一般の人々にとって、池田高校監督・蔦文也のイメージというものは、ベンチにどっかと座って何事にも動じない、豪快な人物であるというものだ。
それは主にベンチでの落ち着いた姿からそうなったが、試合後のインタビューでも同様だった。勝っても負けても淡々としている。ウェットにならないのはもちろん、ほとばしる情熱のようなものさえ見せない。ただただ結果をあるがままに受け入れる一種の仙人といった雰囲気であった。
しかしこのイメージは、文也の近くにいる者とは大きな乖離があった。近くにいる者にとって、文也はまず短気だった。すぐに怒るし、また何にでも怒る。さらに臆病だった。おかげで采配では、間違うこともしょっちゅうだった。
そんな文也をよく知る者にとって、彼が甲子園に来ると見せる人が変わったように落ち着き払った姿は極めて異例のものだった。普通の人は逆である。普通の人は、普段は落ち着き払っていても、甲子園のよ