秘密保護法のいわゆる「第三者機関」の設置に関し、衆院の調査議員団の一員としてドイツ、イギリス、アメリカ各国を訪問・調査(1月12~19日)した日本共産党の宮本岳志議員に聞きました。
当初は、秘密保護法を強行採決した自民・公明両党と、修正協議に加わった民主、維新、みんなの党だけで各国のシステムやチェック体制を視察する目的で計画されていました。これに対し「衆院の正式な調査であれば、修正協議した党だけで行くのはおかしい」と抗議し、廃案を目指してたたかった立場で参加しました。
回答窮す各国
結論からいえば、いわゆる「第三者機関」が秘密をチェックしている国はありませんでした。民間や有識者に「秘密」を見せれば、秘密ではなくなるから当たり前です。
秘密指定や妥当性を議会がチェックしている国もありませんでした。各国議会を調査しましたが、他党の議員は“政府の秘密指定が不適切だったらどうするのか”と聞くのですが、相手は答えに窮していました。当然です。どの国もCIA(米中央情報局)にみられる「情報機関」―スパイ組織を監視しているからです。秘密保護法の修正協議で出てきた「議会が政府の秘密指定を監視する機関」などではなく、そのようなことを行っている国はないのです。
各国の情報機関は、実態や予算を“秘密のベール”で包む一方、チリのアジェンデ政権への軍事クーデター(1973年)がCIAの政府転覆工作だったように、国外で盗聴や暗殺など不法行為に手を染めてきました。事実が明るみになるにつれ、「野放しでいいのか」という民主主義の声が強まり、議会のチェックを受けるようになったのです。
廃止しかない
私が「すべての秘密をチェックするのは不可能ではないか」と聞くと、どの国も「その通り」「無理だ」という回答でした。不適切な秘密の見つけ方を問われ、「嗅覚だ」と答えた国もありました。
印象深かったのは、聞き取りした米国記者が「あなた方は面白いときにワシントンにやってきた」といったことです。その日は、盗聴問題で国内外の不信が高まったことを受けて米オバマ大統領がNSA(米国家安全保障局)の改革について演説した日でした。“米国は秘密を見直そうというのに、日本では拡大しようというのか”という一種の皮肉を含んだ言葉です。
オバマ演説は盗聴の「制限」であって「廃止」をいったわけではありませんが、安倍政権は逆に“さあ、これから秘密をつくっていこう”というのですから、世界の流れが見えていません。秘密保護法は廃止しかありません。