全国86の国立大学で2016年度以降、学部組織の見直しを計画しているのは43校で、人文社会科学系学部・大学院の見直しを計画しているのが33校にのぼることが20日分かりました。文部科学省の国立大学法人評価委員会で同日、各大学の新たな中期目標・計画(6年間)の素案が示されました。組織の廃止を打ち出したのは横浜国大など9校で、いずれも対象は教員養成系学部でした。

 人文社会科学系と教員養成系は、文科省が6月の通知で「廃止や転換」を求めていました。“文系つぶし”の押し付けが広がっていることを示しています。

 学部の再編や縮小を計画しているのは、山形大や横浜国大、神戸大、鳥取大、宮崎大など43校。このうち人文社会科学系学部の再編は26校(大学院を含めると33校)あり、学科の統合や定員削減とセットになっています。

 神戸大は「国際文化学部」と「発達科学部」を統合して新学部を設置。愛媛大が「社会共創学部」、宮崎大が「地域資源創成学部」などの新学部を創設します。

 組織の廃止を明記しているのは新潟大や三重大、熊本大など9校で、いずれも教員免許取得を義務付けない「ゼロ免課程」を廃止・募集停止します。

 これまで文科省は「ミッションの再定義」の名で各大学を類型化し、「グローバル化」や「イノベーション(画期的技術)創出」に重点を置いた組織再編を求めてきました。

 中期計画は、その取り組み状況が運営費交付金の配分にも反映されるため、組織再編のテコとなっています。

学部・学科見直しを 計画する43大学

 室蘭工業▽北見工業▽山形(人)▽茨城(人)(教)▽筑波技術▽宇都宮(人)▽群馬(人)▽埼玉▽千葉(人)▽東京外国語(人)▽東京工業▽東京海洋▽横浜国立(人)(教)▽新潟(人)(教)▽上越教育▽富山(人)▽福井(人)▽山梨(教)▽信州▽静岡(教)▽三重(人)(教)▽滋賀(人)▽滋賀医科▽大阪教育▽兵庫教育▽神戸(人)▽和歌山(人)▽鳥取(人)▽島根(人)▽岡山(人)▽山口(人)▽徳島(人)▽香川▽愛媛(人)▽福岡教育▽九州(人)▽九州工業▽長崎▽熊本(人)(教)▽大分(人)(教)▽宮崎(人)▽鹿児島(人)(教)▽琉球(人)

 ※(人)は人文社会科学系学部を見直す26大学、(教)は教員養成系学部の「ゼロ免課程」を廃止する9大学