日本共産党の志位和夫委員長が7日、「秘密保護法案」の国会審議入りに抗議して行われた衆院第2議員会館前での緊急行動で行った連帯あいさつは以下の通りです。
みなさん、おつかれさまです。日本共産党の志位和夫です。日本共産党を代表して、心からの連帯のごあいさつを送ります。(「よし」の声、拍手)
「日本版NSC法案」――米国に情報を操作されたまま「海外で戦争をする国」に
政府・与党は、今日の衆議院本会議で、「日本版NSC」法案といわれる国家安全保障会議設置法案を強行しようとしています。(「けしからんぞ」の声)
アメリカと「情報の共有」をするといっていますが、あのイラク戦争――ウソの情報をアメリカから渡されて、戦争を支持し、自衛隊を派兵した――この問題の総括と反省は、まったくなされていないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
それからみなさん、アメリカから盗聴されている。この事実が明らかになりながら、抗議の一つしていないではありませんか。(「そうだ」「なさけないよ」の声)
「情報の共有」といいますが、アメリカに情報をコントロールされたまま、「海外で戦争する国」に踏み出そう、そのための「戦争の司令塔」をつくろうというのが、今度の「日本版NSC」法案であります。廃案に追い込むまでがんばりぬこうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
「秘密保護法案」――徹底審議を通じて廃案に追い込もう
安倍内閣は、この法案と一体に、今日の衆議院本会議で、「秘密保護法案」の審議を始めようとしています。
日本共産党は、この希代の悪法は、国会に提出すること自体、断固反対だと言ってまいりましたけれども、審議を強行する以上、国民の前で徹底的に問題点を明らかにすることを、強く求めます。徹底審議を通じて廃案に追い込もうではないかということを、心からよびかけるものであります。(拍手)
この「秘密保護法案」の仕組みというのは、政府がもつ膨大な情報のうち、政府が「特定秘密」というのを指定して、それを漏らしたり、アクセスしたりする国民を、最長10年の懲役という重罪をもって罰するという希代の弾圧法であります。
「特定秘密」の範囲は際限なく広がっていく
恐ろしいところがたくさんありますが、第一に、この「特定秘密」なるものがどこまで広がるか、無制限というところが恐ろしいところであります。
「特定秘密」を決めるのはだれか。「行政機関の長」とされています。防衛大臣、外務大臣、警察庁長官、こういう人たちが、「これは特定秘密だ」と決めたら、それは無際限に広がっていきます。
法案を見ますと、4分野をとくに取り締まると書いてあります。「防衛」、「外交」、「特定有害活動の防止」、「テロリズムの防止」、この4分野の合計23項目を「特定秘密」の対象とすると書いてあるんですが、法案をよく読むと、4分野・23項目に「関する情報」を「特定秘密」の対象にするとあるのです。つまり「関する」と「行政機関の長」が判断すれば、際限なく「特定秘密」の範囲が広がってしまうことになるではありませんか(「そうだ」の声)。原発だって、TPPだって、それを調べようとする国民の活動が取り締まりの対象になる。こんなことは絶対に許すわけにいかないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
何が秘密かも秘密――こんな恐ろしい暗黒社会は許せない
第二に、この法律というのは、国民の側からいいますと、何が秘密か、それも秘密になっているという問題があります。「特定秘密」に指定した場合、何を「特定秘密」に指定したか、これは明らかにされません。
ですから、たとえば原発事故が心配だ。写真を撮ってブログに載せた。あるいは米軍基地のたいへんな被害で苦しんでいる。写真を撮ってブログを書いた。そうしましたら、ある日突然、警察がやってきて、逮捕状を持ってくる。こういうことになりかねないわけです。
国民から見て、何が秘密かわからない。何が秘密かも秘密――こんな恐ろしい暗黒社会は絶対に許すわけにはまいりません。(「そうだ」の声、拍手)
逮捕されたら――何で裁かれているかもわからない暗黒裁判が
第三に、「秘密保護法」に「違反」して逮捕された場合、どうなるでしょうか。裁判の過程も暗黒裁判になってしまいます。
裁判の過程でも、「特定秘密」は開示されません。そうしますと、「被疑者」、「被告人」は、いったい何の被疑事実で自分が捕まっているかわからない。何を裁かれているかもわからない。弁護士はどうでしょう。弁護士にも「特定秘密」は開示されません。弁護士はどう弁護していいかわからない。ひとたび「被告人」とされてしまったら、自らを防護する手段が存在していないのです。
こういう状況のもとで、裁判所のなかでもごく一部の人にしか「特定秘密」は開示されず、暗黒裁判のもとで重罪が下されるということになります。みなさん、どこからみてもこんな法律は許せるわけありません。(「そうだ」の声、拍手)
国民多数の声で、希代の悪法を包囲し、かならず廃案に追い込もう
みなさん、たたかいはこれからです。
「秘密保護法案」の恐るべき正体が明らかになるにつれて、国民の過半数が反対の声をあげているではありませんか。日本弁護士連合会、日本ペンクラブ、憲法や刑事法やメディア法の専門の研究者の方々、みんなそろって党派を超えて反対の声を上げているではありませんか。国民の多数の声で、この希代の悪法を包囲し、かならず廃案に追い込もうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
みなさん、「NSC法案」、「秘密保護法案」、その先に待っているのが、集団的自衛権の行使であります。アメリカとともに「海外で戦争をする国」をつくろう。そのために、情報を統制し、世論を誘導し、好き勝手に自分の意のままに動かせる国に作り替えようというのが、今度の一連のたくらみであります。
日本国憲法の平和主義に反し、憲法の国民主権に反し、憲法の基本的人権に反するこの悪法を廃案に追い込むために、私たちは最後までがんばりぬきます。「秘密保護法」反対の一点で、すべての人々が力をあわせてたたかうことを心からよびかけて、私の連帯のあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(拍手)