「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2025年08月05日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2025年08月19日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2025/08/05配信のハイライト

  • 「日本のフリゲート艦を豪が大量採用」と「アメリカのこれからの景気」
  • 新刊『子供の科学』続編の紹介「お堅くて暗いミリテクなお話ばっかりではない」
  • 新刊『子供の科学』続編の紹介「宇宙開発と新幹線とヒロポン」
  • 視聴者質問「二酸化炭素回収や再利用」「ウォルト・ディズニーも置き換え可能?」
  • 「野菜に酒?」と「逆さま揚水発電」
  • 「依存性の少ない鎮痛薬」と「ジャガイモの起源」

「日本のフリゲート艦を豪が大量採用」と「アメリカのこれからの景気」

山路:ここ、なんか置いてある、今回(笑)、弾さんの新刊でございます。あとでちょっと内容について詳しく紹介させていただこうかと思うんですが。最初は軽いというのかな、重いめの国際ニュースというか、から一ついきますか。いきなり防衛軍事の話になるんですけど、

小飼:(ChatGPTが生成したイメージを見ながら)でもさ、この絵がちょっと残念だなー。

山路:これChatGPTに適当に描かせたやつなんですいません(笑)、

小飼:ウェポンズって言うとこういうふうになっちゃうけど。でもいきなりっていうのもなんだけど、かなり大きいのが来たねと。

山路:これでしょうかと。オーストラリア次期フリゲート艦が日本製になるという。これってそもそもフリゲート艦っていうのが規模として、軍事に詳しくない私なんかよくわかんないんですけど。

小飼:今や、かつては大きい順に戦艦、巡洋艦、駆逐艦、その次あたりにフリゲートだったんですけれども。かつての駆逐艦、有名どころだと雪風とかっていうのは、

山路:映画やってますね、

小飼:あ、そうか、戦闘妖精のほうじゃないほう、

山路:でもないですし、ヤマトでもないですね。

小飼:雪風ってけっこうあるので。2000トンぐらいなんですよ、たかだか2000トンぐらいなんです。2000トンぐらいで駆逐艦なんですけども、今駆逐艦って言うと、1万トンぐらいになりますね。

山路:ぜんぜん違う。

小飼:でかい。最新の駆逐艦の、アメリカのズムウォルト級というのは1万5000トンあります。

山路:今だいたい軍艦といった場合、一番でかいのがそれぐらいって感じ?

小飼:大きくなっている代わりに、一番大きいのからなくなっている。だからもう戦艦というのはないの。

山路:もうその上すぐ空母になっちゃう感じ?

小飼:空母は別扱いなんです、空母はもう別枠。

山路:そうなんですか。

小飼:だからちょっと空母は置いといて。その次が巡洋艦なんですけれども、今巡洋艦を名乗っているやつっていうのはアメリカ海軍にしかないんですね。タイコンデロガ級というやつで、イランの民間機を打ち落としたという。そういうことを言うのもあれ、タイコンデロガ級です。引退する予定だったんですけれども、それに代わる艦というのを用意できなくて、少し引退待ったって言ってもらってる状態なんですけども。でも古いやつはもう引退が進んでて、なくなる予定です。そのタイコンデロガ級というのは名前は巡洋艦なんですけれども、大きさとしては、その一つ下のアーレイ・バーク級とかとそんなには変わらない。今、中国が持ってる空母以外の一番大きな艦というのはアーレイ・バーク級よりも少し大きいです。

山路:それが何トンぐらいですか?

小飼:それが1万2000トンぐらい。だから、今単艦の水上艦で一番強いのは、それだと言われてます。

山路:中国のほう?

小飼:中国の。

山路:へえ。中国、ちょっと前まで海軍弱いと言われてませんでしたか?

小飼:とんでもない。

山路:とんでもないんですね。

小飼:とんでもない。だから、今少なくとも船の頭数だけだと、中国が抜いてるんです。

山路:数が多いのは知ってましたけど。

小飼:単に数が多いだけではなくて、質もすごい向上してるんです。昔の中国海軍の船というのは、昔の同盟国のソ連の艦のコピーとかだったんですけども、今はかなり西側に近いんですよ。

山路:なんか20年くらい前って、まさにそう言われてませんでした? 本当にごく最近の話ですよね。

小飼:にしても、一番上が巡洋艦で、しかも巡洋艦という名前はもう使ってないんです。

山路:なんていうんですか? それはもう、軍艦としか言いようがないというか。

小飼:うん。普通、駆逐艦って言ってますね。今までは一番小さい、厳密に言うと、沿海ではなくて、大洋に出ていく軍艦で一番小さいやつが実質、駆逐艦だったんですけども、今はさらにその下のフリゲートがメインになってます。小さいというふうに言っても、3000トンから6000トンあるんですよね。昔の駆逐艦よりもぜんぜん大きい。

山路:世界的にフリゲート艦というのが海軍力の主力になってる?

小飼:ほとんどフリゲート。欧州の、空母って言っても空母は本当にイギリスとフランスしか持ってないんですけども、あ、ごめんなさい、厳密に言うとV/STOL空母は日本のかがとかに相当するやつというのはイタリアも持ってます。でも普通に空母というのはフランスだけだな。とにかくそれ以外の戦闘艦というのは、ほとんどフリゲート。一部イギリスが一番大きいのを駆逐艦って呼んでるだけだから、もう名前あんまり意味ないんです。
(コメントを見ながら)あ、日本のフリゲートが優秀ってことではなくて、日本にはフリゲートなかったんです。駆逐艦も巡洋艦もなかったんです。というのか、いまだにない、厳密には。

山路:それは単に名乗ってないだけってこと?

小飼:全部護衛艦。

山路:あ、そういうことね(笑)。

小飼:かがも護衛艦なら、もがみも護衛艦(笑)。

山路:それは軍隊を自衛隊というような感じの呼称ってこと(笑)?

小飼:そういうことですね。ただし英語のほうの名前にはちゃんとその間のクラスというのが反映されてまして、イージス護衛艦にはDDGという略称がついて、

山路:DDG?

小飼:DDというのがデストロイヤー、駆逐艦という意味なんですね、GというのはGuided missileという意味で、これ米軍と同じ名前の付け方なんですね。もがみはその意味では自衛隊が初めて持ったフリゲートなんですね。FFMという略称がついています。フリゲートなかったんですよ。自衛隊が初めて作ったフリゲートです。

山路:今までの、従来の自衛隊の船に比べて何が違うんですか? もがみってのはそもそも。

小飼:少人員というのが一番の売りですね。だから、今までの同じくらいの大きさで、同じくらいの任務をこなす船の半分の人員で回せる、

山路:林譲治先生のSFにも、そのあたり、まさに出てきたような、

小飼:そうそうそう。あとステルスだったり、ステルスを実現するためにマストがユニコーンみたいになったりして。あれは本当にド素人目で見て、やっぱり一目見てかっこいいですよね。たぶん今全世界で一番かっこいい軍艦だと思いますよ。

山路:すげえ詳しい(笑)。

「指揮する船がでかいとかはないの?」(コメント)

小飼:基本そうです。基本、司令部というのは大きな船に置いてありますね。日本だったらイージス護衛艦に乗せてたんですけども、でも、たぶんもう移動したのかな。今日本で一番大きな護衛艦というのはヘリコプター駆逐艦改め、V/STOL空母の、はい(笑)。ひゅうが、かがなんで。

山路:これがなんでまたオーストラリアの次期フリゲート艦として、日本のフリゲート艦が。だって最初に作ったフリゲート艦というふうにさっき言ったじゃないですか、ってことは実績はないわけなんで、

小飼:ない、

山路:しかも海軍の主力であるようなフリゲートの、

小飼:これからはフリゲートが日本でも主力になってくる、

「かっこいいから」(コメント)

小飼:一番の理由というのは、やっぱり政治的な要因で、なるべく日本とも仲良くして、軍事的にね。あとオーディナンス、兵装が似通ってるっていうことも。

山路:日本とオーストラリア?

小飼:そうです、兵装っていうのは弾薬とか、要するにミサイルとか。

山路:それっていうのはアメリカなんかのやつに基づいてるということで似てるということですか。

小飼:そうです。いや、もちろん競合のドイツのミコ型というんですけれども、これはすごいレゴブロックみたいに、レゴというのか、アラカルトみたいに好きなものを取ってきて乗せるとできるという、なかなかいい設計になっていて。

山路:BTOできるわけですね、

小飼:BTOできます。オーストラリーがその前に使ってたアンザック級というのも、もともとドイツの設計のやつで。

山路:そこのところでドイツから、言ってみたら案件を奪ったわけじゃないですか、なかなかすごいですね。

小飼:すごいです。ドイツのやつはもう本当に、全世界で実績があったので。そうなんですよ、軍艦の輸出では、フリゲートもそうなんですけど潜水艦とかもかなり実績がありますね。

山路:やっぱり人手が少なくて済むっていうのがデカかったんですかね?

小飼:実際の性能からいくと、そうでしょうね。

山路:どこもかしこもたぶん、兵役につく人口がどんどん減っていって、

小飼:ましてやオーストラリアのほうが人口少ないわけですから、今オーストラリアの人口って2500万だったけど、念のためチェックするかな、

山路:3000万はなかったような、

小飼:オーストラリア、2500万を超えたところですね。たったの2500万、日本の5分の1ですよ。で、あれだけ広大な海域を監視しなきゃいけないので。だから意外とお金がかかっちゃう国ですよね。

山路:なるほど、確かにバランスが悪い。

小飼:潜水艦に関しても日本のを買うって言ってたけれども、土壇場でフランスのにする、なんだけどもそれでもちょっと満足ができなくて、いやアメリカから原潜を借りると、リースすると。

山路:それもちょっと雲行き危しくなってたりするみたいですけどね。

小飼:原潜、運用は難しいよ。それは置いといても、でも本当にフリゲートというのは、さっきも言ったように海軍で一番仕事をさせられるタイプの船なんです。ちなみにアメリカはそのクラスも駆逐艦相当がやってます。要するに、いかにデラックスでゴージャスだと。日本でかつては一番目にゴージャスで、今はVTOL空母ができたおかげで、2番目にゴージャスな船になった、イージス艦というのは日本では最高級なわけですよ。8隻しか持ってない。アメリカではそれが標準なんですね。

山路:アメリカも、海軍力とか中国と張り合っていかないといけないわけだから、

小飼:でも中国はそのクラスの船というのを、要するにアーレイ・バーク級ですけれども、あのクラスの船を年に2隻就航させられます。日本はもがみ型が2隻かな、

山路:全部でっていうことですよね、

小飼:やっぱりもう体力が違うというのか(笑)。ただ作って就航させればいいというものではないので、

山路:訓練とかもいりますしね、

小飼:特に海軍の場合は。

山路:それにしてもオーストラリア、さっき言った海岸線の長さとかも考えると、本当に平和の時にはすごくうまくいく国だけど、ちょっと雲行きが怪しくなってくると途端にコストが高くなる構造の国なんですね。

小飼:そうなんです、日本だってその点は少なくとも海軍というのか、海上自衛隊に関しては変わらないです。

山路:確かに、

小飼:なんでこんな広大な海域をパトロールしなければいけないのかっていう、

山路:太平洋と面してますからね。さらに軍事で言うともう一つ、今のは海軍の船の、

「ロシアの戦艦は強いの? ポチョムキンとか」(コメント)

山路:ポチョムキンって撃沈されたんじゃなかったっけ。

小飼:もちろん、ものすごい大昔の話ですよ、もちろん戦艦なんてないです、ロシアには。ロシアも、今就役させている水上艦はみんなフリゲートって呼んでるのかな。かつては巡洋艦とかもあって、空母も航空巡洋艦って言い張ってました。空母と戦艦はボスポラス海峡をくぐっちゃいけないんですよね、だから巡洋艦ってことにして。

山路:改めて本当に海軍力っていうのがこの時代に重要になってくるって、

小飼:えーとね、海軍力ってやたら金がかかるんだけども、なくなるときは一瞬だし、強いものが圧倒的に強いのね。

山路:強いものっていうのはきちんと装備を整えられた国が強い?

小飼:その通り。これが陸軍とかだと、

山路:個々の訓練だったりとか、

小飼:そうそう、ゲリラ戦で負けないような戦いをするっていうのが可能なんですけれども、空軍もある程度そうなんだけど、もう海軍は目も当てられないぐらい差がつく、絶対敵わんの。

山路:実際に予測できちゃいますもんね、作戦とかもある意味。

小飼:あれなのよ、海の上では待ち伏せってないんですよ。海の下では待ち伏せしかないんですよ。

山路:潜水艦の。

小飼:そっちのほうはもっと金がかかるという。

山路:じゃあもう一つ軍隊絡みで、こっちはドローンのほうなんですけど、

「Starlinkクラスの情報戦力を日本も持つべき」(コメント)

山路:あればいいですけどね、

小飼:宝の持ち腐れだろうな。だから、使いこなせる人がいてやっとなんぼなんだよ。

山路:それは日本の自衛隊の指揮体系の問題ってこと?

小飼:指揮体系の問題だけではなくて、たとえばアメリカ並みのスパイ衛星の情報が入ってきたとしましょう、それを誰が分析しますかっていう。

山路:諜報の仕組みがないやろと、

小飼:それがわかったら、それをどういうふうに活用しますか、あるいは活用しませんかっていうので。日本はちゃんと継続して人材を育ててこなかったので、今の日本の軍事に関わっている人というのは上に行けば行くほど、アホになるわけですよ。田母神とか見てわかるでしょ。だから田母神にStarlink並みの情報戦力を持たせて、何になるの? そういうのは本当に豚に真珠とかさ、キチガイに刃物とかさ。