憲法9条破壊による「海外で戦争する国」か。それとも9条を生かした平和外交で、アジアの友好・協力を牽引(けんいん)する新しい日本を目指すのか―。自民・共産激突の選挙戦は終盤、平和憲法をめぐる二つの道の対決が注目を集めながら展開しています。

安倍内閣「閣議決定」

選挙が終われば戦争国家ばく進

 安倍首相は7月1日の「閣議決定」で、自民党政府が60年近く「憲法上許されない」としてきた集団的自衛権の行使について「容認」しました。日本への攻撃ではなく、米国をはじめ他国への攻撃に対し武力反撃して戦争参加するものです。

 「閣議決定」は「他国軍隊への支援をこれまで以上に積極的に行う」として、「戦闘地域には行かない」というこれまでの“制約”を取り払いました。

 安倍首相は、戦闘地域での活動で攻撃を受ければ「武器を使う」とも答弁(7月15日)。これは、戦闘状態にあるアメリカとともに戦闘することにほかならず、海外での武力行使です。

 自民党の総選挙公約は、この「閣議決定」に基づき、「平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備」と明記しました。その内容はいっさい明らかにしないまま、選挙が終われば戦争体制整備に向け、ばく進する構えを示しています。

日本共産党の平和協力構想

不戦のルールを北東アジアにも

2b19b77786f12e29876ae21b2a039d2f5f968970 日本共産党は、9条違反の「閣議決定」の撤回といっさいの法整備の中止を要求しています。同時に、9条を生かした平和の外交戦略=北東アジア平和協力構想を対置・提案しています。東南アジア諸国連合(ASEAN)は、地域内で「紛争を戦争にしない」ことをめざし、相互に武力行使を禁止し、対話と信頼醸成を進めることを内容とする東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、平和的発展を追求してきました。

 北東アジア平和協力構想は、北東アジアにもTACのような不戦のルールをつくり、安全保障のほか環境、災害、伝染病対策や経済・文化交流など多様なレベルでの対話推進を提起。領土問題での理性的対話を進め、6カ国協議で北朝鮮を国際社会の枠組みに引き出すとしています。この全体の不可欠の土台になるのが、日本の過去の侵略戦争への真摯(しんし)な反省だと訴えています。

アジアの流れに沿う現実的提案

 北東アジア平和協力構想は、アジアと世界の流れに立脚するものです。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は、日本共産党の提唱と同名の北東アジア平和協力構想を提案し、環境や医療などソフトイシューでの協力を安全保障上の協調に発展させる方向を提起しました。ASEAN外交のリーダー的存在であるインドネシアは、太平洋をまたぎアジアからインド洋にまで至る友好協力条約(インド太平洋友好協力条約)の締結を提唱しています。

 日本共産党の志位和夫委員長は、9月のアジア政党国際会議で、ASEANのような地域の平和協力の枠組みを全アジア規模に広げる提案をし、全会一致で採択されました。さらに志位氏は10月、韓国の高麗大学で同構想について講演。参加者からは多くの質問が出され、歴史問題の解決を基礎とした平和構想に、期待の声が寄せられました。