2ff7fc81f9937343605495fcc7276e7c569080ff 日本共産党の井上哲士議員は30日の参院安保法制特別委員会で、戦争法案を先取りする形で、自衛隊と米軍が海外での武力行使を想定した実戦的な共同訓練を行っていることを明らかにしました。井上氏は「歯止めなき海外での武力行使につながる」として法案を廃案にするよう主張しました。

 共同訓練は、昨年1月から2月にかけて米カリフォルニア州にある米陸軍戦闘訓練センターで行われたもの。陸上自衛隊(約180人)がアジアで初めて参加し、96式装輪装甲車や74式戦車まで持ち込んで、イラク、アフガニスタンへの派兵を繰り返してきた米陸軍ストライカー戦闘旅団(約4000人)と戦闘訓練を行っています。

 中谷元・防衛相は「あくまで陸自の練度の確認、日米の相互運用性の向上を目的にしたもの」と繰り返すだけですが、米軍公式サイトなどによると、同訓練センターは広大な砂漠地帯(鳥取砂丘の91倍の広さ)で、大小20の集落や巨大なモスクまで設けられています。「中東を想定し、米軍と共同の軍事作戦をできるようにするためのものではないか」とただしました。

 井上氏は、同訓練について防衛省に情報開示を求めたものの、黒塗り資料しか示されていないとして、内容を明らかにするよう要求しました。

「必要最小限」の規定困難

井上議員の質問に、新3要件で首相答弁

 安倍晋三首相は30日の参院安保法制特別委員会で、集団的自衛権の行使を容認した「武力行使の新3要件」の下に「例外」的に可能とする「必要最小限の武力行使」について、「法律に規定するのは困難」であるとして、法理上は無限定に拡大することを認めました。日本共産党の井上哲士議員に対する答弁。

 安倍首相は繰り返し、「新3要件の下でも海外派兵は一般に禁じられている。例外として認められるのはホルムズ海峡での機雷掃海だ」と述べてきました。井上氏が、「ホルムズ海峡での機雷掃海に限定する」ことの法的根拠をただしたのに対し、首相は「(新3要件の下で)どのような場合に、どのような武力行使が許されるのかは、事態の個別的な状況に照らして総合的に判断する必要があるので、具体的な当てはめを法律に規定するのは困難だ」と述べました。

 政府は自衛隊「合憲」論の唯一の根拠として、自衛のための「必要最小限度の実力」ということをあげてきました。「必要最小限の武力行使」が定義できないとなれば、自衛隊「合憲」論の根拠まで掘り崩すことになります。