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政府が対抗措置
沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は13日、県庁で記者会見し、同県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う前知事による沿岸部の埋め立て承認を取り消したと発表しました。埋め立て承認の取り消しにより、政府が強行してきた新基地建設工事の法的根拠が失われました。これに対し、政府は公有水面埋立法を所管する国土交通相に行政不服審査法に基づき不服審査請求をするとともに、その裁決が出るまで、取り消しの効力を止める執行停止を求める方針を示しました。沖縄県は7月16日に埋め立て承認の法律的な瑕疵(かし)を検証する第三者委員会の検証結果報告を受け、「内容等を精査したところ、承認には取り消しうべき瑕疵があるものと認められた」として、9月14日に承認取り消しに向けた手続きを開始しました。
県は取り消し処分に向けた手続きを経て検討した結果、「承認取り消しが相当」と判断。10月13日付で沖縄防衛局長に対し承認取り消しを通知しました。
取り消しの理由として、(1)埋め立て申請では辺野古新基地の必要性が認められない(2)環境保全措置が適切に講じられていない―とした2点を指摘し、沖縄防衛局が「承認に瑕疵はない」と提出した陳述書で述べた意見についても理由がないとしました。
翁長知事は会見で「今後も辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えです」と表明しました。
「これから法廷闘争になるが」と記者団から問われた翁長知事は「政府を相手にするわけですから、そう簡単ではない」としつつ、いろいろな場面で国民や県民の理解を得るよう努めたいと強調。「新辺野古基地は造れないと思っている」と述べ、「そこに大きな基地が出来上がって、200年にわたって沖縄県民の意思と関係なく、それが自由自在に使われる」として、政府の“取り消しによる普天間基地固定論”に反論しました。
翁長知事は、個人が行政機関から不利益を受けた際の救済措置である、行政不服審査法に基づく不服審査請求や執行停止の申し立てについて、「国が私人としてそういう訴えをすることは条文上、できないだろう。国が同じ国の中で判断を下すというのも、国と地方自治という意味からしても、多くの方々が疑問に思うことではないか」と批判しました。
県は、政府の対抗措置について裁判も含めた対応をとるものとみられます。