昨年総選挙の小選挙区
「死票」最大72%
300選挙区中188区で50%超す
昨年12月に行われた総選挙の300小選挙区で、候補者の得票のうち議席に結びつかなかった「死票」の割合(「死票」率)が50%以上となった小選挙区が全体の6割に当たる188に及び、前回2009年総選挙での本紙独自調査と比べ99選挙区も増えたことがわかりました。「死票」が最も多かった長野3区は72・23%に及びました。民意を切り捨てる小選挙区制の害悪がいっそう拡大していることを裏付けています。
昨年総選挙での「死票」については、22日の衆院政治倫理・選挙特別委員会で日本共産党の佐々木憲昭議員の質問に、総務省が初めて公式に明らかにしました。
それによると、当選者以外の候補者の得票は300選挙区で3163万7430票にのぼり、得票総数の53・06%を占めます。
小選挙区制は、各選挙区で最大得票の候補者1人しか当選できないため、それ以外の候補者の得票は「死票」になってしまいます。
衆院東京1区は前回09年総選挙で共産、自民、民主、無所属、諸派の9人が争い、最大得票は民主の約14万票で「死票」率は52・6%でしたが、昨年の総選挙は70・69%にはねあがりました。共産、自民、民主、維新、みんな、未来、無所属、諸派の9人と候補者数は前回と同じでも、自民党の最大得票約8万2000票に対し、共産党を含め5候補が約2万~8万票台をそれぞれ獲得したからです。東京の25選挙区中19選挙区で「死票」率が50%以上となっています。
多様な民意を切り捨てる小選挙区制は、“4割台の得票で8割の議席”という民意をゆがめる制度となっています。昨年の総選挙結果をめぐっては小選挙区の「1票の格差」訴訟の高裁判決で「違憲」「違憲状態」の判決が相次ぐ一方、比例代表では「合憲」の判決が出ています。小選挙区制を抜本的に見直さず、比例定数を削減する動きに対して厳しい批判が上がっています。