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秘密保護法の「適性」調査票/精神疾患を“危険視”/本紙入手
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秘密保護法の「適性」調査票/精神疾患を“危険視”/本紙入手

2016-03-23 10:35

    精神神経学会 「許されない」

     秘密保護法は、国などの機密(特定秘密)を扱える人物かどうかを身辺調査する「適性評価」の実施を定めています。本紙は22日までに、この調査に用いる書類を入手。同法成立前から医療関係者が強く反対してきた精神科への受診歴についての質問など、人権を無視し差別を助長しかねない調査を行っている実態が浮き彫りになりました。(矢野昌弘)

     本紙が入手したのは、「適性評価」の際、調査対象の本人が記入する「調査票」や「同意書」などの関係書類です。公正取引委員会に行った情報公開請求で入手しました。

     「調査票」は、職員本人の職歴や学歴、国籍など40項目にわたって記入するものです。本人のみならず親族や配偶者の親族などについての記載も求められています。

     こうした調査自体がプライバシーを侵害するものですが、とくに問題なのが、「精神疾患」についての質問です。

     調査票は「過去10年以内に、統合失調症、躁(そう)うつ病、薬物依存症、アルコール依存症その他の精神疾患に関し、治療又はカウンセリングを受けたことがありますか」と尋ねています。

     付記された説明文には「必要な場合には、医療機関等に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえ、特定秘密を漏らすおそれがないかどうか判断されます」としています。

     この項目について、内閣官房の逐条解説は「一定の精神疾患の症状が見られたりするという事実は、自己を律して行動する能力が十分でない状態に陥るかもしれないことを示唆しており、特定秘密を漏らすおそれがあると評価し得る」(内閣官房特定秘密保護法施行準備室作成、2014年12月)と説明。

     精神疾患で苦しむ人を“危険人物”扱いする書きぶりです。

     「適性評価」については、日本精神神経学会(武田雅俊理事長)が秘密保護法の施行前(14年12月)までに2度にわたり反対の見解を発表。

     調査に医学的根拠がまったくないとした上で「杜撰(ずさん)な認識で法が成立し、かつそれによって調査されるなどということは許されることではない」と厳しく批判しています。

     こうした専門家の意見も顧慮せずに強行実施された秘密保護法。その反人権性があらためて問われます。

     政府発表によると、昨年12月時点で「適性評価」の対象者は9万7560人となっています。

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    (写真)調査票の精神疾患についての質問部分



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