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山田玲司のヤングサンデー 第315号 2020/11/9

「大統領選」と「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

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【綾波ランボーを回復せよ】


今週のヤンサンは、噂の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」でした。


すごい人気なのは知っていたものの、観たのはこれが初めてだったのだけど、あの「繊細な少女漫画的世界」でどんな物語が語られるのかと思っていたら、まさかの「傷痍軍人モノ」でした。


激しい戦争で両手を失った主人公はロングヘアの美少女で、戦場では「有能な人間兵器」として恐れられていたというのだ。


美少女が「兵器」


少女は重症を負ったまま「次の任務に向かわせて下さい」と言っている。


しかし戦争は終わっていて「任務」も「戦場」もない。


戦争は終わったけれど、自分の心は軍の仲間と共にあり、「軍人」であることが止められない。


ようするに「ランボー」だ。


目的を失って中空を彷徨うような主人公「ヴァイオレット」は、エヴァンゲリオンの「綾波レイ」にも見える。


そんな、心に空洞を抱えた「人間兵器」であるヴァイオレットの「心の再生」を丁寧に描いたのが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」だった。


「綾波ランボーの心を回復せよ」という話なのだ。


詳しいことはヤンサン本編で観てもらいたいのだけど、この「軍人が止められない」という主人公にはちょっと思う事があるので、今回はその話をします。



【次の任務は?】


バイオレットは、戦争が終わった後も「私の任務は?」「戦地は?」「命令を下さい」と言い続ける。


よくある「指示待ち人間」の悲しい風刺にも見える。


日本では子供の頃からひたすら「こうしなさい」と言われ続ける。