日本共産党の志位和夫委員長は9日、TBSニュース番組「NEWS23」に出演し、参院選挙の争点について各党党首と議論しました。
参院選の訴え
国民との“ねじれ”を正し、国民の声で動く新しい政治を
番組は冒頭、各出演者が「参院選で一番訴えたい政策」をフリップで提示。志位氏は、「国民の声で動く新しい政治を」と書き、以下、決意を表明しました。
志位 安倍首相は、「ねじれ解消」が最大争点といいますが、“ねじれ”というのだったら、国民多数の声と自民党の政治が“ねじれ”ているのではないでしょうか。
どんな世論調査を見ましても、消費税の大増税、原発の再稼働、憲法9条の改定には、国民の5割から6割が反対の声を上げています。にもかかわらず、その声を無視して暴走する、この政治が問われているのではないでしょうか。
日本共産党の躍進で、この“ねじれ”を正して、国民の声で動く新しい政治をつくりたい、こういうことを訴えていきたいと思います。
経済
所得奪い雇用を破壊する政策の転換を
テーマ別の討論に移り、各党首は経済政策、アベノミクスで発言。安倍晋三首相は、「前年同月比で雇用も60万人増えている」などと述べ「実体経済は確実によくなっている」ことを強調。志位氏は次のように発言しました。
志位 いまの経済情勢の認識は、安倍さんはもう“よくなった、よくなった”と一点張りですけど、たとえば「雇用が60万人増えた」とおっしゃるけれども、正社員は1年間で47万人減っているのですよ。つまり、正社員から非正規社員への置き換えが起こっている。こういう状況です。
そして、これから(安倍政権が)やろうとしていることは、「成長戦略」の名で、たとえば解雇の自由化、あるいは残業代ゼロの拡大、あるいは派遣労働の拡大。結局国民の所得を奪って、雇用のルールを壊していく。日本の社会全体を「ブラック企業」化する、こういう方向ですね。
それともう一つは、消費税の大増税をする。13・5兆円、空前の増税ですよ。一方で大企業には、「思い切った投資減税、大胆な企業減税」、これをやりながら、庶民には大増税っていうのは、方向を間違えていますし、これをやったら、暮らしも経済も財政も、結局、総破綻に陥ります。
やっぱりこの道からの転換が必要です。国民の所得を増やして景気をよくする。大企業の260兆円の内部留保を活用して、そして所得を上げていくという転換が必要だと思っています。
原発
再稼働は論外。住民の命よりもうけを上におくもの
原発問題のテーマになり、司会者が、「(原発の)再稼働は必要だとお考えでしょうか」と質問。安倍首相は、原子力規制委員会の「新規制基準」を「厳しい高い水準」と評価したうえで、「いま(原発を)動かさなくても大丈夫だという考え方は間違っている」と述べ再稼働は必要だと表明。また、「責任ある立場としてはいま(原発)ゼロとはいえない」と語りました。
「志位さん、『原発即時ゼロ』というのは現実的かどうかという問題がありますが?」と司会者に問われ、志位氏はこう答えました。
志位 現実的に考えたら、再稼働ができるかと。福島原発事故の収束がされていません。事故の原因究明もされていない。いまなお15万人の方々が避難生活を強いられている。そのもとでの再稼働は、私は論外だと思います。
いま、「新規制基準」ということをいわれました。しかし、大穴だらけですよ。たとえば、防災計画、つまり住民の方々が、重大事故が起こったときに避難する計画ですね。これもなくても再稼働オーケーだという仕掛けになっています。これは市町村任せになっています。今度は、いま(再稼働にむけて)申請された原発を見ても、63%の市町村ではこの防災計画がないんですよ。こういうなかで、動かすというのは、住民の命より原発のもうけを上に置くというとんでもないことだと思います。
憲法
「国防軍」、基本的人権の制約、自民憲法草案を断じて許さない
憲法のテーマとなり、司会者が「選挙戦では憲法をめぐる議論にも関心が高まっています」と発言し、志位氏に質問しました。
志位 私は、自民党の「改憲草案」は本当に恐ろしい内容だと思っています。二つ問題点があるのですが、第一は、9条を変えて、「国防軍」をつくる。ただ、これは、自衛隊の名前を変えただけにすまないのです。海外で戦争ができる国にする。たとえばアフガン戦争、イラク戦争、ああいう戦争が起こったときに、米軍とともに、自衛隊が最前線にまで出て行って、戦闘行為ができる。これは殺し、殺される、そういう国に変えてしまうということですから、断固反対です。
それともう一つは、基本的人権に対する制約条項がついてきています。「公益および公の秩序」、この範囲でしか認めない。たとえば表現の自由、憲法21条も、これがかぶさってきます。そして、いまの憲法には第10章に「最高法規」という章がありまして、97条に「基本的人権は永久不可侵」というのがうたわれているわけです。この条項が全文削除されます。ということになりますと、これはかつて大日本帝国憲法のもとで、法律の範囲内でしか国民の権利が認められなかった、ここに時代逆行するということになります。
歴史認識
「侵略と植民地支配」との認定、引き継ぐと言うべきだ
最後のテーマの外交、歴史問題で各党が議論。志位氏は、歴史認識で安倍首相をただしました。
志位 安倍首相は「村山談話」の見直しとおっしゃった。とくに、ここではっきり答えていただきたいのですが、「侵略と植民地支配」、(安倍首相は)これについてかたくなに認めようとされないわけです。しかし、これは「村山談話」の一番の核心部分で、これをもし否定するということになりますと、第2次世界大戦後のいわば国際秩序を土台からひっくり返すようなことになる。ですから、この道に進んだら、アジアの諸国とまともな友好関係をつくれませんし、ここはやはりそういう時代逆行はやめるべきだと(思います)。
やはり1995年に「村山談話」という一つの到達点を築いたわけです。それは閣議決定をして決めているわけです。ですから、「侵略と植民地支配」、これはきちんと引き継ぐとこの場ではっきりいっていただきたい。いかがでしょうか。
安倍首相は、志位氏の質問にまともに答えず、日中首脳会談がなかなかできないのは歴史問題ではなく尖閣問題などとはぐらかし、また、中国は歴史問題を外交に活用していると述べました。志位氏は、「私の質問に対し答えてください」と要求。司会の岸井成格氏も「安倍さんは歴史認識問題と外交はまったく別問題だという認識から始まりましたけど、どうしても議論で外交交渉をやっているなかで、かならず戦争の評価というのが出てくるんです」と疑問を呈しました。
選挙戦
躍進のチャンスを現実のものに。最後まで力尽くす
番組は最後に、「今後、選挙戦をどのようにたたかうのか」と司会者が質問。志位氏はこうしめくくりました。
志位 自民党と対決し、あらゆる分野で抜本的対案を示すという立場でやってきました。ずいぶん熱い手応えを感じております。ぜひ躍進のチャンスを、現実のものとするために、最後まで力をつくしたいと思っております。