志位委員長が会見
日本共産党国会議員団は15日、若者らを過酷な労働に追い立て、使い捨てる“ブラック企業”をなくすために「ブラック企業規制法案」を参院に提出しました。党参院議員団の11人全員がそろって橋本雅史参院事務総長に手渡しました。志位和夫委員長が国会内で記者会見し、「7月の参院選で躍進して得た議案提案権を活用した公約実践の第1号です。法案の成立をめざすとともに、国民運動と一体になって法案の内容に即して現実の政治を動かすという両面で頑張りたい」とのべました。
党国会議員団は8月、「ブラック企業・雇用問題対策チーム」を発足させ、労働者からの聞き取りなどを踏まえて法案を準備。党が単独で法案を提出するのは2004年以来、9年ぶりです。
志位氏は会見で法案について、違法行為へのペナルティー強化や長時間労働制限などの規制強化と、離職率公表などの情報公開で社会的な批判と抑止力をつくるという二つの方向でブラック企業を規制するものとなっていると説明。法案の三つの柱(骨子参照)に沿って説明しました。「サービス残業の根絶やパワハラへの規制など、多くの労働者に共通する問題を解決する力にもなります」と述べました。
志位氏は、法案を提出した理由について「若者を使い捨てる、使いつぶす働かせ方は、もはや一刻の放置もできません。ブラック企業を放置すれば、日本全体の労働条件の悪化をもたらし、企業経営とそこに働くすべての人たちの生活に大きな被害をもたらすことになります」と強調しました。
ブラック企業が成り立つ根源に非正規雇用労働者の拡大があると指摘し、「いま政府がすすめている労働法制の規制緩和に反対し、労働のルールをきちんとつくり上げていく。非正規社員の正社員化をはかっていく。均等待遇のルールをつくっていく。こういう一連の取り組みも同時並行ですすめていきたい」と述べました。
志位氏は同法案について「党派の違いを超えて真(しん)摯(し)な検討と審議を行うことをすべての会派に要請していきたい。あわせて、労働者、労働組合はもとより、経営者のみなさんも含めて国民的な議論でブラック企業を規制し、使い捨て・使いつぶす働かせ方をやめさせる法改正が実現するよう力を尽くしたい」と語りました。
会見には小池晃副委員長が同席しました。
ブラック企業規制法案骨子
(1)長時間労働の是正
・労働時間を正確に把握、記録し、本人らが閲覧できるようにする
・年間の残業時間上限を360時間に法定
・次の出勤まで最低11時間の休息時間を保障
・サービス残業は残業代を2倍にする
(2)労働条件などの情報公開
・採用数と離職者数を公表
・求職者からのブラック企業に該当するかどうかの問い合わせに答える制度をつくる
・賃金の内訳を明記させ、誇大宣伝や虚偽記載をやめさせる
(3)パワハラをやめさせる
・パワハラをやめさせ、違法行為を取り締まる。厚労省はパワハラを行った企業に指導や勧告を行う