877年、22歳のときに西南戦争に出征。そして1885年、30歳のときに陸軍大学を首席で卒業する。同期には4歳下だが『坂の上の雲』で有名な秋山好古などがいた。1884年、陸軍大学を卒業する少し前の29歳のときに、「...
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石原莞爾と東條英機:その2(1,692字)
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ハックルベリーに会いに行く 22ヶ月前
石原莞爾は1889年、明治22年の生まれである。一方の東條英機は、1884年、明治17年の生まれである。二人は5歳違う。東條英機は東京で生まれた。父が軍人で東京に勤めていたからだ。英機の父は東條英教といい、1855年生まれである。1855年は明治維新の13年前であり、つまりは江戸時代の人だ。英機の父・英教は、陸奥盛岡藩...
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石原莞爾と東條英機:その1(1,692字)
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ハックルベリーに会いに行く 22ヶ月前
石原莞爾と東條英機は面白い。そもそも昭和の帝国陸軍は知ると本当に面白いのだが、なにしろ日本は戦争に負けてしまったため、彼らのことは歴史として素直に語れないところがある。おかげで、よっぽどの国粋主義者や歴史オタクでないと、なかなか石原莞爾や東條英機について知らない。また、知っていても偏った価値観を...