8日の衆院予算委員会で、焦点となっている経済対策と原発問題を取り上げた日本共産党の笠井亮議員。すでに破たんした政策にしがみつく安倍内閣と、国民の立場に立って打開策を示す日本共産党の対比が鮮明になりました。


原発事故究明なく 再稼働・新設は「安全神話」

原発「収束宣言」撤回せよ


福島原発事故からまもなく2年なのに「緊急事態宣言」も解除されず、16万人もの避難者が故郷に帰れていません。野田前政権は2011年12月16日、「収束宣言」を出してしまいました

 笠井議員は、「収束していると簡単にはいえない」との安倍首相答弁あげ、宣言の撤回を迫りました。

 笠井 「収束宣言」は政府としては撤回するということか。

 茂木敏充経産相 前政権が冷温停止状態の達成を確認した。

 笠井 撤回するのかどうかについては全然話がない。なぜ、撤回するとはっきりいえないのか。

 笠井氏は、福島県議会が2度にわたり「収束宣言の撤回」などを求める意見書を全会一致で可決していると指摘。「収束宣言」を受け東電が賠償を打ち切る動きも進んでいると追及しました。

 笠井 総理が“福島再生に責任を持つ”というのなら、まず収束宣言を撤回するとはっきりいい、そこからこれからのことをやるべきではないか。

 安倍晋三首相 収束しているということは簡単に申し上げられない状態であるというふうに認識している。

「原発ゼロ」の決断今こそ

首相「安全神話反省しなければ」

 笠井氏は、安倍首相が「福島第1は津波を受けて電源を確保できなかった。新原発は全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていく」(昨年12月30日のテレビ番組)と、原発新設を明言していることをあげ「事故究明が終わったことにして再稼働、新増設するのは原発推進姿勢そのものだ」とただしました。

 笠井 「想定外の津波のせい」と主張してきた電力業界の言い分と同じだ。「安全神話」で原発を推進してきた歴代自民党政治の反省がない。

 首相 わが党が安全神話の中で原子力政策を進めてきたことは反省しなければならない。同時に(新設に)挑戦し続けていく必要もある。

 新設に固執する首相の姿勢について、笠井氏は「引き続き究明に取り組むべき」とする政府事故調査報告や、「事故は終わっていない」とする国会事故調査報告の立場とも違うと指摘。「ゼロベースで見直すべきは、歴代自民党政権の『安全神話』に漬かった原発推進政策だ。二度と事故を起こさないというなら、原発ゼロこそ政治決断すべきだ」と強調しました。

企業増益でも所得は減に

 安倍政権は、お金を大量に供給する“金融緩和”で物価が2%上がれば企業の収益が上がり、雇用と賃金上昇につながる―と主張しています。

 笠井氏は、大企業の内部留保・経常利益などと勤労者の平均給与年額を示したパネルを掲げました(グラフ)。平均給与年額が一番高かった1997年と2011年を比べると、企業の内部留保は120兆円以上増えていますが、平均給与は66万円も減っています。2013020903_02_1b.jpg

 笠井 大企業は大幅に利益を増やしたのに働く人の所得を減らし、内部留保や株主配当に持っていった。そうではないのか。

 麻生太郎財務相 企業は巨大な内部留保を賃金や配当、設備投資に回さず、じっとため込んできた。その「企業マインド(心情)」が問題だ。

 安倍首相 来週、企業経営者を集め、内部留保を賃金につかうことがひいては企業の収益につながると協力を要請するつもりだ。

 両氏とも、企業が内部留保を労働者の賃金引き上げにつかっていないことを認め、それを賃金に回すことの重要性を認めました。

 笠井氏は、働く人の所得減がデフレの最大要因であり、企業の賃下げとリストラ推進がその背景にあることを指摘。「企業の収益が上がっても、働く人の所得につながらない。ここの問題にずばりと焦点をあててやらないといけない」と強調しました。