維新 府から都に格上げになる
ホント 「都」にはならない
大阪市をなくし、24区をなくす
「これは格上げなんですよ。府から都になるのは」。橋下氏はこう叫びます。しかし、今回の住民投票では、仮に賛成が多数となったとしても「大阪都」にはなりません。投票で問われるのは、大阪市を廃止して五つの特別区に分割することの是非です。可決となれば、市民が慣れ親しんだ24行政区も大阪市そのものも無くなります。
「都」構想の本質は、大阪市の廃止・解体にほかなりません。
維新 住民サービスは低下しない
ホント 市民いじめこれからも
くらしがつぶされる
市廃止なら住民サービスの低下は必至です。これまでも、橋下市長のもとで、「維持」と公約した敬老パスが有料化。市の赤バス(コミュニティーバス)は全廃されました。国保料は黒字なのに値上げ。7万を超える存続署名が提出されたのに住吉市民病院の廃止が決められました。保育所・幼稚園の民営化の推進など、市民いじめの連続です。しかし、市民の批判と運動が広がる中で市議会での共同も進み、市営地下鉄・バスの民営化などにストップをかけています。
いらだつ橋下氏は「市議会をつぶさないとダメだ」と述べ、市議会解体も「都」構想の「大きな目標」と語っています。市がなくなったらサービスを守る土台自体が壊れてしまいます。
特別区には再編に伴うコストものしかかってきます。三つの特別区での新庁舎建設費だけでも、30年間の借金で住民負担は約555億円にも上ります。
府市大都市局が発表している特別区の長期財政推計でも、設置後の5年間で計1071億円の収支不足が生じています。市が持っていた土地を売却し、財政調整基金もおおむね取り崩し、新たな借金をした上に府からの貸し付けまで受けざるを得ないという惨たんたる見通しです。しかも、推計には「再編効果」と称して住民サービス削減が最初から織り込まれています。
維新 大阪市のお金は奪われない
ホント 財源も権限も半人前
「一人の指揮官」でやりたい放題
大阪市が特別区になると、自治体としては「半人前」になります。その結果、橋下氏が「都」構想でねらってきた「一人の指揮官」(府知事)がやりたい放題にできる体制がつくられていきます。市が特別区に再編されると、市税の柱であった固定資産税や法人市町村民税などが大阪府の税源となり、直接入る税収は約6300億円から約1600億円へと4分の1に激減します(数値は2012年度決算をもとにした試算)。国からの地方交付税も府に入る仕組みとなります。府に集められた財源の一部は、財政調整交付金として特別区に配られますが、配分割合は決まっていません。住民投票後に府知事と市長が相談して決めるとしています。特別区は、財源の多くが府の意向に従属する仕組みとなります。
いまの大阪市では約8400億円の一般財源を使っています。試算上、特別区への再編で、約2300億円が「都」(府)に移り、特別区に移るのは約6200億円にすぎないことは橋下氏自身が演説で認めています。
ところが橋下氏はその分、市が担ってきた仕事が「都」(府)に移るから問題はないと主張します。維新は同じことを「大規模な都市開発・鉄道・高速道路・港湾整備・大学・病院」などに関する権限と財源が「都」に移ると説明しています。
それこそが、住民が市民として大阪市のことを決められなくなるという問題なのです。
例えば、橋下氏は平松前市長が反対していたカジノに関して「都」構想実現後は、地元の特別区長が自治体として誘致に反対しても「基本的には『大阪都』の話だ」と進める考えを示しています。
橋下氏がかつて自ら公言していたように「大阪市役所から権限と財源をむしり取り」、府知事という「一人の指揮官」のもとでやろうとしていることは何なのでしょうか。総額1兆5000億円にもなる大型開発計画(表)の推進や橋下氏が「都構想の試金石」と語るカジノの誘致、リニア新幹線の大阪開業の前倒し支援などです。
維新が決めた特別区は、東京と比べても議員定数が極端に抑え込まれ、巨大な一部事務組合も生まれるため、福祉と自治が住民から遠ざかる仕組みです。