笹原 え?なんかスキャンダルなんてありました?

――
休憩後の2カードが計量オーバーという大スキャンダルですよ!(笑)。

笹原
 ああ、そんなこともありましたねぇ(遠い目)。RIZIN54が大成功に終わったので、記憶からすっかり消えてましたよ(笑)。

――
実際はかなり大変だったんじゃないんですか?

笹原
 2人とも全然無理っぽいってなったときには「何やってんだよ!」って怒り心頭だったんですけど、というのも同時期開催のONE SAMURAIがあんなことになったじゃないですか。

――
ちょっと待ってください。「あんなこと」ってなんですか!?  大田区住民の笹原さんから詳しい解説をお願いしますっ!

笹原
 (無視して)RIZIN54はチケット完売で大爆発の流れができているのに、その勢いに水を差すようなことしやがって!という怒りですけど、そこは「尊敬・謙虚・名誉・誠実」の精神を思い出してぐっとこらえたんですよ(笑)。

――
ハハハハ! SAMURAIの精神で我慢したと(笑)。

笹原
 蓋を開けてみたら、選手たちの頑張りでそのネガティブ要素すらプラスに変えてくれましたね。あとは試合順を変えたのも功を奏しました。

――ノーコンテストルールが2試合続くのはキツイですよね……パッチーvs佐藤将光はセミのまま、伊藤裕樹vsガジャマトフを早めの試合順に変えて。

笹原 試合順を変更するのも、じつは簡単じゃないんですよ。実況アナウンサー、レフェリーやジャッジの割り振りや演出、印刷物なんかも試合前日の夜にすべて変わるわけですからね。それでもお客さんの目線で見たときに変えたほうがいいだろうと。そこまでこだわった結果、格闘技の神様が微笑んでくれましたねぇ。

――
なんだかんだ、うまく転がったと。それぞれの計量オーバーを聞きたいんですけど、パッチーは来日後、セコンドにも実際の体重を報告してなかったみたいですね。

笹原
 そうなんですよ。計量の前日かな。パッチーのセコンドが柏木さんに「パッチーがあと3キロだと言ってる」と。「それなら大丈夫だね」と思っていたら、最初の計量で4キロオーバーだったんですよ……。

――
よ、よ、よ、4キロ!? 規定時間内に絶対に落ちないじゃないですか!?

笹原
 あのときの計量会場の雰囲気は「え?これって現実のこと?」みたいな空気で、横で柏木さんが般若みたいな顔してるし(笑)。

――
震えますよねぇ。これが1キロだったら「もうちょっと頑張れ!」と応援するんですけど。

笹原
 さすがに4キロだと主催者としても試合が組めないです。計量オーバーに理想も何もないですが、感覚的にはせめて2キロ以下ですよ。べつに2キロ以下だったらOKという決まりがあるわけじゃないですけど、あまりにも酷過ぎるだろと。

――
フェザー級で4キロは犯罪ですよ。もはやライト級ですから!

笹原
 なので「落とせないにしてもギリギリまで頑張ってくれ」と。それでも2・8キロなんですけど……

――
「日本の夏は減量が難しい」というフォローもあるんですけど。プロなんだから、戦う国の気候も調べて臨んでくれって話なんですよね。

笹原
 おっしゃるとおりです。夏は体重が落としづらいのは間違いなくて。かつて前田日明さんは「夏は暑いから夏に落ちないのは論外!」と語ってたみたいですけど(笑)。

――それに前田さんが過ごした昭和・新日本のプレハブ道場はサウナ状態だから特殊なんですよ!(笑)。

笹原
 だからって日本の夏が特別じゃないですよ。将光選手は「ラスベガスも夏は暑いだろ!」って正論を言ってましたけど(笑)。

――
しかも今年の日本の夏はそうでもないですからね。

笹原
 そこも選手にとっては同じ条件ですからね。問題は自分のセコンドにも柏木さんも正確な情報を教えてないってことですよ。ギャビ・ガルシア状態です。

――
セコンドに伝えてない時点で、パッチーを管理する人がチームにいないんだなって思ったんですよ。おそらく自分の好きな練習しかしてないというか、彼を追い込む体制が確立されてないんじゃないかなと。じゃないと、この2年のあいだでここまでパフォーマンスが落ちる説明がつかないですね。

笹原
 その可能性ありますね。あとはホントにハートの問題じゃないですか。UFCをリリースされて、秋元強真にKO負けして心が折れる、ってそこまでは分かりますけど、心が折られていることに無自覚というか、なんか体重オーバーも人ごとのような感じなんですよね。

――RIZINとの契約はあと1試合あるみたいですね。

笹原
 あと1試合あるんですけど、当然いままでの条件ではやれないですよね。バンタムでは怖くてオファーできないですし。

――
バンタムで計量オーバーしたので、フェザー級でオファーしたら2・9キロ超過したアーチュレッタという 例もありますよ!

笹原
 もうこうなったらアーチュレッタvsパッチーをやるしかないですよ(笑)。

――ハハハハハハ!パッチーって秋元強真に勝っていればシェイドゥラエフ戦もありえたし、今回の試合に勝てばサバテロ戦もありえましたよね。

笹原
 結果次第ですけど、そういうプランもありました。あれだけ実績を残して、一時期は「バンタム級最強の男」と呼ばれていたのに……悲しいですよねぇ。ホントにもったいないです。あと1試合はどんなマッチメイクをするかはまだわからないですけど。

――
変な意味で注目が集まってるから楽しみではあります(笑)。超過したほうがレッドカードスタートのノーコンテストルールも議論になってますね。超過側がフィニッシュしてもノーコンテストだから緊張感にかけると。

笹原
 正直、計量オーバーした時点で、絶対的な正解は存在しないんですよねぇ。

――
みんながあれこれ打開策を提案してるけど、笹原さんたちもは当然、考えてますもんね。

笹原
 その議論は200周くらいしてるから、ボクの体重が落ちてますよ(笑)。

――
その中で出てきたのはノーコンテストルール。

笹原
 1グラムでもオーバーしたら競技として試合中止が一番楽なんですよ。たまにそういうことを言う方がいますけど、まったくの正論だけど、ボクはこういうときだけ競技を持ち出して競技に責任を押し付けるのは卑怯な気がするんですよね。

――
競技的な厳格さを求めるのであれば、体重だけじゃなくて他にもあるし、同じ対応しなきゃ辻褄が合わないだろってことですよね。

笹原
 そうです。クリアしている選手や観客や配信局やスポンサーさんがいるわけですから、試合を成立させるために我々が汗をかいて知恵を絞るしかない。批判があっても甘んじて受け入れて、それでも試合成立を最優先に考えるしかない。どっちのやり方が正しいという話じゃないんですよ。

――
北米式のキャッチウェイトを推す声もあるんですけど、じゃあ今回2・8キロオーバーのパッチーの判定勝ちで納得できるのか?という話なんですよね。どのみち不満は残るし、キャッチウェイトがあると計量を頑張らない選手も出てくるんだろうなと。

笹原 今回2・8キロオーバーだから一番重いレッドカード、要は2点減点からスタートしたじゃないですか。でも10−8を付けやすいデュアルマストシステムだと、超過側に甘いんじゃないかなと。そこはちょっと考えたほうがいいなと思いました。

――ああ、なるほど。デュアルマストシステムだと、レッドカードでも選手が3ラウンドすべて取れば、判定で勝てる。つまりノーコンテストには持ち込めるわけですね。今回のパッチーも3ラウンド取ればノーコンテストにはできたけど、笹原さんはもっと厳しくしたいんですか? 

笹原 そこをもっと厳しくしてもいいのかなと思うし、その反面あまりに勝ち目をなくしてしまうと選手のやる気を削ぐ懸念もあるんですよね。

――
「だったら試合に出ない」と言いかねない。

笹原
 「頑張ればノーコンテストにできるかもしれない」と思わないと選手も頑張らないですからね。ちょっと前のLemino修斗でもあったじゃないですか。

――
外国人選手が50グラムオーバーしたら、罰金+毎ラウンド減点1スタートを科せられたので、試合拒否をしたやつですよね。

笹原
 厳しくしすぎると、そうなっちゃうんですよ。だからって甘くもしたくないんですけど、そこのバランスはあらためて考えたいです。


・200周している計量オーバー対策の議論
・「DEEP病」とは何か
・試合後のマイクは超大事
・「初めてRIZINを見ました」人に強いジョリー
・武田光司のマリーシア
・伊藤裕樹の爆発的人気
・ACAは来日したのか
・スコットコーカーとは会ってない
・プラットフォームは1本化したかった
・ABEMA「北野の呪い」
・ボクシング界は那須川天心をもっと盛り上げろ……18000字の続きはこのあとへ

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