4241bc77683e021da022c6e0fa1d08cef732d610.jpg
大会後恒例!RIZIN広報の笹原圭一さんが超RIZIN5を24000字で総括します!(聞き手/ジャン斉藤)




――
笹原さん! あんなに盛り上がった超RIZIN5に泥が塗られたってみんな怒ってますよ!

笹原
 泥なんか塗られました? まったく心当たりないです。 

――
笹原さんも参加したオープニングの武将コスプレですよ! 今回は滑ったんじゃないかなと。

笹原
 えっ、朝倉未来が青木真也をKOした瞬間より盛り上がったじゃないですか!

――
それは幻を見ています(笑)。前回のコスプレはフンドシだったじゃないですか。そこから服を着たからインパクトがなかったんじゃないかなと。最近は横島加奈さんもどんどん脱いでますし、やっぱり減らさないと面白くないわけですよ!

笹原
 今回の武将コスプレの経緯を語ると、今回は超RIZINですけど当初は「大阪ではメガイベントが初めてなので、あまり余計なことはせずに正調RIZINのオープニングで行くべきでは?」っていう話をしてたんですよ。でも、大会10日前ぐらいに佐藤大輔さんが「なんかやったほうがよくない?」とか余計なこと言い始めて(笑)。急に不安になってきたんですよ。

――
さすがに10日前だとイリー・プロハースカを呼ぶとか無理ですもんね(笑)。

笹原
 いろいろ頭を悩ませた結果、大阪だから社長には豊臣秀吉になってもらおうと。

――
それで開会宣言が豊臣秀吉コスプレになったと。

笹原
 で、社長に「大阪といえば大阪城で、大阪城を築城したのは秀吉ですから」みたいな説明をしていたんですけど、「いや俺は信長をやりたい。秀吉は嫌だ」とか言い始めて(笑)。

――
ハハハハハ!まあでもたしかに地獄のプロモーター榊原さんのイメージは「魔王・信長」ですよね。

笹原
 なので「今年のNHKの大河は『豊臣兄弟』ですし、鳴かぬなら鳴かせて見せようホトトギスとかは、まさに社長のイメージにピッタリですよ。信長は大晦日のバンテリンドームに取っておきましょう!」とか適当なことを言って、必死に説得したんですよ(笑)。

――
皆さん、大晦日は地獄の織田信長が待ってます!

笹原
 あとは佐伯さんがひょうたんを持っていたじゃないですか。衣装屋さんが小道具をいろいろ持ってきてくれたんですよね。その中にひょうたんがあって、社長から「これをササが持ったら面白いんじゃないか」と言われて持ってみたらむっちゃ重たかったんですよ。だから佐伯さんに「このひょうたんは馬印といって、足軽の中でも上の人間しか持てないんですよ!」と言いくるめてパスしました!

――
あのひょうたんのせいで佐伯さんの顔が見えませんでした(笑)。

笹原
 だからあのオープニングの中に、私の黒田官兵衛のような知略が張り巡らされていたんですよ!

――
そんなRIZINの官兵衛・笹原さんに聞きたいんですけど、ダウトベックvs平本蓮の判定を笹原さんはどう見たんですか?

笹原 試合直後の率直な印象は、ダウトベックの判定勝ちかなと。

――
ほほう。笹原さんはどこで試合を見てたんですか?

笹原
 モニターで見てましたね。でも、1ラウンドはどっちだ、2ラウンドはどうだ……みたいな感じでは見てなくて。そういう意味ではトータルマストみたいな感覚で見てました。

――
じゃあ、平本蓮の判定勝ちが告げられたときは驚きました?

笹原
 ですね、驚きました。なので大会終了後にJMOCの福田(正人)さんと当然この話をして、いろいろ説明を受けて試合を思い返してみたら、平本選手の判定勝ちには腑に落ちました。「なるほど。たしかにこの展開なら平本選手の勝ちでも全然不思議ではないな」と。

――
競った試合だから、どっちの勝ちもありえるとはボクも思うんですけど。平本蓮勝利に納得しない人が、笹原さんや柏木さんのアカウントに突撃してますよね。2人とも帰京する新幹線の中でヒマなのか、正面から向き合って返信してますけど。

笹原
 いい機会だから判定の説明をしているんですけど、なかには「笹原と柏木、鎮火に必死だなw」とか言ってる人もいたじゃないですか。

――
そういう書き込みちらほら見ました。

笹原
 違います。まったく違います! ボクと柏木さんは火を鎮めるどころか、薪をくべてるんですよ(笑)。

――
もっともっと燃えてほしいと(笑)。

笹原
 そのやり取りを通して判定基準が伝わってくれればいいかなと。

――
SNSで思うのは質問する態度って大事だなって。前向きな議論をしたいわけではなく、判定基準をもっと知りたいわけではなく、ただただ文句を言いたい。判定に納得がいかないというより、平本蓮が勝ったことに納得いかない人がたくさんいる。こういうことを「いや、そんなことはない!RIZINの判定が問題なんだ!」と怒る人もいるけど、書き方でその感情が伝わっちゃうんですよね。

笹原
 そこはすごくわかります。いままで判定やルールのことなんて1mmも考えたことない人が、「もうこの10何年間ずっと疑問でした!」みたいな感じで絡んでくるんですよ。「嘘つけ!」って感じじゃないですか。

――
笹原さん、判定の理解を深めたいと言いつつ、めっちゃ煽ってますよ(笑)。

笹原
 いやいや、煽ってないですよ! 

――
本当に知りたいのか、文句が言いたいだけなのか。そこは“まだら”だったりするわけですが、そこの区別がつきづらいのがSNSですよね。

笹原
 明らかに、からかいに来てる人もいるし、最初から納得するつもりがない人もいますね。

――
日本で一番MMAに詳しい柏木さんに絡んでる人もいるじゃないですか。あれ、こめおがシェイドゥラエフにケンカを売るようなもんですよ!

笹原
 「味噌汁で顔洗って出直してこい!」の前に「まずオマエは手を洗え」と(笑)。

――
こういうと「議論することも否定するのか!?」みたいに絡まれるんですけど、RIZINは判定の議論は大歓迎だし、JMOCほど啓蒙運動をしている組織は世界にもないんですよね。日本の格闘技ファンは誇っていいと思うんですけども、世界で一番判定に対してのリテラシーが高いのは日本ですよ。

笹原
 そこはホントにそう思います。

――
今回の件も「海外では八百長だと言われている!」というけど、海外では啓蒙活動はほぼされてないから感情でしか見てない人が多いんですよ。ギャンブルの対象でしかない層も多いし。

笹原
 今回は超RIZINというビッグイベントだったことで、普段は見ない層も入ってきて騒いでるところもありますね。だから前提が違った議論になるから、ますます広がっているんじゃないですかね。

――
そういう意味では今回の試合は判定の格好の教材になると思うんですよ。なので「忖度」という思考停止ワードで片付けようとしないでほしいなと。

笹原
 だったら、RIZINの0勝5敗で終わったベラトールとの対抗戦を忖度してほしかったですよ!(笑)。

――
ハハハハハハ! 

笹原
 あのときベラトールCEOのスコット・コーカーから「この判定で大丈夫なの?  あの試合とあの試合はRIZINの勝ちでもおかしくないのでは?」ぐらいの感じで言われてたんですよ。

――
「ホームタウンデシジョンがあるだろ」と疑心暗鬼だったスコットが逆にRIZINを心配したと(笑)。

笹原
 まぁこの際だからはっきり言いますけど、JMOCは判定に関しては大木金太郎か、ボボ・ブラジルかというくらい頭が硬いんですよ!彼らの辞書に忖度なんてありませんよ!〇〇◯〇〇と一緒にすんな!

――
ハハハハハ!大木金太郎とボボ・ブラジルは各自調査、〇〇◯〇〇の伏字は想像してもらうとして、JMOCの清廉さは本当に特筆に値しますよね。

笹原
 そうなんですよ。

――
混乱を招いた要因のひとつに、3ラウンド終了時に実況解説が「平本蓮、判定負け」確定みたいな言い方をしてしまった。あの展開だと平本蓮に入ってもおかしくないから「ミスリードになりかねない」と思ったら、案の定……。

笹原
 実況解説がダウトベック勝利の雰囲気を見せたことが、判定への疑念のひとつかもしれないですね。川尻達也は大阪城で打首です!(笑)。

――
ハハハハハハ! 解説で「自分の判定の視点はこうだ」と示すのは、視聴者に対して大切な作業ですよね。

笹原
 そういう意味では、「まだ平本蓮の判定勝ちの可能性はありますよ」ってひと言あるだけでも違ったかもしれない。そこは実況解説だけではなく、制作側も判定への理解度を高めることも求められるでしょうし。もっと言えば、そこまで気を回していなかった我々主催者の責任だと思います。

――
あと試合直後に平本蓮が泣いていたことで「戦った本人が負けたと思ってるんだから判定がおかしい」と。

笹原
 平本選手本人は「1ラウンドで倒せなかったから悔しくて」と説明してましたけど、まぁそれは平本選手流の煙の巻き方でしょう。実際本人も「判定で負けた」と思ったんじゃないですかね。

――
まあ、戦っている選手本人は意外とわかんないですもんね。

笹原
 わかんないし、「泣いてるから負けだ」というのもムチャクチャかなと。

――
1986年の日本シリーズ、読売ジャイアンツvs西武ライオンズの第6戦。あとアウトひとつで西武の日本一が決まる直前、ファーストを守る清原和博が泣いてましたよ(笑)。

笹原
 ハハハハハハ! あのときの清原は、ドラフトで裏切られた巨人に勝てると感極まって泣いたんですけど(笑)。

――
ピッチャーの工藤公康は「一塁側に打たれたら清原は捕れない」と考えて投球をした……という話はどうでもいいです(笑)。

笹原
 「いろんな涙があるよ」ってことですね。

――
思ったのは、これが10年前だったら、もっと「この判定は忖度で八百長だ!」って大騒ぎになってるんじゃないかなと。今回も炎上はしてるんですけど、判定の見方が深まってるから「平本蓮勝利の根拠」を出せてるファンも多いのかなと。

笹原 そこはボクらもファンのことを信頼しているところはあります。不満を持つ人がいる一方で「平本蓮の勝ちもあるよね」という意見も出てきてたんで、そこはさすがRIZINファンだなと思いますね。

――
それは「ダウトベックの勝ち」という見方が間違ってるわけではないですよね?

笹原
 もちろんです。今回3人のジャッジのうち2人が平本蓮につけたが、1人はダウトベックにつけた。平本蓮、ダウトベック、どっちの勝ちでも根拠はあったわけですよね。

――
だから「この判定はインチキだ」という意見が雑なのかなと。

笹原 一足飛びに陰謀論的な話になっちゃってますよね。過去の判定や、RIZINの歴史も調べれば、普通の人は「何か裏があるわけじゃないよね」って思うんですけど。今回はビッグイベントだから、コアファン以外も見てることでどんどん騒ぎが大きくなって。

――
まあ格闘技の判定って何か裏があると思われがちだし、あとは平本蓮がヒールというところも大きいのかなと。

笹原
 やっぱり超RIZIN5は圧倒的に熱があったイベントなので、そこに「平本蓮」が加わる掛け算になって、騒ぎがさらに広まったということですよね。

――
そういう意味では平本蓮は、持ってるんですよね。2年ぶりの復帰戦であれだけの試合をやったあとに、こういうお土産までつけてくれる(笑)。

笹原
 そうなんですよ。だってそもそも2年間試合をしていないのに、存在感が全然目減りしていない。おまけに試合後もこれだけの熱を作り出せている、って凄いことですよ。

――
今回の件を受けて、ジャッジシステムの修正は考えてますか?

笹原
 いや、とくに考えてはないですね。判定が難しかっただけで、システム的に欠陥があるとは思わないです。このままやり続けていけば、もっと練度が上がるというか、アップデートしていけると思います。挙げるとすれば、10-8の取り方ですね。

――
1ラウンドのダウトベックに10-8をつけるかどうか。1人だけ10-8でした。

笹原
 あの内容で10-8をつけるかどうかは議論が分かれるところですけど、あそこの感度をどこまで揃えられるかは重要だと思いますね。

――あと指摘されがちなのは「平本蓮に忖度してブレイクが早い」と。そこは2~3年前から柏木さんがブレイクの定義を説明しているし、RIZIN独自のブレイクではないわけですよね?

笹原
 そうなんです。じつは決めたものに則ってブレイクしてるんですよ。「フィニッシュに向かわないときにはブレイクがかかる」という方針は、ABC(Association of Boxing Commissions)というアメリカのボクシングやMMAを管轄している組織が決めているんですよ。

――UFCのルール統括をしているアスレチックコミッションも、このABCの方針に準拠して競技運営してるんですよね。

笹原
 アメリカのアスレチック・コミッションは全州にあって、州によって方針は異なっているんです。それにビビッドに反応する州もあれば、「いやいや、すぐには無理だから」ってなかなか導入されない州があったりする。つまりアメリカすべての州で採用されるには時間がかかるんですよ。でも、日本だと、RIZINが認証すれば、JMOCがABCの方針をダイレクトに取り入れることができるんですよ。今回も来日していたレフェリーのジェイソン ・ハーゾグは「何か新しいことをやろうと思ったら、RIZINが認めればすぐに実行できるから。日本は本当に羨ましい」と言ってました。

――
ABCが決めたことがアメリカでは行き届いてないけど、日本では即採用されると。

笹原
 そうなんです。コンサバな州は新しい一歩が簡単に踏み出せないってことです。

・「10-8」の感度を揃えたい
・榊原CEOの「ディフェンシブなテイクダウン」発言
・ダウトベックをリリースするわけがない
・青木真也に対して負い目があった
・喋りまくる青木真也、喋らない朝倉未来
・「作品」「表現」に取り憑かれた
青木真也
・オマエはサザンか、長渕か
・北岡悟と朝倉未来の素晴らしき関係
・シェイドゥラエフは来年もRIZINに上がる?
・武尊引退セレモニーに○○を呼ぼうとしたが
・ケラモフと柏木さんに友情はない……24000字の続きは会員ページへ



いま入会すれば読める9月更新記事


青木真也が朝倉未来戦をほぼ語らずに朝倉未来戦を語る24000字
芹澤健市が語る“狂気とロマン”の格闘技集団・和術慧舟會
・「サブミッションアーツレスリング」とは何か? 総帥・麻生秀孝
・谷津嘉章「PRIDEのときはセコンドに、どっかでタオルを投げろってあらかじめ言ってたの」

プロレス架空興行詐欺の実態■関根“シュレック”秀樹の犯罪講座
・全日本プロレスのアクシデント試合/WWEのABEMA配信終了
・「後楽園ホール改修」の非常ベル/安齊勇馬はなぜ三冠を穫れなかったのか/猪木さんの孫はどこで国内デビュー?
ウナギ・サヤカvs東京女子の冷たい戦争/飯野雄貴NOAH移籍/ミスター高橋はプロレスを終わらせたのか

・石川奈青の謎欠場/後楽園ホール改修・続報/メディカル大英断/「仙女魂」に二匹目のどじょう
・小橋建太☓小佐野景浩「みんな、あのときのプロレスを後悔してない」



https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202609