ハックルベリーに会いに行く
1943年、パイロットの不足を補うために一つの映画が作られた。その題名は『決戦の大空へ』という。この映画は、戦時中であるにもかかわらず、いや戦時中だからこそ大ヒットした。そして主題歌の『若鷲の歌』も大ヒットした。この二つの大ヒットによって、予科練への志願者が激増したのである。
政治目的で思考や行動を特定の方向に誘導する宣伝行為を「プロパガンダ」という。そしてこの『決戦の大空』はまさにプロパガンダで、しかも大成功した。
成功した理由は、皮肉なことに映画の内容自体に政治臭さが薄く、すぐれたエンタメになっていたことだ。多くの少年たちは、これを政治映画ではなく、娯楽活劇として見た。だからこそ、多くの少年が予科練に志願したのだ。
『決戦の大空へ』は、現代でいえば『シン・ゴジラ』のようなものだ。だから、娯楽のない当時の少年たちには痛快でたまらなかった。娯楽への強烈な渇きをこれ以上なく癒やしてくれ