「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2025年07月22日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2025年08月05日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2025/07/22配信のハイライト

  • 倫理を試される『にんころ』とドギツい『ちいかわ』、善戦した自民
  • 「公定歩合20パーセントの時代」と「選挙ポスターは全員仮面で」
  • 「知的能力の重要性」と『子供の科学完全読本』続刊について
  • 視聴者質問「声の網と上位存在」「左派政党」と「認知戦」
  • 「関税大国化したアメリカの影響」と「東京都のEV充電設備支援」
  • ハイパワーATP合成酵素とミトコンドリアの可能性

倫理を試される『にんころ』とドギツい『ちいかわ』、善戦した自民

山路:いろいろ世間、政治とかのことで騒がしいんですけど、とりあえず軽い話題からということで。

小飼:軽い話題から。

山路:先週、視聴者の方が紹介されてた、弾さんも言ってたんだっけ、『にんころ』、

小飼:あーーー、軽いのか?

山路:すごいお勧めされたんで、私いちおう全話見てみたんですけど、ひどいっすね(笑)、

小飼:はははははは、

山路:軽い、

小飼:軽い、何が軽いかって言ったら人命が。

山路:これ、しかもかわいい絵柄でひたすら話が進んでくる、

小飼:そこがポイントなんじゃないかな、というのがけっこう、我々の倫理を試されてるところはありますよ。下手人が美少女だったら、何やっても許されるのかっていう。

山路:いやー、ほんとね(笑)。相当ドン引きな内容ですよね。絵柄が違うだけで、もうダメじゃないですか、たぶんもう絶対18禁アニメになってますよね。

小飼:いや、そこはどうなんだろうな。とりあえずやってるのが美少女だったら許してしまう、そういうような土壌があるのではないか、この国とまでは言わないけど。

山路:なるほどね。その話の中でも私、特に同級生の吉田さんの扱いとか、はぁ。

小飼:いや、だからあの一話を持って主人公たちがどういう目に合うかって言ったら、ここでなんか急に『ちいかわ』が出てくるというのは急すぎると思うけれども。

山路:はいはいはい(笑)、

小飼:1年前ぐらいに島編ないしセイレーン編というお話があって。それってまあ、『ちいかわ』らしくまぁドギツい話なんだけれども。たぶん『ちいかわ』史上最強のセイレーンというキャラが出てきて、要するに誰でも仕留められないという、せいぜいその場をしのぐぐらいしかできないもう超強力なキャラが出てきて、ある犯人を探してるんですよ。で、ある犯人というのはそう、セイレーンの仲間は人魚なんですけれども、その人魚の一人が誰かに食べられてしまったという。それで食べた犯人をずっと探して、無垢な島の人々をもう片っ端から食ってるわけですよね。

山路:コミック、私最初のほうだけ読んで、まだたぶんその話のところまで行ってないと思うんですけど、

小飼:いや、まぁでも『ちいかわ』そういうところがあるから、注目してるのよ。だから単にノホホホーンな話であれば、サンリオの、

山路:なんていうか、いつも常に不穏な音が流れてる感じがしますよね。

小飼:『ちいかわ』はすごいのはあの絵柄でああいう話をやってるという(笑)、カンタンをやってるところなんだけれども。いや、あれを思い出したよね。で、話を戻すと、自分のマブダチを食ったやつにはどういう報復を考えてるかっていうと、食ってやる、じゃないのね。なんで人魚が食われたかっていうと、人魚の肉って食うと永遠の命を得るっていうじゃん、その話でもそういうことになってるんだけれども。閉じ込めて、永遠を味あわせてやるという。

山路:ほー。

小飼:すごいでしょ。だから『ちいかわ』って本当はそういう話なんだよ。

山路:続き読もう、マンガのほうでもそれは書かれてるんですか?

小飼:いや、だからマンガが、原作がまさにそうなの。いや、ちゃんとテレビのほうでもそれ言ってほしいよね。

山路:そうかー。いやちょっと、続き読みますよ。

小飼:で、最後にその人魚を食うきっかけになったのと、人魚を食わせたのと、2匹いるわけですよ。金魚の肉のおかげで死なずに済んだのと、人魚の肉を食わせたのと2人いて、その2人というのは自分のコミュニティから逃げて、無人島でひっそり暮らそうとするところに、最後に。あれは素晴らしいよ。あれは本当に、本当に素晴らしい話で、素晴らしいって言っちゃうと。いや、だから本当に恐ろしいのは『ちいかわ』の素敵なところで。『にんころ』の2人はそういう目に遭うべきだと思いましたよ。やっとここで結論が来た(笑)。やっとここで結論が来た。

山路:そうなんですよね。

小飼:だから、吉田さんをああいう目に遭わせた報いというのをちゃんと受けてほしいね。永遠を味わってほしいね。

山路:美少女つながりで、これいっておきましょうかね。美少女好きなのはどうも日本人だけじゃないぞということで、xAI、XのGrokが美少女アバターを投入してきましたよと。

小飼:ああ、まぁでもあれは遊ばれてるっていう認識でいいんじゃないかというのか、今までの生成AI以前のAIアバターでもたいてい美少女が選択されてましたよね。Teiも美少女でしたし。Microsoftジャパンの、名前なんだったっけ、

山路:ああ、レイコさんでしたっけ。Officeの時代の、サエコさんか。

小飼:ああ、それちょっと戻りすぎだな。女子高生のアバター。

山路:あ、本当にそんなんいたんですか、それはちょっと、

小飼:いたいた。それがあれなんだよね、物事がよくわかってる、だからジジイの姿をとってるとかっていうのは、まずはありえないんです。

山路:必ず若い女の子になるっていう。

小飼:その通り。

山路:ここのところ、すごいなというか。普通ビッグテックのプラットフォーマーって言われる会社が、そんな、こういうことをやってくるのかっていう驚きもありませんでした? 小っちゃいスタートアップがやるようなことやるから。

小飼:いちおう今まで痛い目にあってきたからね、テイかね。いや、だからいきなりもうナチ推しとかになっちゃったじゃん。

山路:だから、こういうかわいい女の子を、よりかわいくすると、そういうことに狙われやすくなってくるって、

小飼:えーとね、かわいいからではないんだよね。今までのSNSのログを食わせていけば、当然そうなるだろうという。

山路:うーん。(記事見出しと共に描かれている、ゴスロリ金髪美少女を示しつつ)これはOpenAIのChatGPTが、この条件で適当に描いたやつで、

小飼:まぁでも、適当とは言いつつも、装束は似てるよね。

山路:ゴスロリ金髪みたいな条件であったら、こんなに出てきましたけどね。

「日本って二次元に関して寛容だけど、中東とかヨーロッパとか過剰に反応してこないのかな」(コメント)

小飼:えーと、過剰に反応した例というのはちょくちょくあるかな。

山路:で、あとこれ、そのちょっと美少女的な外見のとこ以外にも面白いなと思ったのが、今までこういうアバターとかやる企業って、自分のところがアバターのそういうモデル作って、その中身のLLMの部分とかっていうのは他のAPI叩いてたりしたじゃないですか。

小飼:全くもってそのとおり。

山路:それがGrokの場合だったら、自前AIデルを作ってるっていう強みがあるところがすげーなと思って。

小飼:強みというのか、また同じところに落ち着くのかいというね。だから、こういうアバターを出してきたりとかね。

山路:これってただ、キラーアプリになる可能性ってあるんじゃないですか? それが、弾さんが憤慨するほどにある意味、刺さる人もいる、効果的ということでもあるでしょう。

小飼:うん、まあね、だからお前ら全員セイレーンに食われろという。永遠を味あわせてもらえというね。

山路:(笑)これ、しかし、こういう二次元美少女キャラじゃないにしても、これなんかイーロン・マスクが『DEATH NOTE』のミサミサが好きだから、こういうデザインになったっていう話、

小飼:いや、だからもう死刑でいいじゃん(笑)。

山路:なんですけど、

小飼:ちゃんと死刑まで読んでたのかね、マスクは。

山路:ああ、その『DEATH NOTE』を最後まで読んだのかっていう。

小飼:いや、だからミサミサって、なかなか魅力的かつ一筋縄ではいかんキャラだったよ。

山路:そうですね。

小飼:ちゃんと自分の寿命の半分を進めて悪魔の目をゲットしてたぐらいのキャラで。いや、ただの萌え萌えキュンなキャラとは正反対のところに。いや、本当にナイトがニアに処された後、どうなってたのかという。だから、12巻の最後で祈りを捧げてた女性がいて、あれは、

山路:ミサミサじゃないの?

小飼:ではない。ではない、とてもミサミサに似てるけれども。いや、でも、あれをミサミサだと思ってる読者は多い。え、あ、そうか。山路さんですら、そう。

山路:私もそんなにデスノートをよく読んでたほうではなかったんだけど。

小飼:いや、でも、そういう、そういう見かけにはしてたよね。

山路:うん。明らかに、そっちにちょっと誘導してたでしょ。

小飼:うん。してたと思う。

「あれはキラ信者の女性というだけ」(コメント)

山路:あ、そうなんですか。あれ、ミサミサじゃないのって、あら、コメントでも。あ、作者のインタビューであれミサミサじゃないって言ってるのか。

小飼:そうなの。いや、だから、そこは決定的なんだよ。

山路:へぇ、そうなんですか。誤解してました。

スタッフ:なぜか、後ろの棚には『DEATH NOTE』英語版の全巻が。

小飼:あそこにいたの、意外とリューク本人だったりして。どんな姿にもなれる。

山路:なるほどね。なるほどね。このアバターに関して言うと、ただ、この美少女っていうところに関して、たとえば、それこそ好きなキャラクターをAIバターとして自分のところのやつに置くっていうのは、意外にこれでブレイクするってこともあるんじゃないですか?

小飼:あ、それはあるんだけれども、みんな美少女としてる時点で、薄命になっちゃうのね。

山路:んん? ハクメ?

小飼:薄命。いや、だから、ボロを出した時点で粛清しちゃったほうが安いってことになっちゃうんですよ。

山路:うーんと、それはユーザーのほうがってこと? それともサービス提供側ってこと? つまり、

小飼:全体だね。ここでこういう言葉を使うのは憚られるんだけども、雰囲気だね。炎上しちゃって、それでもなお、美少女として居座るキャラってどれくらいいるかな。

山路:なるほどね。

小飼:あのね、おばちゃんにしといたほうがいい、ここは。ステラおばちゃんみたいにしとくのが最高だ。あるいはクッキークリッカーのおばちゃんみたいにしとくのがいい。

山路:これってしかし、今後の展開としてはもっとプライベートに、個々にアバターっていうのをやってくるんじゃないかと。クローズドで使う。人にそういうふうに見せるんじゃなくて、すごくたくさんある中から、自分のプライベートなアバターを選ぶって方向に行くんじゃないかと思うんだけど。

小飼:ああ、だからその場合、そうね。たとえば1億の美少女とかっていうのはあり得るね。みんな姿、形がそれぞれのプリファレンスに調教されててっていうのは、とてもあり得る。それはあり得る。

山路:なんていうのかな。自分の個人的なアバターは人に見せないみたいな作法になってくるのかもしれないですよね。

小飼:そこはあり得るけれども、もう炎上したら、全部、白日の下に暴かれるみたいな。

山路:ああ、それはそれこそ、個人的なプライベートなアバターのやり取りが炎上して、外に出るみたいな感じの(笑)。

小飼:そうそうそう。

山路:怖いな、それ。特に、イーロン・マスクがやってるサービスで、向こうに自分の大事なところ握られてるようで落ち着かないですね、それは。

小飼:いや、本当に。いや、だから、そういうアバターを育てたかったら、やっぱり、そのアバターが必要とするリソースというのは全部自前で用意するぐらいの気概が必要でしょうね。そうじゃなくて、クラウドサービスでたまたま「わび石でゲットした」美少女みたいなのっていうのはもう、本当にいつ暴かれてもおかしくないでしょうね。

山路:AppleのPrivate Cloud Computeに期待ですかね。

小飼:いや、本当にプライベートなのか。だから、僕、そこまでApple信用してない。

「美少女の隣で寝てるよ」(コメント)

小飼:って。うん。

山路:(笑)これ、対抗したわけじゃないんでしょうけど、OpenAIがいよいよ、ChatGPTのエージェントモデルを出してきたと。ただ清水さん、清水亮さんがもうさっそくいろいろ試してみたんだけど、まだとても使い物になるレベルじゃねえぞ、これはみたいな、いう話なんですけど、弾さんはエージェントの将来性みたいなものってどう見てます? LLMの上で動くエージェントの将来性っていうのは。

小飼:将来性か。いや、エージェントがますます賢く、ますます繊細な質問に対して、繊細な答えを返すような存在になってくっていうところまでは確かだろう。なんだけども、たとえばそのエージェントが、ご主人様、お願いは何でしょうかって言った時に、俺の代わりに働けって言った時に、だから、それ実現してくれるんだろうか。