ハックルベリーに会いに行く
ぼくは、足裏の感覚というものが実は鈍い。先天的に、方向感覚やそれを土台に構築される空間感覚が、それほど優れているわけではないということには、子供の頃から気づいていた。
それは、弟と育ったということが大きい。ぼくの弟は、足裏の感覚や方向感覚が優れていて、自動車に乗っていても、今自分がどこに向かっているのか、また地球上のどこにいるのか、見ないで分かるのである。意識しないでも、北が分かる。ぼくにはこの感覚が全くなかった。
ぼくにとって車は難敵だった。乗ってしまうと位置感覚や方向感覚が完全に失われ、降りてもそこがどこか分からない。目隠しでどこかに運ばれてきたような感じで、どれだけ外の景色を凝視していても、何度かカーブをくり返すともう位置や方角が分からなくなる。
だから弟が「もうすぐ目的の場所に着く」だとか、「ここは前にも来たことがある」ということを言っているのを見て驚愕した。なぜそんなことが