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伊藤裕樹が所属するネックススポーツ代表・梅村寛さんにお話を伺いました!(聞き手/松下ミワ)


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――
梅村先生もセコンドにつかれたRIZIN.54伊藤裕樹選手の試合は、会場が爆発するようなむちゃくちゃいい試合でした!

梅村 凄かったですねえ。ピンチがあっての逆転だったんで、よけいに爆発したと思いますけど、会場も温まってましたよね。いい会場でしたし、ギュッと凝縮しているような感じで。

――
勝利後の伊藤選手は、もう目をブッ飛ばして倒れてましたけど(笑)。

梅村
 あれは酸欠です。勝って叫んで、興奮して息を吐ききって酸欠を起こして倒れたという。試合で出し切ったところだったんで。

――
本人は「インターバル中に水がもらえなかったからだ」と言われてましたが。

梅村 あれは水が原因じゃないと思います。たしかに、水はセコンドが渡しそびれたんですけど……。じつは、水を渡す役割の子がインターバル中に水を持って上がってきてなかったんですよ。それにボクも気づいてなくて。

――
あらら。

梅村
 慌てて「取ってきて!」と言ったのが、まあ間に合わなかったですねえ。

――
そうだったんですね。それに、伊藤選手が喜びすぎてコーナーに上がったときに「梅村先生の手を踏んでしまった」と言っていて。かなり曲がって危なかったみたいですね。

梅村
 そうそう。ボクもうれしくてコーナーに上ろうとしてロープに手をかけたときに、ちょうど裕樹がロープに飛び込んできて。裕樹の足とボクの手がちょうどにバッティングしておもいきり指を蹴られました(苦笑)。

――
喜びたいのに、痛くて喜べない!

梅村
 むちゃくちゃ痛かったです。しばらくジーンと痺れてたんで、一番喜びたいときに手を押さえてうずくまってました。

――
ハハハハハ! そもそも、アリベク・ガジャマトフに対してはどういう作戦を練っていたんですか?

梅村
 まあ、タックルを切っての打撃戦ですよね。漬けられるのは避けたい、と。寝かされても凌いで、裕樹の一番強いところで勝負するという作戦でした。ガジャマトフは1ラウンドが強いのは覚悟してたんで、徐々にペースを上げて3ラウンドかけて倒していこうという話でしたね。

――
1ラウンドのガジャマトフは、それほど出力が凄いんですね。

梅村
 他の試合を見ててもそれは明らかなんで。今回は計量オーバーもあったじゃないですか。そういうのもあって、たぶん1ラウンド目に出てくるだろうな、と。

――
ただ、1ラウンドも2ラウンドも、組みに対して伊藤選手はビビってなかったですよね。

梅村 なんか、裕樹はグラウンドができないイメージを持たれていますよね。もちろん、まだまだ伸びしろはあると思うんですけど、もうずっと練習はしてますし、ボクらはべつに寝技ができないとは思ってないんですよ。

――
今回の試合も寝かされても冷静でしたし、とくに足で4の字を組まれたシーンもしっかり脱出してました。

梅村
 まあ、できればああいう体勢にはなりたくないですけど、そのシチュエーションドリルもやってますから。取られたところからのシチュエーションドリルは、疲れたところからスタートしたり、さんざんやってるんで。

――
となると、梅村さんもそこは自信がありました?

梅村
 いや、ヒヤヒヤはしますよ。安心はしていられないですよね。ただ、そんな簡単な話じゃないし、彼から一本獲るのは難しいと思います。だから、ちゃんと対処していれば大丈夫だなと思ってました。ボクらからは逆コーナーだったから、ちょっと見づらいところがあって心配は心配だったんですけど。でも、まだ体力的に疲れてもいなかったし大丈夫かな、と。

――そして最後のラッシュ。伊藤選手は最後の詰めも凄いですよね。

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梅村
 やれと言われても、普通はあんまりできないことですよ。だいたいの選手は失速すると思うんですけど、裕樹はあそこで出ていって逆転するパターンもけっこうありますから。

――
しかも、打たれ強いという。けっこう大きい攻撃を食らっても復活してくるイメージもありますよね。

梅村
 まあ、セコンドとしてはそういうシーンはできれば見たくはないですけどねえ。たしかにニアダウンみたいなシーンはけっこうあります。ただ、ボクは裕樹が特別打たれ強い選手だとは思わないですね。ただ、裕樹は足が止まらないし、身体を起こして距離を見ながら戦うんで、もらったときは少し倒れやすいというか。身体が起きてるぶん尻もちをつきやすいのかもしれないです。

――
見た目ほどのダメージは負ってない可能性もある、と。

梅村
 実際、昨日(大会3日後)から練習も開始してますし、今回の試合でもダメージはそんなにないと思います。

――お盆も休まず試合&練習なんですね。そして、うかがいたいのはガジャマトフの計量オーバーの件です。1.75キロオーバーって、これけっこうなことですよね。

梅村
 1.75はけっこうですねえ。じつは、前日に裕樹とセコンドメンバーでホテルのジムエリアでランニングマシンを走りに行ったときに、ガジャマトフ選手陣営もいて。ボクはその場にいなかったんですけど、向こうのセコンドから「体重、キャッチにしないか」という話があったみたいなんですよ。

――
ええっ! どういうことですか?

梅村
 裕樹と一緒にいた人間に詳しく聞くと「キャッチにしてくれないか? 我々はファイトマネー20パーセントダウンを支払う用意がある」みたいなことを言われたらしくて。

――
細かい条件まで(笑)。

梅村
 「梅村さん、どうしましょう」と。ボク、ちょうどその頃は佐伯(繁・DEEP代表)さんと一緒に食事してたんですけど、そういう内容のLINEが飛んできたんで、佐伯さんに「こんなこと言ってるらしいんですけど、これどうします? 無視でいいですよね?」という話をして。佐伯さんも「もちろん無視だし、何かあるならRIZINに言え」と。そういうやり取りが前日にありました。

――
直接交渉するなんて掟破りすぎます。

梅村
 だから「ひょっとしたら計量オーバーあるんじゃないか」という予測もあって。裕樹もずっとフィジカルトレーニングを続けてて、身体も大きくなってきてるんで、だんだん計量はきつくなっているんですけど、逆にガジャマトフ陣営からそういう話があって「ちょっと元気出てきました」と。

――
相手もキツいんだなと。

梅村
 そう、ぜんぜんネガティブな感じじゃなく「相手もしんどいんだよね」「俺、ちゃんと落として試合頑張ろう」という心の準備ができたというか。だから、あんまりショックは受けなくて、実際に計量オーバーになっても「やっぱりね!」みたいな。

――
伊藤選手も「事前に教えてくれてたら、こっちもムダな減量をしなくてすんだのに」と、ちょっと冗談半分でコメントしてましたけど。

梅村
 まあ、事前に教えてくれといっても、前日に聞かされてもそれは無理だろうという話で。「2週間前ぐらいに言ってくれりゃなあ」くらいのことは言ってましたね、冗談で。

――
でも、ジムエリアでそんな話を仕掛けてくるというのは、向こうサイドも大胆ですね。

梅村
 だから、こっち側では「それは相手の作戦かもしれないから」とも言っていて。

――
うわー、たしかにありえますね! 陽動作戦というか。

梅村
 やっぱり日本人の感覚とは違うかもしれないんでね。そこは、そういう作戦も使ってくるかもしれないから「気にすんな」と。「こっちは、ちゃんとやるべきことをやりましょう」という話で、チーム内では決着がつきました。



・今回は勝ち急ぐのはやめよう
・勝率100%!海外勢に強い理由
・「最近」強くなったわけではない
・アナコンダは入会当初からの得意技
・敗戦後、1年半の引きこもり時期
・“いいアーセン”が来る
・佐伯さんは中学校の先輩・後輩……続きはこのあとへ

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