主張

ブラック企業規制法

「人間使い捨て」やめさせよう

 日本共産党国会議員団が「ブラック企業規制法案」を参議院に提出しました。7月の参議院選挙で前進して獲得した議案提案権を行使して、公約実現をめざす活動です。

 日本共産党は、若者をはじめ働く人を酷使し、モノのように使い捨てる「ブラック企業」問題を重視し、国会でも取り上げてきました。法案は「ブラックな働かせ方」をなくすために、違法行為へのペナルティー強化と長時間労働の規制、離職率などの情報公開で悪質な「手口」を封じようという提案です。国民的な論議を起こして、成立をめざしていきます。

「手口」封じる三つの対策

 法案は、大きくいって三つの柱で構成されています。

 第一は、長時間労働の是正です。際限のない長時間勤務、残業手当をまともに支払わないサービス残業(ただ働き残業)の横行など、若者を消耗品のように働かせる「手口」の規制はきわめて重要です。事業場ごとに労働時間管理台帳をつくり、労働時間を正確に把握・記録することを使用者に義務づけ、労働者がいつでも台帳を閲覧できるようにします。

 残業時間は、年間の上限を360時間とします。休日がとれない「連続出勤」を規制するために7日に1日の法定休日がとれるよう労働基準法に明記します。1日の労働が終わり、次の出勤まで最低11時間の休息時間を保障します。サービス残業が発覚したら残業代を2倍にさせます。サービス残業が企業にとって「割に合わない」と抑止する効果があります。

 第二は、労働条件や職場環境の情報公開です。大量に採用して過酷な労働を押し付けて使い捨て、使いつぶすのが「ブラック企業」の特徴です。これをやめさせるために、企業が採用者数と離職者数を公表する制度をつくります。またハローワークなど公的機関が求職者の問い合わせに情報を提供する仕組みをつくります。残業代込みで賃金を高額にみせかけるなどの誇大な求人募集や虚偽記載をやめさせます。

 第三は、パワーハラスメントをやめさせることです。暴行、暴言、侮辱など身体的、精神的な攻撃で会社や上司の命令に「絶対服従」を強要し、深夜まで働いても達成できないような過大なノルマで働かせるのが「ブラック企業」の典型です。これをきびしく取り締まります。厚生労働省は、勧告にしたがわない企業名を公表します。

 若者をはじめ人間を使い捨て、使いつぶす働かせ方は、絶対に放置することはできません。これを許せばブラックな働かせ方が日本社会全体に広がり、企業経営と働く人の生活に重大な被害をもたらします。

暴走と対決する対案

 日本共産党の法案は、ブラック企業の規制にとどまらず、すべての労働者に共通する問題を解決する力をもっています。とくに安倍晋三政権が、派遣労働の完全自由化をめざす派遣法改悪や、解雇自由の「ブラック特区」構想で労働法制が及ばない無法地帯をつくろうとしている暴走と対決し、人間らしい雇用のルールをつくる対案として重要な意義をもつものです。国会のすべての会派に賛同をよびかけるとともに、法案の成立にむけた国民の共同の発展をよびかけ、実現のために力をつくします。